「週刊誌は怖いから面会は勘弁して!」湯の交換年2回で客が体調不良 福岡・老舗旅館社長のトンデモ言い訳

「週刊誌は怖いから面会は勘弁して!」湯の交換年2回で客が体調不良 福岡・老舗旅館社長のトンデモ言い訳

細菌検出 旅館社長の言い訳

「週刊誌は怖いから面会は勘弁して!」湯の交換年2回で客が体調不良 福岡・老舗旅館社長のトンデモ言い訳

大丸別荘の山田社長

「ちょっと甘く見ていました。お客様には申し訳ない。全て私の怠慢です……」

 消え入るような声で小誌記者に語るのは、福岡県筑紫野市の温泉旅館「二日市温泉 大丸別荘」の五代目社長(取材当時、3月2日に辞任を発表)・山田眞氏(70)だ。

◆ ◆ ◆

■二日市温泉の利用客が体調不良を訴え、『レジオネラ症』と診断される

 二日市温泉は奈良時代から約1300年続く古湯で、「大丸別荘」は幕末の1865年に創業。約2万1500百㎡の敷地に約1万㎡の日本庭園が広がる高級旅館だ。

「“博多の奥座敷”と呼ばれる温泉郷の顔といえる旅館で、1泊2万〜4万円ほど。昭和天皇をはじめ、岸信介元首相や美空ひばり、吉永小百合など各界の著名人が宿泊したことでも知られます」(地元紙記者)

 そんな老舗宿の信用を揺るがす問題が発覚したのは2022年8月のこと。経緯について福岡県筑紫保健福祉環境事務所(以下、県保健所)の担当者が語る。

「二日市温泉の利用客が体調不良を訴え、医療機関で検査した結果、『レジオネラ症』と診断された。そこで大丸別荘の浴場にも立ち入り検査をしたところ、基準値の2倍のレジオネラ属菌が検出されたのです」

 この細菌は河川や温泉などに生息。レジオネラ症の症状は発熱や悪寒で、重症の場合は肺炎になるという。

■湯の交換や消毒を記録する管理簿を改ざん

「大丸別荘には2つの大浴場があり、湯の一部は循環ろ過して再利用していた。公衆浴場法などに基づく県の施行条例では、週1回以上は湯を完全に入れ替え、消毒用の塩素系薬剤を投入して一定濃度に保たねばならない。旅館側は当初、保健所の調査に対し、湯の交換や塩素注入は適正だったと説明した」(前出・記者)

 しかし、昨年11月に県保健所が再検査したところ、大浴場の浴槽から基準値を大幅に上回るレジオネラ属菌が検出されたのだ。

 前出の担当者が振り返る。

「大浴場にはお湯が滞留する場所があり、特に『立ち湯』の浴槽は淀んでいて流れが悪かった。それで念のために抜き打ちで再検査をしたところ、基準値の3700倍ものレジオネラ属菌が検出されたのです。これは想定外でしたね」

 さらに旅館側は、湯の入れ替えは年2回の休館日だけで、消毒も不十分だったと認め、湯の交換や消毒を記録する管理簿も改ざんしていたと明かしたのだ。

■社長に話を聞こうと大丸別荘を訪問するが…

 県は19年以降、違反状態が続いていたと見て、昨年12月に再び改善を指導。

「一度指導したのに改善されず、虚偽の報告までしていた。これは悪質としか言えません」(同前)

 2月27日、社長に話を聞こうと大丸別荘を訪問。すると「16時に戻るので対応します」と伝言があり、指定された時間に旅館の応接室へ通された。しかし、30分過ぎても社長は現れず。従業員から丁重な謝罪を受け、一旦旅館を出た。

 その2時間後、社長から突然、記者に着信。

「いや怖い怖い。週刊誌は怖いから面会は勘弁して!」

 と震える声で告げられ、電話でそのまま話を聞いた。

――県保健所に虚偽の報告をした理由は?

「自主検査で十分に測らず、それで県に提出してしまった。甘く見ていた」

――塩素による消毒や清掃をしなかったのはなぜ?

「塩素のニオイがダメだった。昔から塩素を使っていないままやっていたので」

■2019年頃から塩素注入と清掃を怠っていた

――不衛生だとは?

「何度も言い訳しますけど、1分間でお湯が70リットル、1日で100トンくらい。だいたいお湯が入れ替わってるんだから、いいんじゃないかって」

――基準値の3700倍のレジオネラ属菌が出ている。

「あれは、びっくりしました。本当にすいません」

――なぜ最初の指導で改善できなかったのか?

「いやそれは甘く見ていたからで、指示は全て私がしていました。お湯を入れ替えて、完全に(浴槽を)干す作業を怠っていました」

――いつから塩素注入と清掃をしていなかったのか。

「2019年頃です。その後コロナになって、お客さんも1組か2組で。それで、入れ替えなくなった部分はあります。そのまま何となく、おざなりになって……」

――温泉の利用客に対してどう思っている?

「お客様には本当にご迷惑おかけしました。今回のことで指導を受けて昨年12月から、清掃の業者と新しく契約して、ちゃんと湯を入れ替えて営業しています。今は、もう、ホントにちゃんと営業してますから!」

 入れ替えが必要なのは、社長の性根のようだ。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年3月9日号)

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  • 4

    遺書には「申し訳ない 全ては自らの不徳のいたすところ あとはたのむ」と記されていた。 やはりこういうお人なんだな。

  • 3

    こういう社会を舐めてる奴等どこにでもいるよなぁ 大したことをしてきてないのに良い訳だけは一人前な奴等

  • 2

    客を者扱いしているこの旅館。 社長も真の謝罪はしていない。 2年ほどの業務停止命令を出せば必然的に潰れる。 老舗で歴史があっても、違法行為があり被害者がでればそれも仕方ないだろう。 経営者として脳がない社長が招いたことだ。

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