不倫関係の末2度の妊娠…嫁との“扱いの差”に不満募る
検察側の冒頭陳述などによりますと、佐藤被告が被害者の夫と不倫関係になったのは、2021年5月ごろとされています。きっかけは被害者の夫から佐藤被告に好きだと伝えたことでした。
互いに既婚者で関係を持つ、いわゆるダブル不倫。佐藤被告は交際してすぐに被害者の夫から、妻に浮気がばれたら殺される、ばれたくないなどと言われ、その関係は互いの配偶者に隠したまま事件当日まで続きました。
佐藤被告は2度に渡り、被害者の夫の子どもを妊娠しました。
1度目の妊娠は、関係を持ってからおよそ3か月後の2021年8月。ただ、この時は流産しました。そして、2度目の妊娠が発覚した去年2月ごろ、佐藤被告は被害者の夫の、妻と自分に対する扱いに差を感じるようになったといい、それが今回の犯行動機につながります。
佐藤被告「私は被害者の夫に対して、あれは大丈夫?これは大丈夫?と聞いてしまっていました。被害者は近くにいるから聞かなくていいんです。(被害者の夫に)私は面倒くさい、被害者は楽といわれたので、近くにいられることをうらやましいと思いました」
「私が被害者の夫に大事に扱われていないと思ったことがあって。LINEをしたら被害者の夫は毎回(トークを)消すけど、(4月上旬ごろに被害者の夫が)目の前でラインの履歴をすべて消しました。それを見て私は『ゴミ捨てるみたいに扱うね』と話しました。そしたら被害者の夫は怒りました」
不倫相手に「殺したい人が2人いる」発言の真意は
佐藤被告は被害者の夫との会話の中で「殺したい人が2人いる」と話したとされていますが、この発言は前に働いていた同僚を指したもので、会話の流れで話したことだと弁解します。
佐藤被告「冗談で言うことではないと思うけど、殺したい人が2人いると話しました。被害者の夫の全く知らない人で、私の前職でそういう人がいると話しました」
しかし、佐藤被告の車の中からは、被害者の女性とその子どもの顔が黒く塗りつぶされ、「死」や「死ね」と書き込まれた写真が見つかっています。
弁護側は、誰が写真をプリントし書き込みをしたのかはわかっていないと主張していて、佐藤被告も書いたのは自分ではないと話しますが、検察から関連した質問を問われると、佐藤被告はわからないと繰り返す場面が目立ちました。
検察「佐藤被告の車の中にあった写真が入っていたとされる白い手提げかばんは誰のものですか」
佐藤被告「わかりません。車に荷物がいっぱい置いてあって、どのかばんを示しているのかもわかりません。白いかばんは持っています」
検察「かばんの写真を見ればだれのものかわかりますか」
佐藤被告「わかると思います」
検察(写真を見せる)
佐藤被告「違う角度のはありますか?似たようなかばんはあるんですけど、これかどうかわからないです」

事件の根幹にかかわる部分は終始、覚えていない、わからないと言った曖昧な答えを繰り返した佐藤被告。
被害者が「なんでもするから殺さないで」と言ったのに対し、「じゃあ死んで」と返答したとされる当時のやりとりもほとんど覚えていないと話しました。