その上で、「産業政策の支持者は、米国が脱産業化しており世界市場で競争力を失っているため、商業的に成功の見込みがある新技術を推進し、斜陽産業で解雇された労働者をそちらに振り向けるべきだと主張している。特に日本が産業政策で成功したことから、日本を真似るべきだと説いたのだ」という。
しかし、その後、アメリカ政府が行ったことは報告書とはまったく逆のことだった。自分たちが表立った産業政策を採用するのではなく、日本に対して構造改革を押し付けて、産業政策をやめさせた。アメリカの自由放任主義は日本を飲み込んだのだ。
アメリカの疲弊
加えて、アメリカはハードウェア重視からソフトウェア重視(インターネット)への産業パラダイムシフトに成功し、グローバル化を利用した「設計」と「生産」の分離によるファウンドリー方式などで、再び競争力を取り戻した。
そのため、圧倒的な科学技術力やイノベーションで世界をリードしてきたアメリカの再生力の源泉は、政府の介入を抑えた民間主導による「市場放任主義」「世界のイノベーションセンター」であると長らく信じられてきた。
ところが、2010年代に入るとアメリカは再び凋落を始める。