上手なケーブルの巻き方・扱い方
音響初心者がまず教わることのひとつ、ケーブルの巻き方や扱い方。きれいに巻かれたケーブルは整理整頓された感じがして気持ちがいいですよね。
ところで、なぜケーブルを8の字に巻く必要があるのか、ケーブルを長く大切に使うにはどのように扱ったら良いか、知っていますか?ケーブルの基本的な巻き方と、上手な扱い方をご紹介します。
基本の8の字巻き
まず、基本の8の字巻きのやり方を解説します。
分かりやすいように、巻く人の目線で動画を撮影しました。
8の字巻きは、ケーブルを内側と外側へ交互にさばきながら巻いていきます。交互に巻くことで、ねじれが打ち消されて、まっすぐほどけるようになっています。同じ方向に巻き続ける「順巻き」は簡単ですが、癖が残りやすく、そのまま引っ張るとケーブルが強く曲がって傷んでしまう場合があります。 また、”ケーブルはいつも8の字巻きする”と決めておくことで、ケーブルの中の線が無駄によじれることを防ぎ、ケーブルの寿命を延ばすこともできます。
巻き終わったケーブルは、ケーブル用のバンドを使用して留めるのがおすすめです。太めの紐や園芸用の輪ゴムなどでも代用できます。バンドなどを使わずにそのままケーブルの端を結んで束ねる方法もありますが、こちらも強く折れ曲がってケーブルを傷めてしまうので避けた方がよいでしょう。
ケーブルを束ねるバンドやゴムの例
片手で持てないくらい長くて重いケーブルを巻くときは、床に置いて両手で8の字巻きします。他に、数字の「8」の字を描くような「置き8」という巻き方もあります。身体に無理のない巻き方も、ぜひ覚えておきましょう。
床に置いて8の字巻きをする様子
「置き8」と呼ばれる巻き方。名前の通り「8」の形。
事故を防ぐために
ケーブルを整えて扱うことは、見た目にきれいなだけでなく、ケーブルの損傷やトラブルの防止にもつながります。ここからは、ケーブルの上手な扱い方をご紹介しましょう。
・ケーブルに強い力を加えない!
ケーブルを踏んだり強く曲げたりしないようにしましょう。束ねるときも、キツく縛るのは禁物です。ケーブルに強い力が加わると、芯線を包んでいるシールドが傷んでノイズが乗りやすくなったり、もっと悪いと断線したりして、音に異常をきたす恐れがあります。
人が通るところに配線するときは、ケーブルが踏まれないように保護用のマットやカバーを設置しましょう。また、コネクタ付近はケーブルの重みによる負荷がかかりやすいので、ケーブルを持ち上げて固定するなどの対策をするとよいでしょう。
ケーブル保護用のカバー
コネクタ付近にケーブルの重みがかからないよう、左右に留めて固定した例
・「溜め」を作る!
機材に挿したケーブルは、その近くに8の字巻きを数回「溜め」ておくと、機材の位置を変えることになったときにスムーズです。ケーブルを長い距離引き摺らなくて済むので、足や周りの機材に引っかける心配も少なくなります。
・電源ケーブルは音響ケーブルと一緒にしない!
電源ケーブルとマイクケーブルを近くに配線すると、ブ~ンという低い音のノイズが発生してしまうことがあります。これは、大きな電流が流れる電源ケーブルから発生する電磁波が、小さな電流の流れるマイクケーブルに干渉して起こるノイズで、ハムノイズと呼ばれます。電源ケーブルとマイクケーブルを物理的に離して配線することで防ぐことができます。
まとめ
ケーブルの巻き方と、上手な扱い方についてご紹介しました。たくさんのケーブルを扱う舞台音響では、8の字巻きがスタンダードとして活躍します。ぜひきれいで素早い8の字巻きをマスターしましょう!
ご紹介した以外にも、施設やPA会社さんごとに独自のルールや工夫がたくさんあると思います。小さな工夫の積み重ねで断線や事故を防ぎ、機材やケーブルを長く大切に使いましょう。
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