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SMAPが劣勢自民党への支持呼び掛け-有権者向け新聞広告

30日に投開票を迎える衆院選で 与党自民党の劣勢が伝えられるなか、人気アイドルグループのSMA Pが有権者に麻生政権と現職議員への支持を呼び掛けた新聞広告が波 紋を広げている。

これは26日付の産経新聞朝刊が4ページにわたって掲載したラ ッピング形式の全面広告。平成国際大学法学部の佐々木孝夫准教授(メ ディア・政治学)は、SMAPが若い有権者に自民党支持を働き掛け た広告だと指摘する。

「幸せな国のつくり方。」と題した広告でSMAPは、「景気の いいときの首相はいまだに人気があって、悪いときの首相は人気がイ マイチ」とし、「みんな、日本をよくしたい!と頑張っているんだろ うと思います。なかなかうまくいかないことも、裏目に出てしまうこ ともあるでしょう」と主張。さらに「自分たちで選んだ人なのですか ら、ちょっと大目に見て、応援することも必要なのかな、とも思うん です」と語り掛ける。

広告の最後にはSMAPのロゴとピンク色のハートマークが掲載 され、さらに「衆議院議員選挙の投票日は、8月30日です」と記され ている。

「そっときゅっと」

佐々木准教授は「明らかに麻生政権を支持する内容だ。CDを売 るために選挙期間を利用したという点では極めて巧みな広告戦略だろ う。一方で、広告の最後に選挙日まで記載してあるので、政府のパブ リシティーだと初めは思ったほどで、誤解を与える広告と言える。若 年層の投票行動には一定の影響力を持ち得る内容であることから、S MAPにも責任の一端があるといえる」と述べた。

この広告を作成したのはJVC・ケンウッド・ホールディングス 傘下のビクターエンタテインメント。裏面はSMAPのニューシング ル、「そっときゅっと/スーパースター★」の宣伝広告で、SMAP 全員の全身写真が掲載されている。

SMAPの所属するジャニーズ事務所にメンバーへの取材を申し 込んだが、広告主のビクターに任せるとの回答があったのみで、現在 のところSMAPからのコメントは得られていない。

ビクターレコーズのSMAP宣伝担当、宮川陽一氏は、当該広告 は特定の政党や候補者を支持するものではないと説明。内容について は、SMAPのメンバーが感じていることを表現したものだと語った。

若い無党派層を誘導

広告には具体的な政治家の名前は出てこないが、カリヨン証券の チーフエコノミスト、加藤進氏は「非常に強いメッセージで、麻生氏 をかばい、現政権への厳しい見方を緩和しようという偏りのある広告 だ。SMAPの人気を考えると、若い無党派層が誘導されて投票する ことはあり得る」とみる。

27日付の朝日新聞は、有権者に対する電話調査を踏まえた最新情 勢分析で、衆院解散時に112議席を有していた民主党が、今回の選挙 で計480議席のうち320を上回る議席を獲得する可能性があると報じ た。

加藤氏は広告について、「問題は、誰が、どういう意図で、どう いう効果を狙って出した広告なのかがはっきり読み手に伝わらないこ とだ」と述べた上で、全国紙の一面に、しかも選挙直前に掲載された 本広告は「ミスリーディングだ」と分析した。

自民党の広報担当は匿名を条件に、この広告について、元気づけ られる内容であり、ありがたい話だと述べた上で、自民党が企画に関 与したということはないと言明。また、SMAPを公式な自民党支持 者としてはとらえていないと語った。民主党の報道担当は匿名で、広 告については承知していると述べた上で、特段の行動は考えていない と述べた。

産経新聞の広報部はブルームバーグ・ニュースの取材に対しファ クスで回答し、内容は広告主ビクターエンタテインメントが複数社の 代理店と作成したと指摘。また、個別の政党や候補者を支持するもの ではなく、同社の広告審査基準をクリアしていると説明した。社団法 人ABC協会によれば、2009年上期の朝刊発行部数は184万6591部。

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