被告自ら語る犯行当日の動き 「かぎを届けてあげようと」

2月2日の被告人質問の場で、佐藤被告は当時の犯行を振り返りました。

事件当日、佐藤被告は被害者の自宅に、玄関からかぎを開けて侵入しました。かぎは勤務先に落ちていて、拾った時期は覚えていないと話します。

そして、かぎの持ち主が被害者の夫と気づき、渡す機会はあったものの、事件当日までに返すことはしなかったと話します。

佐藤被告は被害者の自宅に向かおうと思った最初の理由を、この”かぎ”を返しに行くためだったとしています。職場のシフトを管理する立場にあった佐藤被告は、被害者の夫が夜勤で家にいないことを知っていました。

どのようにしてかぎを返すつもりだったのかと検察に問われると、佐藤被告は当時のことはわからないと話します。ただ、被害者の自宅に包丁を持って向かった理由は「おそらく、その時点で被害者を傷つけようという目的はありました」と説明しました。

佐藤被告 被害者の眠る寝室に入るまで「躊躇があった」

被害者の自宅に到着した佐藤被告は、インターフォンを押し、一度「すいません」と声をかけた記憶があると言います。そして、犯行現場の2階寝室に入るまでは、犯行に躊躇があったと話しました。

佐藤被告「そのままやめて帰ろうという思いがありました。寝室に入る前にやめて帰ろうと思いました」

初公判の佐藤被告(画:大河稜央)

しかし、佐藤被告はその後寝室に侵入し、寝ていた被害者の女性を包丁で複数回突き刺しました。躊躇があったのになぜ刺したのか。佐藤被告は「思い出せません」とその理由を語りませんでした。

一方で、凶器は被害者から血が流れているのを見てその場に置いたと話します。

佐藤被告「被害者を傷つけてしまい、その時点で被害者に対してひどいことをしてしまったと思い、置いたと思います。(被害者が)子どもを抱きかかえたので、子どもは傷つけたくないと思ったので、包丁は置きました」

到着した警察に嘘の申告「被害者を刺していない」

佐藤被告は、近隣住民の通報によって警察に現行犯逮捕されました。

「被害者を刺していません」

駆け付けた警察にそう告げた佐藤被告。当時を振り返り、「とっさについてしまった嘘でした」と説明しました。

警察の調べに対し当初は「部屋のかぎを届けてあげようと思って尋ねると、被害者が血まみれになっていました」と話していた佐藤被告は、法廷では動機について、被害者に対してうらやましいという、嫉妬の感情があったと話しました。