ここまで見てきたように、半導体、電気自動車(EV)、バッテリーなど最先端分野において連邦政府は民間を主に補助金による産業政策で牽引しており、米国の民間が世界をリードするAIにおいても、民間転用が可能な軍事プロジェクトに大きな予算を割きはじめた。
アメリカ連邦政府は、ソ連の「5カ年計画」、日本の「親方日の丸」、中国の「中国製造2025計画」ばりの準計画経済を具現化しているのだ。
アメリカが手に取った「毒まんじゅう」
中国との経済的関係を縮小させる「デカップリング」を目指した共和党トランプ前政権と、経済関係を発展させながら競争に勝つことを目指す民主党バイデン政権の考え方の違いはあるものの、米国の民間企業が独力で中国の産業政策に対抗できないという認識で、民主党と共和党は一致している。
また、イデオロギー的に産業政策に反対の共和党の賛同が得られているのは、半導体・EV・バッテリーの新工場の多くが共和党支配州に集中しているからだ。
まるで「親方日の丸」時代の日本の利益誘導政治だが、では「親方星条旗」は、その産業政策を成功させることができるのだろうか。
米シンクタンクの分析は決して楽観的なものではない。