信じられないほど「持っている」岸田首相のG7広島サミットをガチンコで総括する
ゼレンスキーの来日で変わった
5月19日から開かれていたG7広島サミットが21日、閉幕した。連日テレビなどでも報道があったが、広島サミットとは何だったのか、振り返っておこう。
広島サミットはG7首脳が集まるものであり、その前後に、G7の各担当大臣会合がある。それらは日本各地で4月から開催されており、12月まで続く。そのため、ほぼすべての霞が関官庁が、今年はサミットを中心に動いている。広島サミットの時点までに行われた各大臣会合の成果は、広島サミットの宣言にも取り入れられている。
では、広島サミットでは何が話されたのか。実際に中身を聞いていなくても、サミット概要と成果文書を見ればわかる。といっても、それだけでもかなり膨大なので、本稿ではそのうちに特に重要ものを取り上げておこう。
こうした文書が苦手な人もいる。そうした人向けに、5月17日に筆者の「高橋洋一チャンネル」で《広島サミットの注目は原爆資料館に連れて行けるかどうか》をアップしている。
そこでは、広島でしかできないこととして、G7首脳を原爆資料館本館に連れて行けるかどうかをテーマにした。さらにそのうえで、核廃絶はあくまで長期的な目標として、まずは核保有国の責任、核共有・核抑止に議論を持っていくべきとした。
筆者が出演した他のネット番組では、「原爆資料館本館に連れて行き、それを全世界に公開できるかどうか」「バイデン大統領から、原爆という戦争犯罪に対し謝罪があるかどうか」などもポイントだと述べた。
それでは、サミット文書の検討に入る前に、筆者がYouTubeなどでテーマとしたことが実際どうなったのか見てみよう。
G7首脳が原爆資料館に行ったのは事実だが、その中身はほとんど非公開だ。漏れ聞くところによると、本館ではなく東館だったようだ。謝罪どころか、各国首脳の反応も出てきていない。この点はやや不満が残るが、原爆資料館にG7首脳すべてを連れて行った点は評価できる。
これだけでは岸田首相もイマイチと思っていただろうが、そこに急遽、ウクライナのゼレンスキー大統領の訪日が決まった。これは大きなサプライズであり、原爆資料館視察の足りないところを補ったと言ってもいいだろう。21日のセッション8「ウクライナ」には、ゼレンスキー大統領が参加した。