右脚は外側だけ本物で、中身は太ももの真ん中からすね辺りまで筋肉を含めてすべて人工物に置き換わっています。2010年2月に受けた人工関節置換術は16時間の大手術でした。
右脚の膝関節が痛いと思い始めたのは09年の秋ごろです。近所の整形外科でレントゲンを撮っても原因がわからず、その後、鍼、電気、ヒアルロン注射など、複数の病院で複数の治療をしました。でも、すべて効果なし。そのうちに寝ていてもキシキシと痛くなり、しまいには大きなコブが膝から飛び出してきたのです。それでも、「神輿コブみたいなものだからそのうち治るよ」と言う鍼灸師に、さすがに「もうダメだ」と思い、知り合いのつてをたどって有名な大学病院を紹介してもらいました。
10年春、その病院の整形外科でレントゲンを撮ると、影っぽいものがありました。ただ、「では、MRIの専門機関で患部を撮影して、それを持って1カ月後ぐらいに来てください」と言われて帰されました。病院のMRIは緊急性がないと使えないそうです。
独白 愉快な“病人”たち
悪性球腫で右脚の中身は人工物に…演出ディレクター栗栖良依さんはそれでも夢を叶えた
栗栖良依さん(演出ディレクター/46歳)=悪性繊維性組織球腫