Twitterで3月29日夜、東京都立墨東病院が「機能停止」したという情報が拡散した。墨東病院は、東京の隅田川以東で唯一の救命救急センターを持つ基幹病院だ。
墨東病院の担当者によると三次救急とERは確かにこの日、数時間受け入れを止めたものの、再開したという。
では、なぜ「機能停止」という事実と異なる見方が拡散したのだろうか。
発端は専門家のツイート
「機能停止」という情報の発端となったのは、3月30日19時過ぎの上昌広医師による「都立墨東病院が救急医療の門戸を全て止めました。三次救急医療もです。理由はわかりません」というTwitterへの投稿だ。
このツイートは4月1日12時現在、3600回以上リツイートされた。
上医師はその約5時間後に改めて「墨東病院が救急外来を再開とか。よかったですね。ただ患者が押し寄せ、パンク寸前だそうです」とツイートした。
だが、最初のツイートのリツイートや引用ツイートが繰り返されるうちに、「救急受け入れ停止」から「機能停止」へと話がすりかわり、「墨東機能停止・・・・これはもう医療崩壊」といったコメントが付いたものがリツイートされるようになった。
![](https://img.buzzfeed.com/buzzfeed-static/static/2020-04/1/9/asset/920a28e203af/sub-buzz-1920-1585734013-1.png)
![](https://img.buzzfeed.com/buzzfeed-static/static/2020-04/1/8/asset/82f9dca87db6/sub-buzz-1956-1585730194-10.jpg)
救急の受け入れ停止を伝える最初のツイートは、その後も残っている。
医療ジャーナリストの伊藤隼也氏も「事実なら大変な問題です」とコメントしつつ、上医師をはじめとする墨東病院の「救急が止まった」といった情報を伝える画像をツイートした。
伊藤氏は30日朝、墨東病院が受け入れを一時中断した際の貼り紙の画像とともに「都内屈指の救急救命センター昨夜の状況です。墨東病院は、新型コロナ受け入れ施設として、この数ヶ月あらゆる苦難を引き受けて来たと言っても過言ではありません。張り紙は苦渋の選択でしょう。十分なマスク防護服もなく現場だけに責任を負わせる都の現実です。小池知事は理想語りではなく現実を見ろ!」とツイートした。
このツイートは4月1日12時現在、1500回以上リツイートされている。
墨東病院がすでに受け入れ再開をしているという情報は含まれておらず、この投稿を見た人に誤った認識を与えかねない状態といえる。
一時中断、その理由は?
救急センターは本当に受け入れを中止したのか。それはなぜか。
BuzzFeed Newsは都立墨東病院に取材した。
担当者によると、墨東病院では3月29日、一時的に三次救急とERの受け入れを中断した。その理由は「新型コロナウイルスの患者受け入れ体制を整えるため」だという。
「新型コロナウイルスの感染者数も増えてきているので、(体制作りのため)一時的にERと救急の受け入れを制限しました。今はしっかりと役割を果たし、処置をしていることをお伝えしたい」と語った。
Twitterで不正確な情報が拡散している事実は確認しているが、ホームページ上で発信した情報をもって、病院として回答していると考えているという。
「一時中断をしていましたが、現在は受け入れを再開しているという情報は、ホームページで29日夜のうちに出しています」
なお、三次救急やERの受け入れを再び中断する予定は、いまのところないという。
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