ここでステージ下手からキーボードが登場し、観客席からどよめきが起きる中、ライブ当日に発売になったアルバム『kimiban』からの新曲『さよならリフレイン』が披露された。森田がきみとバンドで初めてピアノ弾き語りをした。このバラードは森田の真骨頂である艶やかで美しいボーカルで客席を魅了した。
さらにここから森田加入後初のシングル曲となった『シャボン玉』、通常のライブではラストに歌われることが多いスローバラード『歌にのせて』、王道アイドルポップソング『きみが好き』から一転してAORの雰囲気が漂う『蝉しぐれ』ときみとバンドの幅広い音楽性を見せつける。この振り幅の広さがきみとバンドらしい構成だった。続いて大野のMCが始まる。
「浅草公会堂ライブを発表してから毎日、日本武道館への第1章のライブと言い続けました。ファンの方のツイートにも日本武道館という言葉を目にするようになり、私も当たり前のようにSNSやMCで日本武道館と言い、本当に私はその場所を目指しているんだと思う時があります。中学生の頃から芸能界に憧れはあったけど「何をしたい」「これで売れたい」という明確なものがなくて。メンバーやファンから「真依ちゃんは何でも受け入れられて柔軟でいい」と言われるけど私は自分が逆に空っぽな気がして嫌になります。そんな私をファンの方が支えてくれて、両親も何も言わず見守り、メンバーも受け入れてくれて。ファンや家族のためにと恩着せがましいかもしれないけど空っぽの自分にはその想いが私を満たし、上を目指せる原動力になっています。大きなステージにみんなを連れていくという約束を守るためなら私は何でもやります。このメンバーとチームで日本武道館へ行きましょう。あの場所へ」
メンバー3人で初めて作詞した『あの場所へ』は元々、昨年のZeppワンマンに向けて作られた曲だが、今ではコンサートタイトルの「Road to Budokan」の象徴とも言える曲となっている。この曲では普段の大野のイメージからは想像出来ないハードなドラミングが見所の一つだ。そこからアップテンポで会場中が盛り上がる『恋のモンスター』、『浅草好きやけん』と歌詞をライブ会場に変えて歌うのが定番の『∞YAKEN』、最後にこの季節にピッタリの『春風問答』。花びらが舞い散る演出がとても素晴らしく美しく曲の世界を一層引き立てた。
ステージからメンバーが降りるが鳴り止まないアンコールの拍手。これに応えてメンバー登場。清原がバンドマイクを持ち、MC清原による清原の出身地の愛媛県東温市のPRソング『東温ラブストーリー』だ。清原の独自のラップからサビで森田のクリーンなボーカルが印象的な一曲である。最後に「今、会いに行くよ」とこれからもライブを続けていく、日本武道館に向けて走り続ける決意を感じる『rebirth』でライブは終了した。
このライブで、圧倒的なボーカルを披露した静の森田とバラードからラップまで何でもこなし、曲中のパフォーマンスでも客席を魅力する動の清原、その2人を後ろから安定したビートで支える精神的支柱のリーダー大野の3人の作り出すトライアングルは正に唯一無二のバンドだと感じた。これからも困難を乗り越えて武道館に向けて走りつづけてもらいたい。