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制服女子の行動や会話を見てオバ記者が思ったこと © NEWSポストセブン 提供 制服女子の行動や会話を見てオバ記者が思ったこと

 日本有数の電気街として知られ、観光地としても人気の東京・秋葉原。その裏通り“裏アキバ”には、また違った光景があるという。体験取材を得意とする『女性セブン』の名物ライター“オバ記者”こと野原広子氏が、秋葉原のリアルを綴る。

【写真】ざっくりUネックの28歳パパ活女子。大胆なショットも

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 東京・秋葉原の駅ビルに買い物に行ったら、まるでお祭りだ。歩けない。駅の構内が外国人でいっぱいなのよ。秋葉原に住んで6年経つけど、こんな光景は見たことがない。

 どこの国の人かと耳をダンボにすると、見当がつくのは英語とフランス語とイタリア語、中国語と韓国語くらい。イスラム教徒の装いをしている東洋系の女性はマレーシアかシンガポールか。

 しかしそれは大勢の外国人の中のごく一部でね。駅前にあふれている金髪、小顔で中肉中背の人たちはいったいどこから来たのか。ロシア語? いや違うな。

 外国人旅行者への規制が緩和されてから、あれよあれよという間に外国人があふれてきたけど、コロナ前とは彼らの目的が明らかに違うんだわ。

 コロナ前は電気街の反対側のヨドバシカメラで、中国人とわかる服装のグループが大きな声で話しながら炊飯器やパソコンを買っていたの。上階の時計売り場では若いお金持ちカップルが高級時計を選んでいたけど、いま、中国の人は目立つほどではないの。

 で、例の金髪の一団はマスクをしていないけれど、マナーは知っているのか電車の中で大声で話したりしないし、長く不景気が続く日本にもそれなりの経済効果があるに違いない。お互いウィンウィン? いや、そうはいかないだろう、なんてことを考えながら歩くせいか、家に着く頃にはクタクタだ。

 実は私がクタクタになる大きな理由は、謎の外国人集団以外にもう1つある。

 原宿の裏通りが“裏原”なら、秋葉原の裏通りを“裏アキバ”というらしいが、そこを通ると2回に1回は、目を逸らしたくなるような“令和の現実”を目にするんだわ。

 駅から徒歩数分のところに、安いホテルが数軒あるんだけれど、そこに高校のミニスカの制服を着た女の子が吸い込まれていくのよ。

 彼女たちのミニスカの下は100%生足で、必ずひとり。その足取りに迷いはない。時々不安そうに手にしたスマホをのぞく女の子もいるけど、ほとんどは無表情だ。いったい彼女たちはその安ホテルで何をしているの?

『東京女子サバイバル・ライフ 大不況を生き延びる女たち』の著者・酒井あゆみさんと話していたときに聞いたら、たったひと言、「売り」。

「いますぐお金が欲しい女の子のためのウェブサイトがあるのよ」と言う。「靴の裏底がパカパカに抜けている女の子を見かけたんだけど、彼女はいったい何?」と聞いたら、「家出っ子だね」だって。

「いま、母親が再婚か再々婚かの女の子で、義父から性的虐待を受けている子の数がハンパないのよ。そのつらい現実から逃げて、東京で売りをしてんだよ」と言うんだわ。

「女子高生が体を売っても、ピンハネされて手元に残るのは5000円あればいい方。その値段もどんどん下がっているのよ」とも。

 それから数日後のこと。

 駅上のサイゼリヤにご飯を食べに行ったら、隣の席に40代とおぼしき男と女子高生が無言でスパゲティを食べていたの。ところどころ擦り切れているジャンパーを着て、もっと古びた黒いリュックをソファに投げ出している男は、どう見ても彼女の父親ではない。

「ケーキ、食べようかな」。女の子は顔に似合わない低い声で言うと、男は聞こえないフリ。それで女の子は「ケーキ」とだけ言って、注文用のタブレットを取ろうとしたら、男は「その分は自分で払えよ」だって。

 2人はお金だけの関係を何度か続けてきて、だから男は女の子をサイゼリヤに誘ったと私は見たね。お互いに納得ずく。私がどうこう口をはさむことじゃない。わかっているけど、この切なさはなんなんだろう。

 約30年前、女子高生ブームがあって、高校生が身に着けたものはショーツでもブラジャーでも高値で売れた。

 それで思い出すことがある。年頃の女の子を持つ母親だった友達は、「娘のショーツが何枚もなくなっている」と電話でぼやいたの。「それ、まずいんじゃね?」と言ったら、「見当はついているんだけど、手元を見ていないから騒げないのよ」と言う。彼女は近所の変質者が物干しから娘のショーツ泥棒をしていると思いこんでいたのよ。

 そのとき、「それ、本人が高値で売っているよ」と言うべきか一瞬迷ったけど、他人の家に波風を立ててどうすると思い、一瞬ひるんだらもう言えなかった。結局、その娘は高校卒業を待たずに家出をして夜の世界に入ったと風の噂で聞いたけれど、その後どうなったのか。その友達との縁も切れたので知る由もない。

「ね、オバちゃんとご飯食べない?」

 アキバの生足娘の後ろを歩きながら、いま声をかけたらどうなるか。ひとり暮らしだから一晩や二晩なら泊めてあげてもいい。でも、彼女たちは私が想像できないような重荷を背負っているかもしれない。自分の暮らしもおぼつかないのに無責任なことをするなって。

 結局、何もできやしないのに、見かけるたびに気持ちが千々に乱れるんだわ。“偽善者”? わかってるって。

【プロフィール】

「オバ記者」こと野原広子/1957年、茨城県生まれ。空中ブランコ、富士登山など、体験取材を得意とする。

※女性セブン2023年5月25日号

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