「やられたらやり返す」
会社に貢献していなかった、という事実は関係ない。なぜなら会社の誤った判断のせいで「働きたくても働けなかった」からだ。よって地位確認が認められた場合、解雇してなければ支払っていたであろう給与を全額遡って支払う義務が企業側に生じる、というわけだ。
勘のイイ方はお気付きかもしれないが、バックペイは長く争えば争うほど高額になる。企業側は「あんな問題社員に負けてたまるか」といった感情論ではなく、損得を合理的に計算する勘定論で、不良社員との戦いを慎重に進めるべきだろう。
また、解雇という火種をキッカケに、労働者が今までの不満(残業代やパワハラ慰謝料など)を解雇無効とセットで清算しようと企む可能性もある。つまり「合わせ技」で噛みついてくるリスクについても注意を喚起しておきたい。
労働者側は「やられたらやり返す」のだ。私自身も、会社側の髪の毛も尻の毛も一本残らずむしり取る覚悟で裁判に挑んでいた。
会社側からすれば、なんと「解雇したはずの労働者が職場復帰するリスク」も発生することになる。繰り返しになるが「解雇は無効だ」と主張するということは「私は解雇されていない。今も従業員のままだ」と主張するのと同じ意味を持つ。