ちょっと恥ずかしい話です。AGの話を参考にするために、「女装ワールドNAVI」とか見てたら「そういやあね」とも思って、女装サロンの思い出話でも「恥は書き捨て」で書きましょうか。いつぞやGID研究会で「GIDの人は女装サロンに行ってたことを隠すもんだ」なんて言われたこともありますが、昭和な時代のことですからネットもありませんし、クレカはあっても通販は取りにくい...遊び人じゃないおばさまとかは、情報がないですからね。まだ昭和な頃(20代後半)に、小川町のエリザベスに行ったのが一番最初ですね。

東京に遊びに行ったときの話です。夏の午後でしたね。夕方は会合があるので、数時間ほど。当時からひどく身体的に女性的なことにはよくわかってましたけど、完全女装したら本当に女らしいカラダでしたね。キレイ、というよりも自分の女らしさにショックを受けてました。「やっぱり自分ってホントは女だったんだな...」なんて思いましたもの。この日時間帯も午後ということもあって、お客はおばさまだけ。単に服着てウィッグかぶってお化粧して、ポラ撮ってもらっただけです。地味なOL風の服装です。
で、その後東京に一年ほど住んでたので、その時に月2くらい通ってたかなあ。エリザベスが亀戸に移転したあたりです。で常連さんを観察しているとなんか「男」なんですね。あるいは「わざとらしいくらいにオトコにコビる女」? 行動パターンが「男」なの以上に、やはり男性の「代謝の高さ」みたいなものを感じるんですね。だからお化粧したり露出の多い服装をするのが、暑苦しいというのか「不潔(ごめんなさい....)」な印象があって、どうも違和感が強かったです。男性特有の「むんむんと発散するような」感じ? やはり女性が肌を露出してもいい、というのは子供に近い「代謝の低さ」があるからだ...という風にも思うんです。おばさまお酒はあまり飲めない方だし、夜の体力もあまりない方なので、「女装して街に繰り出す」とかそういうのは関心ありませんでしたしね。それでも「女にしか見えない3人」のうちにカウントされるくらいの女性度でした。
「女装サロン」ですからねえ、女物の服やら靴やら売ってましたが、高いうえに「男性サイズ」のものばっかりで、ほとんど買いませんでした。レンタルの衣装なんてぶっかぶかで困りましたから、男状態で普通にスカートなど購入して、貸ロッカーに入れていました。そう常連さんと交流したわけでもなくて、マンガ読んでることが多かったように思います。あまりサロンのメリットがなかったですね。

その後大学院に入って、関西に移りました。で、やはり九条→難波のエリザベスとか、新大阪のパレットハウスとか行くには行ったのですが、関西はお店が外出を嫌がらないのですね。パレットハウスなんて「マトモな女装者であることの保証書」みたいなものを、別料金でくれるサービスとかありましたし。なので、着替えてお化粧してもらって、即外出。一人暮らしですから、サロンに戻らずに夜に直接帰宅、というパターンでした。
「外出保証書」をもらって外出したこともありますけども、おばさま全然役に立つ機会はありませんでしたね(苦笑)。お金のムダでした。「女にしか見えない」とはサロンで言われましたが、女装者による評価は超甘口なのはわかってます。本音は「おせじ、でしょ?」と思ってたくらいでしたから、結構ビビりながらの外出ですが....いや、街を歩いても誰もヘンな目で見ないんですね。女性用の下着とか化粧品とか買って、店員さんと少し会話しても、全然対応はふつう。旅行者らしい女性に地理を聞かれたりして、ビクビクしながら方向を教えても、ふつうに感謝されて...あれ、最初から完璧にパスしてるみたい。
もちろんビビってますから、最初は多目的トイレを使いますが、だったら...と思って、女子トイレに入ります。「これが名高い女子トイレの行列ね」と行列に並びます。誰も特別な反応をする人はいません。手洗いの鏡に並ぶ女性たちの姿が映ってますが、とくにおばさまが「突出して」みえることもありません....ふつーに女性の一団です。で、自分の番になって、個室から出てきた女性が会釈してきたので、こっちも会釈して入ります。

...何も、起きない。

単に用を足して、手を洗って、お化粧を直して....と、内心びくびくでしたが、あっけなさに気が抜ける思いでした。女、じゃん。
となると、安心して買い物。最初のうちは失敗もありましたが、だんだん女性レベルでほどほどおしゃれ、埋没できる服装を揃えていって....で、いよいよ、サロンと縁を切ります。自宅からの出撃です。

最初のセットに入っていた化粧品がチープなんですね。それでもつけまつげなんて入ってますし、ファンデはドーランみたいなもの。要するに「写真撮影用」のメーク道具で、男の顔を塗りつぶして強引に「女の顔を描く」ようなメークです。なのでサロンにいたころでもつけまつげは速攻で拒否。で、自分で買った化粧品に入れ替えて...で、自分でメークします。最初は小一時間かかります。液体アイライナーが描けなくてねえ(今も苦手)。サロンでのメークも、最後の方は本当にサロンのメークさんのやり方をしっかり覚える、という感覚でしてもらってました....というか、行く理由の大部分がそれになりました。
そして出撃。新神戸のあたりをうろうろしました。万一を考えて、電車も女性専用車にします。あれ、おかしいかしら?女性専用車の場合、万一自分バレしたとしても、女性ならかばってもらえる可能性が高い?と思ったからです。そっか、もうこの頃は「男バレ」なんて絶対しっこない、と思ってましたね。「男バレ」しないけど「自分バレ」したら困る...という感覚にすでになってました。で、買い物、食事、女子トイレ、と難なくこなして帰宅。ふう、自力外出が問題ありません。

そうしてみると、女装サロンは「女性で外出ができるようになるためのツール」として使っただけでした。いわゆる「女装子の夜遊び」は全然したことないです....チェイサーさんと遊んだこともありません。常連さんたちって「男」にしか思えないですし。パレットハウスで「性転換しても幸せになれるかどうかなんてわからない。ホルモンバランスの崩れから体壊して、後悔する人も多いんだよ」って、店主さんらしい方にお説教されたこともあります。やはり店側もメイン客層とはズレたGID系、と思ってたんでしょうね。こんな感じで「野良女装」で約10年間、月2くらい女性で外出してました。買い物メインですね。そしたらSRS解禁と「GIDブーム」、特例法という流れがあって、「わたしも女になれる!」と思って、Gフロント関西のトランスサロンで情報収集、ジェンクリ受診という流れになります。だからトランスサロンでも「最初から完璧」と評されましたし、ジェンクリでも初診で「あなたは女性です!」と断言される完成度でした。

やっぱり「女装子」じゃなくて「女性」でしたね。

おまけ:エリザベスでは「女にしか見えない3人」にカウントされてましたが、あとのお二人ともお会いしたことがありましたね。一人は私と似たような雰囲気のメガネの小柄な子。もう一人が印象深いです....いやホント女顔美人さんでした。ただしメークは濃かったです、べったり塗ってる感じ。骨格がきれいなんでしょうね。で、この方、状況限定かもしれませんが「女声」が出るんです。「にゃん!」とかそういうブリっ子ができたんです。凄いな~と思って見てましたが、お化粧落として...に出くわしました。なんかもっさりした雰囲気のお兄さん....ギャップの大きさにショックを受けました。AGってこういうことみたいです。