
「たった1人の常務理事が、学園を私物化しているのです。役員報酬を不正に増額し、不当な人事が横行し、理事長もまるで言いなり。完全に権力を掌握している様は、まさにモンスターですよ」
そう内に秘め続けた思いを吐き出すように語るのは、桜美林学園の関係者。
東京・町田市に本部を置く学校法人桜美林学園が私物化される
桜美林学園は、東京・町田市に本部を置く学校法人だ。同法人は2021年に創立100周年を迎え、キリスト教系の幼稚園、中高一貫校、大学を有する。大学からは、タレントのインリン・オブ・ジョイトイや俳優の磯村勇斗などを輩出している。
そんな桜美林に、いま異変が起こっている。
「発端は2020年に佐藤東洋士(とよし)7代目理事長が急逝したことから始まります。佐藤さんはトップダウンで物事を決めていく“カリスマ”であり、悪く言えば“独裁者”でした。しかし、圧倒的な経営センスを持っていたのです。少子化によって大学全入時代へと突入することを見越し、大胆な改革を打ち立てたことで受験者数は増加。かつては学生数が4000人程度でしたが、今や1万人規模の大学にまで成長させたのです。そんな佐藤さんによって閑職へと追い込まれていた人たちが、“カリスマ”の死によって復権を目指し始めました」(同・学園関係者、以下同)
佐藤氏が亡くなった2020年10月18日から数日後のことだった。佐藤氏の“独裁”を不満に思っていた学園職員たちが集まって会食をする。
「そこで“佐藤に好き勝手やられたままでいいのか。このままだと佐藤が可愛がっていたアイツが次の理事長になってしまう”などと話し合いが行われた。そして、桜美林の卒業生で中高の校長だった大越孝前理事長を“復権の神輿”に担ぐことを決めるのです。集まった職員たちは、ある男に“あなたが実権を握ってください”と話していました」
その“ある男”こそ“モンスター”濱健男常務理事だ。
「濱は元文部科学省の役人で、私立学校の監督官として働いていたため、私学経営に精通している人物です。大学に新たな学部を作るときなどの文科省対策として、佐藤さんが採用したのです。学園では10年以上にわたって事務局長として働き、最終的には事務方のトップである法人本部長に上り詰めました。2017年には学園の常務理事になりますが、たった1年で佐藤さんに理事から外されてしまいます。文科省とのパイプ役として活躍した濱としては“あんなに力を貸してやったのに”と、相当な不満を持っていたはず」