オートバイのフレームをカット
(チョップ)してデザインを変
えた車両の事をチョッパーと呼ぶ。
カフェレーサーやアメリカンチョ
ッパー作りなどでは多用される。
しかし、海外でも日本でもそうなの
だが、自動車工学を専門的に勉強
した事のない応用力学に無知蒙昧
のまま適当に勝手に「見た目」だ
けの観点から二輪車のフレームを
切り刻んで切った貼ったをやって
いる人たちがかなり多くいる。
とてつもなくそれは危険な事だ。
特に、これはトラックのラダー
フレームもまったく同じ現象が
起きるのだが、左右をわたすケタ
を繋ぐクロスメンバという部分を
何も考えずにカットしてしまって
いる人が多く見受けられる。
トラックの場合には架装の艤装で
着けたい物が着かない場合に、
邪魔になるメンバをカットする
事は絶対厳禁だ。確実にシャシそ
のものに亀裂が入る。
オートバイの場合も、後軸上方部分
のクロスメンバをチョップして除去
したままテールロールパイプを溶接
しただけの愚かな改造をしている
ケースがかなり多い。
それはただの見た目だけのプラモ
感覚で動体車両を危険な走る凶器
にする改造でしかない。
コーナリングフォースに耐えられず
フレームはよじれまくって、まとも
に走る筈はない。
ニコバッカーにしろモリワキにしろ
世界のレーシングコンダクターたち
のロードレーサーのフレーム作りの
手法をよく観察してみるとよい。
必ず、きちんと応力計算して左右を
繋ぐ補強がしっかりと必要個所には
設置されている。でないと直線でも
コーナリングでも安定しないからだ。
オートバイはある意味、重量貨物の
トラックよりもフレーム=シャシの
構造が極めて重要な乗り物で、フレ
ーム如何でまともな車かまったくの
見てくれだけで走ることができない
1/1プラモになるかが決まってしまう。
そうした最重要な物理的な現象が
発生する事を頭で理解していない
人たちは、勝手に二輪のフレームを
バンバンとカットして、適切な応力
処理の視点に立った補強を一切入れ
ない。
危険物体を作って公道を走らせよう
としている。
自動車工学での強度計算は、単なる
物理学的な強度計算とは異なる。
シャシ設計は「固め」ればよいもの
ではなく「しなやか」な「たわみ」
を活用して応力を逃がす点も設定
しないと、車を走行させるとシャシ
に亀裂が入りまくるのだ。
なので、二輪車を含めて自動車には
専門の自動車工学という分野が学問
として存在しているのだ。
見てくれだけを求めて、自動車工学
とは全く無縁な領域で勝手にオート
バイのフレームを切り刻んで、はい
カスタムでござい、というのは、それ
は「車」を作っている事にはならない。
危険物体、走る凶器を作っている。
建築物でのすじかいの無い壁柱のよう
なものだからだ。
基本を無視した見た目だけのハリボテ。
飾るだけならよいが、それを実用に
用いるのはとても危険な事だ。