今回は、韓国焼酎の大手、眞露(ジンロ)の焼酎3種類を飲み比べてみます。

100年近く続く大手

眞露は1924年に、当時日本の領土であった朝鮮半島北部、平安南道で創業した老舗の酒造メーカーです。

第二次世界大戦後、朝鮮戦争で北朝鮮に支配されるのを逃れ、ソウルに移転しました。
そして1953年に焼酎「眞露」が誕生しました。

しかし1997年のアジア通貨危機の影響で経営危機に陥り、2006年にはハイトビールに買収されてハイト眞露となっています。

日本では在日韓国人らが経営する焼肉店などで眞露が提供されることが多かったですが、1988年に日本法人が設立してから徐々に認知度が上がり、2000年代の韓流ブーム後からは一般への普及が進んでいきました。

2023年時点では、元来あるJINROのほかに、韓国国内で高いシェアを誇るチャミスル、7年熟成を行った原酒を使う「乙」がラインナップされています。

JINROというと、元々は緑色のボトルに黄色いラベルがトレードマークでしたが、最近では透明なボトルと白いラベルに変わって、日本の焼酎甲類のボトルとあまり違いがないものになっています。

一方でチャミスルは、韓国語で「真(まこと)」を意味する「チャム」と、「露(つゆ)」を意味する「イスル」を組み合わせたもので、日本語で言うところの「眞露」を訓読みをしたような名前になります。

JINROとチャミスルの違い

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さて、JINROとチャミスルはどういう違いがあるのでしょうか。

公式サイトなどを見ると、どちらも原材料は米と麦のようです。
一方で製法をみると、チャミスルは竹炭を使って濾過を行う点で違いを出しているようです。

また、チャミスルには2種類あり、ハングルで書かれたラベルがついたハーフサイズのボトルが韓国でも売られているものに対し、英字で「Chamisul」と書かれたものは200年代前半に日本向けに開発されたボトルになっています。

元々英字のチャミスルが先に日本で発売され、後になってハングル表記のチャミスルが発売されたというのが正しいかと思います。

今回はこの3種類を、ストレート、ロック、レモンサワーにして飲み比べたいと思います。

テイスティング

ストレート

JINROはアルコール感がそれなりにするものの、その後は米や麦の香りや甘みがそれなりに感じられます。

英字チャミスルは、アルコール感が少なく、比例して米や麦の香り、味わいが少ないものの、甘みはJINROと一緒の印象です。

ハングルチャミスルは、米の香りがJINROよりも多少強めで、味わいもご飯をかみ続けて感じるほど甘みがしっかりしている印象です。

ロック

JINROはアルコール感がまだ残る中で、米の香りがほのかに香る印象。味わいは甘み自体が少なく、味気なさを感じます。

英字チャミスルは、アルコール感はなく、軽く麦の香りが感じられます。味わいはJINROより甘みが強く、すっきり感があります。

ハングルチャミスルは米の香りが比較的はっきり感じられる印象で、甘みもさらに強く感じられます。

レモンサワー

JINROでは、レモンの香りと酸味がしっかり感じられ、お酒自体の甘みはかなり消えている感じです。

英字チャミスルは、甘みがほとんどなく、レモンの酸味が比較的ストレートに感じられます。

ハングルチャミスルは、レモンの酸味を強めの甘みでマスキングをすることで、マイルドな味わいになって比較的飲みやすくなります。

個性の違いがはっきりしていた

焼酎甲類の違いを認識するのは難しいと思いましたが、予想以上に3種類のボトルの違いが明確にわかりました。

お酒自体の香りや味わいにおいては、ハングルチャミスルが比較的濃く、英字チャミスルはすっきりしている印象でした。
一方でJINROはアルコール感が強めで、ストレートで飲むにはちょっと厳しいかもしれません。

個人的にはハングルチャミスルが一番おいしく、レモンサワーにしても個性が消えない印象でした。ホッピーの割り材にしてもいいかもしれません。
これだと日本の焼酎甲類でも比較的香りや味わいのあるものとも対抗できるでしょう。

一方で英字チャミスルは個性が少なく、特別これを選ぶ理由はない印象です。
JINROは2種類のチャミスルの中間くらいの個性に思えます。

以前に飲んだ鏡月GREENがあまりにも個性がなさ過ぎて、ただ酔っ払うためだけの薄めたアルコールにしか思えませんでしたが、眞露の3種類のボトルは焼酎としての最低ラインを十分突破している印象でした。

私は手作りのレモンサワーを飲むこともありますが、ハングルチャミスルは十分ベースになる焼酎として悪くない選択肢だと感じました。