岡田准一(42)が16日、東京国際フォーラムで行われた日本映画批評家大賞授賞式で特別主演男優賞を受賞した。
受賞対象作「ヘルドッグス」(原田眞人監督)をはじめ、単に格闘アクションをするのではなく、スタッフとしてメインキャストのアクションも考え、現場で教えるなど、監督やアクション監督として、アクションと演技の融合を続けてきたことに対して、岡田のために新設された賞を受賞した。
岡田は檀上で「大河への道」で主演男優賞を受賞した中井貴一(61)から、高倉健さんから託された時計を渡されたと明かした。「中井さんが、僕に会いたいとおっしゃって楽屋に来るというので、いや、僕から行きますと、ごあいさつに伺うと『君に渡したいものがある』ということで、この時計をいただきました」と言い、披露した。
岡田は「この時計は、高倉健さんが中井貴一さんに渡した時計だということです。中井さんは『今、君の活躍、君の思いを受けて、これを託します』と、おっしゃって渡してくれました。僕なんかが、もらって良いのかな、という思いは、たくさんあって」と言い、中井と12年に共演した自身の主演映画「天地明察」での思い出を語り出した。
「中井さんと共演させていただいた時に、真夏の暑い時だったんですけど『汗をかくと、スタッフの方に迷惑がかかるから』と、水を一滴も飲まないで撮影をされていた。僕はすごいなと思いながらも、隠れてチビチビと水を飲んでいた。そんな自分が(時計を)渡してくださったり、高倉健さんが志村喬さんからいただいたダイヤを、僕の手元に流れでいただいた縁もあったり」
岡田は「特別賞という名前を、千葉真一さん賞だったら、どうだったのか? みたいなのが選考理由の中にあったと聞きました」と、21年に亡くなった千葉真一さんの名を挙げた。そして、千葉さんとのエピソードも語った。
「コロナでお亡くなりになる、ほんの少し前に千葉真一さんから電話をいただいて。『一緒に、何かやりましょう。頑張ってますね』って言っていただけて。『千葉です』と、おっしゃったので『どこの千葉さんですか?』と聞いたら『真一です』と言われた、その瞬間に、僕は直立になって『はい、はい』と言ったんですけども」
岡田は「役者の中にも物語があって、つなげていくものがあって。自分が、そこの場所にいられるということへの喜びと、つなげていかなきゃいけないという責任と、皆さんに喜んでもらえる映画を作ることが出来るように、悩みながらですが精進していけたらいいなと今日、いちだんと心に誓いました」と、俳優としての思いバトンを背負い、映画と向き合っていく覚悟を示した。
受賞に関しては「本当に、監督と現場で戦ったスタッフに感謝」と「ヘルドッグス」の製作陣に感謝。その上で「力になれているのか、最善を尽くせているのか自分に問いかける。うまくいかないと思う時も、たくさんある。受賞の話は、落ち込んでいた時に聞き、岡田のために(賞を)作ったと選考理由を聞き、救われた」と主催者にも感謝した。
司会のフリーアナウンサー笠井信輔(60)から、中井から受け継いだ高倉健さんの時計を、いつ着けるか? と聞かれると「自分が映画に必要ないのかな? と日々、不安になったり…そういう時に着けていけたらいいなと」と語った。