pixivは2022年7月28日付けでプライバシーポリシーを改定しました詳しいお知らせを見る

choco
choco

炎のゴブレット 〜2〜

炎のゴブレット 〜2〜 - chocoの小説 - pixiv
炎のゴブレット 〜2〜 - chocoの小説 - pixiv
31,202文字
転生3度目の魔法界で生き抜く
炎のゴブレット 〜2〜
代表選手が発表されて波乱の中、彼女が出す覚悟とは…

‘’彼’’の企みとは…
91767814916
2021年6月6日 05:28

※捏造過多です



————————————

クィディッチ・ワールドカップの日から翌日、『日刊預言者新聞』の記事を見て、シリウスはハリーが滞在しているウィーズリーの家に訪れていた

突然来たシリウスにウィーズリー一家は驚いたが、ハリーはシリウスが心配してきたことに喜び、ホッとした

それからワールドカップであったことをシリウスに全て話したハリー


ウィーズリー宅の居間でお茶を飲みながら、ロン、ハーマイオニー、ハリー、アーサー、シリウスが囲んで座る


「…そうか、レギュラスが居たのか」

アーサーがいるので、オフューカスのことは伏せて、ユラが居たことを話したハリー
シリウスは両手を合わせてキツく目を瞑り考え込んでいる

「レギュラス殿が居なければハーマイオニーが嫌疑をかけられて、魔法省に連行されるところだった。本当に助かった」

アーサーがホッとしたように言い、全員が気まずい顔をした

ハリーは悩んだ
この場でオフューカスのことを聞くべきか
だが、どちらとも個人で聞いても教えてくれなかったのだ

それに彼女はあの時、何かを話そうとしてくれていた
母を知っているか、と聞いた時肯定したのだ

なら、この場でなら…
ハリーは思い切って切り出した

「シリウス…『オフューカス』は僕の母さんとどんな関係だったの?」

「ハリーっ」

思い切って聞いたハリーにアーサーが咎めるように止める
が、シリウスは軽く手でアーサーを制した

「何か聞いたのか?」

「…うん…」

「…そうか…オフューカスは、妹はリリーとは友人’’だった’’」

「友人’’だった’’?」

「…すまないが、妹に関しては私は何も言える資格はないんだ。別に君に言えないわけじゃない…わかってくれ」

更に質問しようとしたハリーにシリウスは苦い顔をしてまたも口を閉ざした

「ハリー、あまりシリウスにそのことを聞かないでやってくれ…」

アーサーが付け加えるようにハリーに言った

ハリーはその場は引き下がるしかなかった











そうして、もやもやした気分のままハリーは新学期を迎えるためにホグワーツに戻った






















いよいよ新学期だ…
憂鬱だ…
行きたくない…

母が用意してくれたドレスコードと、新学期に必要なものをトランクに詰める

「ユラ、準備はできた?」

母の声がして振り返ると心配そうな表情で私を見ていた

「準備はできたよ。どうしたの?」

「心配だわ…ワールドカップのこともあるし、あなたにもし何かあったら…」

心配そうに私を抱きしめくれる母に、肩の力が抜ける
私は恵まれている…
今世の父と母はとても優しい…
愛情をたくさんくれる…
なのに私は…
裏切っている…

「大丈夫だよお母さん。しっかり勉強してくるわ」

「勉強も大事だけれど、母さんは楽しんで欲しいわ…あなたには伸び伸びと生きて欲しいの」

生きて…
私にはもうそれはできない…
親不孝者でごめんなさい…

「こんな物騒なことになるなら…日本で暮らせばよかったわ…」

「そうなったらお父さんは寧ろ喜びそうだよね」

「当たり前よ。お父さんは日本が大好きなんだから」

「あとお母さんもね」

「あらユラったら。よくわかってるわね。ユラにも気になる人はいるのかしら?」

気になる人…
母はこの手の話題が好きそうだからな
一瞬、彼を思い浮かべたけど、すぐあり得ないと振り払った
あれは違う…もっと物騒な意味で気にしなきゃならない奴だ

「いないよ。そんなことになったらお父さん泣いちゃいそうだもん」

「ふふっ…そうね。可愛い一人娘が気になる人なんて作ったら拗ねちゃうわ」

拗ねるだけで済めばいいが
「お父さんは認めないよ」とか笑顔で言いそうだもん
本当に暖かい家族だ…
この平穏が…
壊されたくない…
ずっと…続けばいいのに…


心の中で家族を裏切り、親不孝をする私…
ごめんなさい…
ごめんなさい…
こんなに大切に育ててくれたのに…

思わず、母の背中にまわる手にぎゅっと力が篭る

「あら、ふふ…いくら優秀で大人びててもユラは甘えたさんね。母さんはここにいるわよ。お父さんも。いつでもユラのことを見守っているわ」

「…うん」




その日は、母さんの得意料理が暖かく感じて心が泣いた
明日からホグワーツ
日本食とも暫く離れ離れ
心が締め付けられて…傷んでいく…
積もり積もった罪悪に壊れてしまいそうだった…
嘘と罪で塗り固められた私…
赦されない…赦されてはいけない…











その日の夜、ベットに横になりながら眠れずにセンリを撫でているとギシとベットの骨組みが音を立てた

「放っておいてよ。今はあなたの相手する元気はないの」

なに普通にあがってきてんだ
お前のベットじゃない

「元気がないわりにはハッキリとした拒絶だな?」

ほんといちいち人の揚げ足を取らないと気が済まないのか
腹が立つ
どうせ後ろでニヤニヤしてるんだろう
それに普通に人のベットに上がってくるやつに拒絶以外の何を言えばいいんだ
霊といえど
もういい、無視しよう

背中を向けたまま無視していると、彼の体が近づいてきてシーツの衣擦れの音が鳴り、私の背中にピタリと温度のない体が触れた

それにびくりとした恐怖が広がり、肩に力が入る
後ろ髪を弄られているのだろう…
髪にゾワゾワする感覚を感じていると

「昼間、お前の思い浮かべた’’気になる人’’は僕だろう?」

一瞬目を見開いた
どうしてこいつはこういうことがすぐわかるのかっ
それに気になる人なんかじゃないっ
自分を道連れにしようとしている相手にっ…

「…あんたは気になる人じゃなくて、’’気を付けなきゃいけない’’人でしょ…馬鹿なこと言わないで…」

あなたは力を追い求めて支配することしか頭にない…
愛なんて知らないし興味もない
感じることもできない

「’’いけない’’か、まるで本当はそう思いたくないように聞こえるな」

💢
本当にっ…
こいつとの会話は疲れるっ
言葉遊びする元気なんかないのよっ
ほっといてよっ

「勝手にそう思っていればいいわ…」 

「生意気だな」

低い、怒ったような声が聞こえて、反射的に体が恐怖に震えた
後ろを見れない…
怖い…

「くっくっ…体は正直だな?僕の声色ひとつでお前は翻弄されるのだから」

っ!
あんたがそうさせたんじゃないっ
わかってて…わかっててっ

「そう怖がるな、ナギニ。こっちを向け」

怖がらせてるのはあんただっ
選択肢なんてないくせにっ



結局、逆らえずに、ゆっくり体を反転させて彼の方を見る
紅い目が細められて、さらさらの黒髪が私の枕に落ちている

彼が横になった時の顔を見るのは…いつ以来だろう…

紅い目から逸らすことを許されない中、じっとしていると不意に彼の温度のない滑らかな長い指が私の頬に触れた

「っ」

「ナギニ…そんなに辛そうな顔をするな」

彼の口から出たとは思えない言葉に目を見張った

「お前は昔からあまり笑わなかったな。恐怖に染まった顔か、もの鬱げな顔をするだけで」

当たり前でしょっ
あんたのせいだっ

「お前の笑顔が見てみたい」

誰…
目の前にいるのは本当に彼?
マネ妖怪とかじゃなくて?

「……あんたがっ…」

「僕が?」

「あんたがこうさせたんじゃないっ…っ……」

怒りも悲しみも苦しみも…
恐怖もっ
全部あんたのせいでっ…
あんたがそうさせたいからっ
私はそうするしかなかったっ…
なのにっ…
なのにっ…
そんな勝手なことをっ

「お前の怯える顔は愉快だからな」

!!
平然とそういうことをいう…
あんたが大嫌い…
最低っ

「’’最低野郎っ’’……ひゅっ」

思わず口から出たら、首を掴まれた
力を入れずに、ただ首に色白の手が添えられているだけなのに…
どうしようもなく恐怖を駆り立てられた

「あぁ…その顔だ。愛らしいよナギニ。僕はその顔を気に入っている」

久々すぎて忘れかけていた恐怖で全身を駆け抜けて、目から涙が溢れる

「…っ…ご…ごめっ…」

咄嗟に謝ろうとすると…彼の顔が近づいてきた
怖くて目が閉じられずにいると、溜まった涙を軽く吸い上げるように薄い唇が目元に触れた

「…っ…」

「気に入ってはいるが、いつか笑った顔も引き出してやる」

怪しげに微笑んだ彼の表情は私にとって血の気が失せるのも仕方ないものだった

怖い…
彼が…
どうしようもなく怖い…

「さぁもう眠れ。酷い顔を新学期そうそう無様に晒すつもりか?」

どこまでも嫌味で最低なやつ
気づけば首に添えられた手は離れて彼の腕に抱き込まれていた

寝れるわけがないだろうと心ので毒づきながら眠れない頭をフル回転させていた

だけど、気がついたら私は眠っていた
彼の香りに包まれて…





















羽の生えたイノシシの像が両脇に並ぶ校門を通り、大きくカーブする城への道を、馬車はゴトゴト進んだ
明かりの灯った無数の窓が、厚い雨のカーテンの向こうでぼんやり霞み、瞬いている

正面玄関のがっしりした樫の扉へと上る石段の前で馬車止まったちょうどその時、稲妻が空を走った


城の中に入り、嵐になってきている外を見る
気味が悪い


「さぁ、どんどんお進みなさい!大広間に急いで!」

マクゴナガル先生の声が響き、私たちはぞろぞろと大広間に向かう

例年のように学年初めの祝宴で見事な飾り付けが施されており、各寮の長テーブルには既に上級生が座っていた
上座にある教員席にはセブルス達が座っている

例年通り、一年生の組み分け儀式がある
案の定、毎回違う帽子の歌

「どうして毎回歌が違うんだろうね」

セオが隣で尋ねてくるので

「歩いたり食べたりできないからじゃないかな」

「いや、そこなの?普通暇だからとかじゃない?」

「あらやだ。わかってるのに聞くなんて。セオったら」

「ユラ、君、意地悪になったね」

「母に似たのかもしれないわ」

「そういえばユラのお母上ってどんな人なんだい?」

どんな人…
ふむ…怒らせると怖くて…多分だけど
基本穏やかでたまにお茶目な…
父を常に尻に敷いてる…

「侮れない’’大和撫子’’?」

「どういう表現だいそれ?’’大和撫子’’は聞いたことがあるけど、侮れない?褒めてるのそれ?」

「確かにユラの母上はまさにその言葉の通りの人だった…僕はあんな綺麗な女性を母上以外見たことがない」

ドラコが思い出すように言うので、まじか…と思ったのは仕方ない

「ドラコは会ったことあるんだったね。ユラと似てた?」

「それ私も気になるわ。ユラって顔’’だけ’’は整ってるんだもの。地味だけど」

おいパンジー
最後のひと言いるか?

「まぁ顔立ちは似てるな。雰囲気は比べるまでもなく全く違う、というか比較にならない。地味さと平凡さなんかまるでないね」

おいこら
君は騙されているぞ
女を見た目で判断すると碌なことにならないぞ

「へぇ。そんなに綺麗な人なんだね。じゃあユラも将来が楽しみだね」

「セオ、そのセリフ年寄り臭いよ」

「セクハラ爺ィみたいなセリフね。無駄に老け込むのも考えものね」

辛辣だ

「セオドール。今のは変態臭いぞ」

フルボッコの口撃が入り、セオは苦笑いになった

「褒めただけなのに…」

「それよりユラの父上はかなり凄いんだな。父上から聞いて驚いたぞ」

ん?

「え、ユラの父親って凄いの?フリーランスで通訳の仕事ってユラは言ってたわよね?」

「うん」

「聞けば、日本の魔法界との交渉ごとでは絶対に欠かせない人物らしいじゃないか。唯一、日本の魔法界が認めてる外交官らしいな」

「そうなの?」

「へぇ…それはすごいね」

いや、魔法省には勤めてないけど…
それに父はあくまでフリーランスだ
あの性格は外交とか別にどうでもいいタイプだ
時々魔法省から仕事を請け負うだけで

「父は魔法省には勤めてないわよ?」

「だから凄いんだよ。父上曰く、コーネリウス・ファッジが数少ない日本との外交官として魔法省に勧誘しているが、一度も首を縦に振らないらしい。高待遇の条件でも絶対に」

まぁ…そうだろうね
別に今の方が儲けてるらしいし
それに「外交官?そんな面倒なことごめんだよね〜。魔法省になんて勤めたら愛する妻と娘に構えないじゃないか〜、母さんとも旅行にいけないしね」とか言うだろうな
ばりばりの私情だ

「日本との外交ってそんなに大変なの?他の外交官もいるでしょ?」

そうだぞ
パンジーの言う通りだ

「いや、日本は特殊な国で、日本人との外交はかなり難しいらしい。一筋縄ではいかないらしい。民族性や文化なのか、日本に理解があり、語学も堪能で使える人材があまりにいないらしいぞ。というか猫の手も借りたいくらいらしい」

ドラコ本当に成長したね…
私は嬉しいよ
心の中で感動する

「魔法省の誘いを突っぱねるってユラのお父さんって…意外と豪胆だね…」

まぁそうだろうね
ずっと勧誘されてるのに未だに首を縦に振らない

「父は母と少しでも一緒にいたいらしいから…」

「そんな理由で突っぱねているのか…凄いな…」

「凄まじい私情だなそれ。まぁ会った時、溺愛してるのは見ればわかったけどな…」

「なんて素敵な旦那様なの〜。私もそんな風に思われるほど愛されたいわぁ」

パンジーだけひとり夢心地で乙女モードに入った

「これは余談だけど、母にどうしても振り向いてもらいたくて日本語と日本について勉強したらしいわ。それでも2年間アプローチし続けてやっと振り向いてもらったらしいけど…」

ほんとよくやるよ
よく家でデレデレの顔で語ってるし
母も今でこそ父が好き好き、愛してるって感じだけど

「「「2年…」」」

三人が引き攣った顔でハモった
まぁ、誰でもそうなるよね…
気が長すぎる…

「何故かしら…聞いてはいけなかった動機な気がするわ…」

「不純以外の何者でもないな…ある意味凄まじい執念を感じるぞ…」

「執念っていうより執着だよね…そこまでになるとどっちが捕まったのかわからないよ…」

やめい三人とも
急に父が不憫に思えてきたぞ

「うん。結果的には両想いになったから、良かったんじゃないかな?」

「楽観的過ぎるぞお前…」

ドラコは最近真面目なツッコミ役が多いな
あれ?私もしかしてボケ役かな?




そんなこんなで、会話も弾んでいた中、ダンブルドアの掛け声で騒がしかった大広間が途端に静かになった



「さて。みんなよく食べ、よく飲んだことじゃろう、いくつか知らせることがある。もう一度、耳を傾けてもらおうかの」

「管理人のフィルチさんから皆に伝えるようにとのことじゃが、城内持ち込み禁止の品に、今年は次のものが加わった。『叫びのヨーヨー』『噛みつきフリスビー』『殴り続けのブーメラン』」

相変わらず物騒だな
ネーミングよ
そのままじゃん

「禁止品は全部で四十七項目あるはずじゃ。リストはフィルチさんの事務所で閲覧可能じゃ。確認したい生徒がいればじゃが」

いるわけないとわかってて言うところ
本当いい性格してるよ

「いつもの通り、校庭内にある森は、生徒立ち入り禁止。ホグズミード村も、三年生になるまでは禁止じゃ。寮対抗クィディッチ試合は取りやめじゃ。これを伝えるのはわしの辛い役目でのう」

ならトーナメントやめにしてクィディッチに変えろ
よっぽど平和的だ

そこかしこで嘆きの叫び声が聞こえる
どれだけ好きなんだ

「これは、十月に始まり、今学年の終わりまで続くイベントのためじゃ。先生方もほとんどの時間とエネルギーをこの行事のために費やすことになる」

費やさなくていい
全くもって
またセブルスの負担が増える

「しかしじゃ、わしは皆がこの行事を大いに楽しむであろう確信しておる。ここに大いなる喜びを持って発表しよう」

楽しみなんて全くないだろう…
恐怖のトーナメントだ…

「今年、ホグワーツにおいて伝説の催しが行われる。トライウィザード・トーナメント(三大魔法学校対抗試合)じゃ。知らない者もおろう」

その言葉で、大広間がざわざわと騒つく
ドラコとセオもこれには興味津々なのか、聞き入っている

「これは三大魔法学校の対抗試合じゃ。一連の魔法競技種目を学校から一名ずつ代表を選び競い合う」

死者が出るような競技をよく続けるものだ…

「三大魔法学校対抗試合はおよそ七百年前、ヨーロッパの三大魔法学校の親善試合として始まったものじゃ…ホグワーツ、ボーバトン、ダームストラングの三校での。五年ごとに三校が持ち回りで競技を主催してのう。若い魔法使い、魔女たちが国を越えての絆を築くには、これが最も優れた方法だと、衆目の一致するところじゃった。ーーーおびただしい数の死者が出るにいって、競技そのものが中止されるまではの」

その発言を受けても、大広間の生徒たちは興奮で全く耳に入っていないようだった

そもそも死者が出るような危険な競技をやるのがおかしい
真綿に包んで守るのもよくないが、ある程度の自主性と危険の範囲を越えてる

「選ばれた者は、一人で、闘うことになる。厳しい競技じゃ。柔なものにはとても熟せん。詳しくは後ほど」

『国際魔法協力部』と『魔法ゲーム・スポーツ部』は一体何を思ってこんな時期に開催しようと思ったのか…
もともと準備していたところに『闇の印』が拍車をかけて、ファッジが奮闘しているのか…

タイミングが悪い…

「さて、ゲストをお迎えしよう。まずはレディから。ボーバトン魔法学校の生徒と、校長先生、マダム・マクシーム」

そう告げたダンブルドア

そして大広間の扉が開いて、淡い上品な水色のローブを着た女性が数十人現れた

うっとりするような姿で上品に歩く姿はまさに淑女だ
男子生徒は目をハートにさせてメロメロになっている
流石だ

私からしたらどんな美女尻込みして逃げそうな性格破綻してる嫌味な男の美人顔に比べたら本物の女性の方がいい

そして美女軍団のすぐ後ろから、とても背の高い校長、マダム・マクシームが歩いてきた

美女達が前まで来て、金の蝶が羽ばたき、代表らしき女性が恭しくお辞儀をした

マダム・マクシームはダンブルドアと握手を交わしている
そして、軽い挨拶を終えて上座に上がって続けて紹介した

「そして、北からは、ダームストラング魔法学校の一行と校長のイゴール・カルカロフじゃ」

お次に大広間に入ってきたのは、ゴリマッチョ…ん゛ん゛…
ではなく、ゴツい青年方が軍服のような制服で棒を持ち、入ってくる

男らしいパフォーマンスと共に、前まで進む
続けて速足で入ってきた校長のイゴール・カルカロフとクィディッチの選手、ビクトール・クラムだ

途端に女子も男子も湧いた
わからん…

あそこらの周りだけ二、三度温度高そうな密度だ

無理だ…
近すぎたくない…

カルカロフがダンブルドアと抱擁を交わした

それから食事が始まり、ダームストラングの生徒達はスリザリの長テーブルに座ってきて…
嫌だな…
ボーバトンはレイブンクローのテーブルへ

先生方は上座で挨拶を交わしている
ぶっちゃけマダム・マクシームとフリットウィック先生の凹凸が凄すぎてそっちに目がいく

カルカロフは隣に座ってるセブルスに絡んでるし
嫌そうな顔…

「ユラ、こっち来るかい?」

「ん?」

セオが気を遣って、少しズレてくれた
なんと紳士な

「ありがとうセオ」

「いいや。ユラは苦手だろう?」

「よくわかったわね」

「そりゃ四年も一緒にいるからね」

「察しのいい友人がいて助かるよ」

「’’どういたしまして’’」

不意に日本語で返されて少し驚いた

「上手くなったねセオ。発音で覚えたの?」

「あぁ。と言っても、少しだけどね」

「それでも凄いわ。難しいでしょうに」

「かなりさ」

「はいはいオタク二人。老夫婦みたいな会話してないで頂戴。折角ダームストラング校の生徒達がいるんだから」

「いや、それ関係ないよね?というよりオタクはやめてくれパンジー。老夫婦でもないよ」

「パンジー?あなた来年のO.W.L試験は余程余裕みたいね。頑張って」

「それは反則でしょユラ!?」

「大丈夫だよユラ。パンジーならきっと優秀な成績を出してくれるさ」

「そうねセオ。私たちが心配するまでもないわ」

「ちょっとあんた達💢最近似すぎてきてない?💢」

「まさか」

「そんなことないわよ?」

心底驚いたように言うと、パンジーの顔が面白いくらいにヒクヒクと動いた




それからいつも通り、三人と会話しながら晩餐を堪能した後、ダンブルドアが声をかけた






「よいか諸君、時はきた」

来ないほうがどれだけよかったか

「ひと言、言うておこう。『永遠の栄光』が、トライウィーザード・トーナメントの優勝者に贈られる。それには三つの課題をやりおおせねばならん。三つの。極めて過酷で危険な課題だ。そこで、この度、魔法省は新たなルールを設けた。これについては『国際魔法協力部』のMrバーテミウス・クラウチから説明して頂こう」

ダンブルドアがそう紹介した瞬間、大広間の天井が耳をつんざく雷鳴を轟かせた

それが、閃光によって沈められた
上座の横の小さい扉から少し前から入ってきていた偽ムーディ

クラウチJrだ…

セブルスにポリジュース薬のこと言うタイミングをみないとな…


偽ムーディがダンブルドアと握手を交わして、上座の側に立った時、携帯用酒瓶を出してポリジュース薬を飲んだ

ダンブルドアは説明に戻り、バーテミウス・クラウチが前に出てきて、腕を広げて言った

「検討の結果、安全のため、十七歳未満の生徒はこの度のトライウィーザード・トーナメントに立候補することを禁じると、魔法省は決定した。これは最終決定である」

言い終わる前に凄まじいブーイングが来て、生徒達が騒ぐ

「鎮まれー!」

ダンブルドアが生徒達に一喝して、杖を宝石が散りばめられた木箱に向けた
その途端、上から溶けるように消えた木箱

全員が息を呑んで見る中、姿を表したのは石造の青い炎がゆらゆらと揺れるゴブレットが現れた

「『炎のゴブレット』じゃ。トーナメントに名乗りを挙げたい者は、羊皮紙に、自分の名前を書き、木曜日のこの時間までにここに入れるのじゃ。軽い気持ちで入れるでないぞ。選ばれれば、後戻りはできん。今、この時から、トーナメントは始まっておるのじゃ」




慎重さを感じさせるその言葉で、その日は終わりとなった




















通常授業が始まり、私は『魔法飼育学』やら、『魔法薬学』やら『魔法史』&図書室の行き来で相変わらずな日々を過ごした



そして、偽ムーディによるDDA(闇の魔術に対する防衛術)の授業がきた…

私とセオは後ろの方の席で、ドラコ達と一緒に座っていた

すると、コツコツ、と廊下から足音が近づいてきた
扉が開く音がして、鉤爪つきの木製の義足がローブの下から突き出しているのが見える

机の間を達も、「そんな物しまえ」と教科書を仕舞うように唸るように言われた

「教科書だ。そんなもの必要ない」と再度言われ、私たちは教科書を鞄にしまった

そして、出席簿を取り出して生徒達の名前を読み上げていった
その間、普通の目は出席簿を見ていたが、「魔法の目」は読み上げた生徒達を、ひとりひとり見ていた

怖い…

「よし、それではーー…このクラスについては、ルーピン先生から手紙をもらっている。お前たちは闇の怪物と対決するための基本をかなり満遍なく学んだようだーー…マネ妖怪(ボガート)、赤帽鬼(レッドキャップ)、おいでおいで妖怪(ヒンキーパンク)、水魔(グリンデロー)、河童、人狼など。そうだな?」

そっちの方がよっぽど平和的だ

「しかし、お前たちは、遅れている。非常に遅れている。呪いの扱い方についてだ。そこで、わしの役目は、魔法使い同士がお互いにどこまで呪い合えるものなのか、お前たちを最低線まで引き上げることにある。わしの持ち時間は一年だ。その間にお前たちにどうすれば闇の…「え?ずっといるんじゃないの?」」

偽ムーディが説明する中、ロンが口走った
あんなのにずっといられるとこっちが冷や冷やする…

ロンが口走ったことで、ムーディがジロリと「魔法の目」で見ると、ふっと笑った

「お前はアーサー・ウィーズリーの息子だな、え?お前の父親のお陰で数日前窮地を脱した…あぁ一年だけだ。ダンブルドアのために特別にな……一年。その後は静かな隠遁生活に戻る」

そう言うと、両手をパンと叩いた偽ムーディ

「では、すぐ取りかかる。呪いだ。呪いは力も形も様々だ。さて、魔法省によれば、わしが教えるのは反対呪文であり、そこまでで終わりだ。違法とされる闇の呪文がどんなものか、六年生になるまでは生徒に見せてはいかんことになっている。お前たちは幼すぎ、呪文を見ることすら堪えられぬ、というわけだ。しかし、ダンブルドア校長は、お前たちの根性をもっと高く評価しておられる。校長はお前たちが堪えられるとお考えだし、わしに言わせれば、闘うべき相手は早く知れば知るほどよい。見たこともないものから、どうやって身を護るというのだ?いましも違法な呪いをかけようとする魔法使いが、これから呪文をかけますなどと教えてはくれまい。面と向かって、やさしく礼儀正しく闇の呪文をかけてくれたりはせん。お前たちの方に備えがなければならん。緊張し、警戒していなければならんのだ」

成る程…
論理的に筋は通っている
だけど…
私はもう見たくない…





ーー「来るんだナギニ。お前に試したいことがある。感想を聞かせろ」ーー


思わずゾクリと震えた
彼の愉快な声が頭の中をこだまする…
あの時は…許されざる呪文ではなかった…
だけど…痛かった…苦しかった…
私は何も言えなかった…
誰にも…彼を……
それが彼の思う壺だと分かっていても…
怖くて……








「さて、魔法法律により、最も厳しく罰せられる呪文が何か、知っている者はいるか?」

何人かが中途半端に手を挙げて、ロンもハーマイオニーも手を挙げていた
偽ムーディはロンを指差した

「えーと…パパがひとつ話してくれたんですけど……たしか、『服従の呪文』とか何とか?」

ロンのその言葉で私は心臓がドクンと鳴った





ーー「滑稽だな、ナニギ。僕はお前には酷いことをしたりしない。’’こっちへ来るんだ。恐怖に染まった顔を僕に見せろ’’」ーー


いやっ
やだっやめてよっ…
どうしてあんなことをっ…彼は愉しんでいた…
遊びとばかり…
ほんの暇つぶしとばかりに…
16歳を過ぎた彼は…誰の目につかないように…完璧に装って…
私を暇つぶしの玩具として扱った…
何も言えないし…逆らえなかった…






「ああ、その通りだ。お前の父親なら、たしかにそいつを知ってるはずだ。一時期、魔法省を手こずらせことがある。『服従の呪文』はな」

偽ムーディはそう言うと、ガラス瓶から黒い大蜘蛛一匹取り出し、手のひらに乗せて皆に見えるようにした

そして杖を向けて唱えた

「『インペリオ!(服従せよ!)』」



ーーーーー「『インペリオ』…大丈夫。酷いことはしない。大丈夫だナギニ。大人しくしているんだよ」ーーー


ーーー「ト…トムっ……」ーーーー


ーーーー「そんな顔をするな。僕がお前に一度でも傷をつけるようなことをしたか?’’答えろ’’」ーーーー


私はあの時…していない…と答えるほかなかった…
確かに彼は体を傷つけたりは…蛇の時以外なかった…
でも…私にかける必要はあったのか…
どうせ貴方に逆らえなかったのに…









唱えられた後、蜘蛛は細い絹糸のような糸を垂らしながら、偽ムーディの手から飛び降り、空中ブランコのように前に後ろに揺れ始めた。脚をピンと伸ばし、後ろ宙返りをし、糸を切って机の上に着地したと思うと、蜘蛛は円を描きながらくるりくるりと側転を始めた

偽ムーディが杖をくいっと上げると、蜘蛛は二本の後脚で立ち上がり、どう見てもタップダンスとしか思えない動きを始めた

その瞬間、みんな笑った

私と、セオ、偽ムーディを除いて

「おもしろいと思うか?…わしがお前たちに同じことをしたら、喜ぶか?」

偽ムーディが、「魔法の目」で見ていたのか、私とセオの方を見て、すぐに生徒たちを見回しながら言うので、私は背中に嫌な汗が流れるのを感じた

偽ムーディの言葉で、一瞬にして笑いが消えた

「完全な支配だ」

低い声が響く

「わしはこいつを、思いのままにできる。窓から飛び降りさせることも、水に溺れさせることも、誰かの喉に飛び込ませることも…」

「何年も前になるが、多くの魔法使いたちが、この『服従の呪文』に支配された」


「誰が無理に動かされているのか、誰が自らの意思で動いているのか、それを見分けるのが、魔法省にとってひと仕事だった。『服従の呪文』は戦うことはできる。これからそのやり方を教えていこう。しかし、これには個人の持つ真の力が必要で、誰にでもできるわけではない。できれば呪文を掛けられぬようにする方がよい。油断大敵!」

脅すようにいきなり大声を出して全員が飛び上がった
私も驚いた

蜘蛛をガラス瓶に戻すと、偽ムーディは再び問うた

「ほかの呪文を知っている者はいるか?何か禁じられた呪文を」

そう言った偽ムーディ

「そこの生徒。Msポンティだな。お前は先程笑わなかったな?」

いきなり当てられて私は顔を上げた
できるだけ表情を崩さないように気をつけて
生徒達の目が一斉に私に向く

逃げたい…
いやだ…

普通の目と「魔法の目」が私を見ている

「他の呪文を知っているか?お前は三年連続主席だそうだな?ならば知っているだろう」


黙秘するにできない空気に私は震えそうになる体に叱咤して答えた

「…『磔の呪文』です」

そう言うと、偽ムーディはクラスの方に向き直り、またガラス瓶から蜘蛛を一匹取り出して、机に乗せて、『エンゴージオ』と、唱えて肥大化させた

そして

「『クルーシオ!(苦しめ!)』」

途端に蜘蛛は脚を胴体に引き寄せるように内側に折り曲げてひっくり返り、七転八倒し、わなわなと痙攣し始めた

何の音も悲鳴をあげているのが嫌でもわかる



ーー「さぁ杖を構えるんだ。お前は傷つきやすいから、虫からにしておこう。’’できるな?’’」ーー

やめて
お願いやめてっ…
そんなことさせないでっ
いやっ…


彼が私の手を後ろから握って杖を構えさせた時の情景が頭の中に流れる

やりたくなかった
嫌だったっ
私に拒否する勇気があればっ


そんなことが頭の中を駆け抜けて…気づけば私の意識は暗闇に落ちていた















いきなり隣でゴンという音が聞こえるとユラが血の気の失せた顔色で机に倒れていた

「ユラっ」

いつもの貧血かもしれない
だけど僕にはわかる
この授業のせいもある

「ユラ、しっかりしてっ」

「セオドール。また貧血か?」

ドラコが振り向いて聞いてくるから、僕は起こしてユラを支えながら答えた

「多分。顔色が悪い。すみません先生っ。友人が貧血で倒れたので医務室に連れていく許可を」

授業に集中して実演していた先生に手を挙げて言うと、「魔法の目」がギョロリと動いてユラを見ていた

「よかろう。さっさっと連れていってやれ」

意外にもあっさり許可が出て、僕はユラをゆっくり抱き上げて医務室連れていった

ユラが軽くてよかった

医務室に連れていき、マダム・ポンフリーに診てもらった
いつもの貧血だった
だけど、今回は顔色が悪い
青いを通り越して土気色だった

医務室のベットで眠るユラの側で彼女が倒れた理由を考える

貧血でよく倒れるのは今までもよくあったことだ
一年生の頃からそうだ
心ここに在らずといった様子の時は、倒れることが何回かあった…
その時だけは、いつも変わらない表情が…酷く哀しげになる…
哀しそうに…苦しそうにも見える横顔に

過去にトラウマがあるような感じではない
なんなのか…きっと君は教えてくれないんだろうね…
きっと、「ありがとう」とだけ言って済ませてしまうんだろう…


横に座っていると、彼女の腕の上から服が縦長に盛り上がり動くのが目に入った

確か…ドラコがユラのペットは幼い頃に飼ってた蛇だって言ってたな…

シューシューと言って、小さな茶色い蛇が、ユラの首元から頭だけだした
初めて見たけど…
小さいな…

まるで心配するみたいに擦り寄る蛇の姿に、僕は驚いた
蛇はペットにしにくい
従順ではないし、扱いにくい
だが、この蛇からは…
なんとなく忠誠心を感じる…

「…君はユラが好きなんだな……」

僕が思わずそう呟くと、まるで蛇が応えるようにシューシューと鳴いた気がした




















目が覚めたら…
彼が長い脚を組んでベットの足元に腰掛けていた

最悪…
こいつのせいで気を失ったのに、目が覚めて一番に見るのがこいつだなんて…

医務室には…誰もいない…

「よく倒れるな、お前は」

うるさい…
あんたのせいだ…

そう言えればどれだけ楽だったか…

「お前のことだ。僕のせいだと思っているが言えないんだろう」

……

「僕も否定するつもりはないよ。だが、ひとつ言っておくと、あれをやらせたのは’’彼’’だ。僕ではない」

どういう意味?
そりゃ今の貴方は先の記憶があるだけの…あの頃より若い…
でも…だからといって…

「’’僕’’は一度もお前に酷いことはしていない。いつだってお前を守ってやっていた」

意味がわからない…
貴方は愉悦に歪んだ顔で私を痛ぶっていたじゃないか…
そんな…そんなの信じられない…

そんな顔で…
今更何をいうの?
それもあんたの演技でしょ…

「ナギニ、’’僕’’を見ろ」

こちらを向いて、投げ出していた手をべっとの上で握られた
上にあった温度のない彼の手が下に周り、長く白い滑らかな指が蛇のように絡みつく

……

「やめてよ……」

「ナギニ」

「……たじゃない…」

「ナギニ…」

「愉しんでたじゃない…あんたは……いっそ…玩具なら玩具らしく扱えばよかったでしょ…今更そんなこと言わないで…」

「それは本心じゃないだろう。何度も言っている、僕に嘘をつくなと」

……
本心よ…
あんたに振り回されるのはもうたくさんよ…

「どっかいって……」

触らないで…
今は彼の顔を見たくなくて顔を逸らして、力なく言ってしまった
怒らせただろうか…
怖い…

「はぁ…まったくお前は頑固だな」

呆れたようにそう言われて、彼は消えた
よかった…
怒らせてはなかった…


苦しい…
どうして私がこんな気分にならなきゃいけないの…




















今日はセブルスと休み明けはじめてのゆったりした時間を過ごしている
ゆったりではあるが、緊張感が漂う
セブルスの部屋に置いている日本茶を二人分淹れてあげて、飲みながら、…憂鬱になる



「ハリーが危険よ…この学校に闇の手先がいる…」

「目処はついているのかね?」

「…まだよ」

嘘だ
偽ムーディだ
でも彼は’’彼’’の復活は’’必要’’なことだと言った
信じるわけではないが、ハリーにある程度の試練は必要だとも思う
あまり本筋を変えてはいけない
今回のやることはセドリックを守ること

「でも…不穏な気配を感じる。『死喰い人』の動きが活発になっているわ。ワームテールが逃げたことからも…もしかしたらアズカバンから他の囚人も脱獄しているかもしれないわ…」

あれだけダンブルドアが忠告したのに
アニメーガスはディメンターに見えない
だから対処する必要があった

それにクラウチJrは収監された一年後に発狂して死亡したと言われている
だけど事実は違う

クラウチJrを愛していた母親とポリジュース薬で入れ替わったんだ
そしてそれをバーテミウス・クラウチも承諾した
重大犯罪の共犯だ
家に息子を監禁していたとはいえ、それもあり得ない

頭がイカれてる
追い討ちで今のバーテミウスは『服従の呪文』をかけられている…
元々Jrは非常に頭の切れる優秀な魔法使いだ
動くにしても慎重にしなければ…

「それが事実ならば重大問題ですな」

ほんと…
知れば知るほど魔法省は最悪だ
それがお役所というものだろうが…

それに私は去年の学期末、ダンブルドアに頼まれた…

「魔法省には忠告はしたのよね?」

「しかと。校長がアニメーガスの対処をとるようにと、再三ご忠告なされた。ですがあのネズミが逃げたことを鑑みるに…何ひとつ学んでおられないようですな」

心底忌々しげに歪められた顔に、私は申し訳なくなった
リリーを殺したも同然のペティグリューを捕縛してアズカバンに入れるような流れに持っていったのは私だ

セブルスには我慢してもらったのだ
殺したいほど憎んでいるだろうに…

「セブルス。アラスター・ムーディの頻繁に飲んでいるもの…あれってお酒だと思う?」

「携帯用酒瓶以外のものに見えるならばなんだと言うのかね?」

「あなたは昔から彼を知っていると思うのだけど、あんなに頻繁にお酒を飲む人だったの?」

「…酒ではないと?」

「わからないわ。ただよく飲む方だとしても…量がおかしいわ…頻度が多いもの…授業中も飲んでいたし」

「授業中にまで飲酒とは…何かありそうですな」

「憶測に過ぎないのだけどね…気になったから一応言っておくわ」

「気にかけておこう」

「お願い。…それと、授業で『許されざる呪文』の実践を生徒に見せたわ」

「なんだと?」

「教えるにあたって、論理的に筋が通った’’ように’’聞こえる説明はしていたわ。だから生徒達は何も反論しなかった。寧ろ大半の生徒がその実演を何かのショーのような気分で見ていたわ…」

私は…
あれを見て……何度も彼に実験台にされたことを…思い出してしまった…小さなことから…危険なことまで…
震えそうになった…
実際倒れてしまった…

「…校長に報告しておこう」

「ええ」

慣れた沈黙が流れる中、セブルスがいきなり立ち上がってゴソゴソと机からゴブレットを持ってきた

私の前に置いた

横を見上げると、なにやら難しい顔をしている

「えっと…これは?」

「吾輩が調合した薬だが?」

ワッツ?
なんかヤバい色してるんだけど…

「どうやらどこかの病弱な友人は’’また’’倒れたようですな?飲み干せ」


バレとる…
別に倒れたくて倒れているわけではない
誓って

「えっと…」

正直飲みたくない…
絶対不味いよこれ…

「飲め」と威圧してくるセブルスに、私は結局負けた

ゴブレットを手に取ってゲロマズ過ぎる、セブルス印の薬を飲んだ…
せめて錠剤とかがよかった…
サプリのありがたさがよくわかる…

「タイヘン美味しゅうございました…」

控えめに言っても、不味い…不味すぎる…
きっとしわっとした顔になってるだろう

「よろしい」

満足そうな声が、上から降ってきて私は、この優しさがわかりづら過ぎる不器用な友人に心の中で一応感謝しといた


















そして、2回目のDADAの授業、偽ムーディは信じられないことをした

『服従の呪文』を生徒一人ひとりにかけて、呪文の力を示し、果たしてその生徒がその力に抵抗できるかどうかを試すと言ったのだ

私もセオも、ドラコもパンジーも凍りついた

偽ムーディは杖を一振りして机を片付け、教室の中央に広いスペースを作った

私は今すぐ倒れたくてたまらなくなった
誰か何か抗議してほしい…

そんな時、ハーマイオニーが言ってくれた

「でも…でも先生、それは違法だとおっしゃいました。確か、同類であるヒトにこれを使用することはーー…」

「ダンブルドアが、これがどういうものかを、体験的にお前たちに教えてほしいというのだ」

偽ムーディの目の「魔法の目」がぐるりと私たちを見回した

「もっと厳しいやり方で学びたいというのであれば、いつか誰かがお前にこの呪文をかけ、お前を完全に支配する。その時に学ぶというのであれば、わしは一向にかまわん。授業を免除する。出て行くが良い」

節くれだった指で出口を指してハーマイオニーに言う彼に、ハーマイオニーは赤くなり、「出ていきたいと思ってるわけではありません」と呟いた

私は出ていきたい…
私が『服従の呪文』をかけられたのは彼だけだが…嫌な予感がする…

どうするっ
どうすればいいの…
私は今すぐ逃げたいっ…

いやだ…
もう二度とあんなのにかかりたくないっ…
あんな…人権を無視したっ…


立ち尽くして悩んでる間にも偽ムーディは、生徒一人ひとりに『服従の呪文』をかけ始めた

呪いのせいで、彼が次々と世にもおかしなことをするのを焦りながら見るしかできない

自分の番がいつくるのかわからないっ

ディーン・トーマスは国歌を歌いながら、片足ケンケン跳びで教室を三周した

ラベンダー・ブラウンはリスの真似をした

ネビルは普通だったら到底できない体操演技を、立て続けにやった

ドラコは、腰に手を当ててタップダンスを踊り出した

セオは象の真似をさせられ、パンジーは猿の真似をさせられた

そしてとうとう「魔法の目」が私の方を見た

「Msポンティ。来い」

足がすくむ…
いやだ…

そう思っても足が勝手に動く…

偽ムーディの目の前まで来て、私は杖を向けられた

もう心臓がうるさいくらいドクドクと音を立てて、かつて彼にされたことがフラッシュバックする

いやっ
もういやっ!!

「インペリオ!(服従せよ!)」


途端に自分に閃光が当てられた

偽ムーディの命令する声が聞こえる…
いやだ…

ーー四つん這いになって歩けーー

いやだっ
嫌だそんなことしたくないっ
彼の声が重なるっ…
頭がっおかしくなるっ
痛いっ痛いよっ

ーー「いいぞナギニ。では、僕の前に跪け」ーーー

いやっ!!
私は貴方の’’物’’じゃないっ!

ーー四つん這いになって歩けーーー

偽ムーディの声がこだまするたびに彼の声が重なるっ

彼に支配された時のっ…
彼の脚が見えるっ…

やめてっ…
お願いっ


ーーー「首に手を添えて、力を入れてみろ」ーーー



いやだっ苦しいっ!そんなことしたくないっ!
痛いっ痛いっ
どうしてそんなことするのっ…
私はっ…貴方の気に障るようなことっ…


あぁ…そうか…貴方は理由がなくても…
そういうことができる人だった…




ーーーー「お前が支配されていいのは’’僕’’だけだ」ーーーー







脅すような…
彼のあの声が遠くで聞こえて私は痛む頭と…締め付けられるような苦しい想いに…キツくつぶっていた目をゆっくり開けた…

ゆっくりと自分の手を見る
額も首も…ぐっしょり汗をかいていた
無意識に蹲っていたのか、頭を抑えて体を抱きしめていた…


私…



思わず周りを見回すと生徒達が化け物でも見るかのような目で見てきている…

セオ達も目を見張っている…

まるで私がひとりぼっちになったかのような気分になった…

偽ムーディの方を見ると、ギラギラとした目を向けてきている…
怖い…


「嘘だろ…どうして何も起こらないんだ?」

「抗った?…あれに?」


いや…
違う…

ハリー達も疑うような驚きの目で見てきている…


「戦った?…」


ヒソヒソと疑うような声が聞こえてくる…


やめて…


違う…

私は…私は…
もうあんなことをされたくなくて…
もう嫌だった…だけで…



「ユラ…」

信じられないようなセオの声が聞こえる…

「あんた…」

パンジー…
頭が混乱する…
どうして…

だんだん頭に血が通わず、意識が遠のきそうになった時

「見事だMsポンティ!それでいい!まさか一発目で成功する生徒がいるとはな!」

目の前まで来ていた偽ムーディにギラギラとした目で見下ろされて動けなかった

明らかに興奮している顔だ
ムーディの顔の裏にあるクラウチJrの嗜虐的な表情が見える…
人を痛ぶることに興奮を覚える…
試す気だ、というのは言われずともわかった…





その後、ムーディの皮を被ったクラウチJrは、私に三回も『服従の呪文』をかけた
皆にはわからないだろうが、どんどんと屈服させようと呪いが強くなっていった

関心しているようにも聞こえる彼の言葉は、その実、愉しんでいるものだとすぐにわかった

生徒たちが止めるに止めれない様子で傍観してくる中、私は三度目にはもう真っ青になって、立っていることも辛かった

私が終われば、次はハリーだった
ハリーは『服従の呪文』にかかったが、途中から抗って打ち破った

矢張りそれに興奮したJrはハリーには四回もやらせた

尤もらしい理由をつけて私たちにやらせた彼に、クラス全員が怯えた



「ユラ…酷い顔だ…医務室に行ったほうがいい」

教室からゾロゾロと皆が出て行くなか、私は机に手をついて頭痛に苛まれていた
呪いの効果は消えているが…苦しい…

「あんた今にも死にそうな顔じゃない。どうしてやめてって言わなかったの?」

…パンジーが呆れたように言ってくる
まだ少し怯えもある…


私は…
どうしてやめてほしいと言わなかったんだろう…




ーーー「拒絶するな。気分が悪くなる」ーーー






「完璧にイカれてるだろあいつ。あんなのが先生なんてな。父上が知ったらなんというか。おいユラ。立てるか?」

偽ムーディに聞こえても構わない様子で、ドラコが手を出してくれながら言ってきた

「え、ええ…ありがとう…」

有り難く手を取って、バランスをとる
ふらふらする…

歩けるようになってきたところで、ドラコの手を借りながら「医務室に行ったほうがいい」という勧めをやんわり断り、次の授業に向かった






三度目の四年生は相変わらず、宿題の量がえげつない
慣れてくるとなんてことない上に、セブルスからの休暇中の課題の方が控えめに言って、地獄である

マクゴナガル先生の『変身術』の授業は、来年のO.W.L(ふくろう)に向けた内容だ

彼は…当たり前のように全ての試験はトップだった…
N.E.W.T試験も全教科1位通過が当たり前の…天才だった…本当に…
頭が良くて…
秀才で…天賦の才に恵まれた…

謙虚で信頼の厚い模範生…
それが彼の表の顔だった…
学内では…既に知っていた私以外には…本性を決して見せなかった…

やめよう…
思い出すと苦しい…



トレローニー先生の『占い学』の授業では、謎の『悲劇』に関する宿題が出される
ちなみにこれはハリーとロンが最高点を採って、授業で長々と読み上げられていた
よかった、私じゃなくて

ついでに次の1ヶ月も同じ宿題を出されて二人は萎んでいたけど
そういうのは小出しにしないとネタ切れちゃうからね


レギュラスの『魔法史』は、流石というか、親切というか、「過去のトライウィザード・トーナメント」のレポートだった
しかも毎週変わる
笑顔の鬼畜とは兄のこと
兄はもともと秀才だ。だからこそ基準が少し…というか結構ズレているところがあるのだ
わりと濃い内容のレポートを宿題に出した
皆ひぃひぃ言ってるのをよく聞くな



セブルスの『魔法薬学』はもっと鬼畜…というより容赦ない
相変わらずというべきか…
課題自体は普通なのだが、いかんせん陰湿なことを言う
「解毒剤」の研究課題なのだが、まぁそれがちゃんと効くかどうか、生徒の誰かひとりに飲ませるという…
おかげで皆必死こいて取り組んでいる
イライラしてるのはよくわかるが…
今度、花茶でも淹れてあげよう


他にもフリットウィック先生も「呼び寄せ呪文」の授業に備えて、参考書を三冊プラスで読むように命じたり、ハグリッドも宿題を増やした

「尻尾爆発スクリュート」は、何が好物なのかまだ誰も発見してないのに、すばらしいスピードで成長してくれた
ハグリッドは大喜びで、「プロジェクト」の一環として、生徒が一晩おきに小屋に来てスクリュートを観察し、その特殊な生態について観察日記をつけることにしたようだ

正直面倒臭いが、学生の本分は勉強だ
やらねばなるまい












そんな感じで、あっという間に時間は過ぎて、明日はいよいよ木曜日だ

私は今、レギュラスの教授室で今学期初のお茶をしている

「聞いたよオフィー。マッドアイが君に許されざる呪文を使ったらしいね」

「レギュ兄、語弊がありますよ。生徒は皆使われましたから。それにハリーも」

「っ!何を考えているんだマッドアイはっ…ダンブルドアもあんな男を雇うなんてっ」

珍しく感情的だ
それもそうだろう…
私は彼にずっとされていた…多分感覚がおかしくなっている…
その自覚は多少はある
普通に考えれば許されないことだ…

「落ち着いてレギュラス兄様。ね、私は大丈夫」

荒ぶるレギュラスに近づいて手を握る
顔を上げて不安に揺れる灰色の目が私を映してる

「オフィー…僕はもう二度と間違えたくない…君を喪いたくないんだ…簡単に納得しないでくれ」

「レギュ兄…」

「頼むからっ…君は物分かりが良すぎる…いつか…いつかまた…」

私の手を額に押し付ける兄に、心の中で謝った
ごめんなさい…
私は…罪を償わなければならない…
自分には関係がないと、変えてはいけない、と…傍観し続けた…
たくさん言い訳をして、自分に言い聞かせて…
自分には何もできないと…

「レギュラス」

「……っ」

泣きそうになっている兄の肩に手を置いて目を合わせる

信じてなんて言えない
言う資格はない
私は裏切る
約束なんてできない

「オフィー…」

まだ不安に揺れる兄の目を無視して私は落ち着くまで待った






















「僕に教わりたいと?」

「…ええ。あなたの力を貸して」

「くっくっ…僕に縋りはしないんじゃなかったのか?」

「あなたの力と知識が必要なの」

「そこは快く快諾してもらうためにも、’’僕’’が必要だというところじゃないか?」

嫌味ったらしく長い脚を組んで椅子に座る彼
椅子が彼のためにあるかのように見える
何度も見た…
紅い目が細められて私を冷ややかに射抜く

彼の言葉にどう返すかなんて…

もう決まっていた…

何千…何万回も…私は彼の言いなりになってきた…

自分の言いたいことなど押し殺して…
私は静かに膝をついた
拳を膝の上で握りしめて…


「…………トムが、必要なの…っ」


全ての元凶であるはずの’’彼’’に頭を下げる
私の頭など…彼にとっては取るに足らないものだ
分かってる…


視界に彼のつま先が目に入り、顎を軽く持ち上げられる

屈辱的だっ
握りしめた拳を今すぐにでも見舞ってやりたいっ
でも私にはそんなことできないっ
だから彼に頼むほかないのだっ

紅い目がいつになく真面目に私を見つめている

どれくらいの時間が経ったかわからない…

見定めるような鋭い視線に目を逸らすことも許されない

どれだけ震えて逃げたくとも…

そして、彼は紅い目を和らげて唇が弧を描いた


「いいよ。他ならぬお前のはじめての頼みだ。ただし、考えるのはお前だ。ナギニ」

「僕はお前を信じてやる。お前だけをな。この僕が教えてやるからには手加減はしない。泣こうが血反吐吐こうが、だ。それでも’’僕’’の手を取るか?」

悪魔の言葉だ…
傲慢で高慢…
だけど…

私は知ってる…


ーーー「お前には、お前が天才秀才と認める僕がいる」ーーー


そうよ…
貴方以外に…


ーーー「お前は自分の見たものしか信じないだろう。だからこそお前の中で僕ほど’’信用している’’存在はいない」ーーー



わかってるっ
よくわかってるからこそっ
あんたの言うことは全部’’その通り’’よっ
人の心と頭を見透かしてっ
懐に入り込んで操る…

よくわかってるっ
‘’彼’’の手を取ることが何を意味するかはっ…
言い訳でもいいっ
今はっ





「……トム…’’信じている’’わ…」



こう言う他ない…
その言葉を口にした瞬間、私の中で何かが崩れた…



「お前は本当に、’’卑怯’’だな」


そんなこと…知ってる…
誰よりも…そして、私よりもあんたが…


「話は終わりだ。おいでナギニ。慰めてやる」

顎にかかっていたつま先を退けて、脚を組んだまま、腕を広げて私を呼ぶ

ふらふらと立ち上がり、拒否権などないのをよく知っている私は、ゆっくり歩み寄る

躾けられたペットのように彼の膝に乗り、じっとする


「お前は’’僕’’がいないと不安に震える’’弱虫’’の’’泣き虫’’’だからな」

まるで洗脳のように紡がれる言葉に、私は何度傷ついただろう…
否定もできない…
事実そうだ…

頭を撫でてくる温度のない手に、従順なペットのような気分になる…

それから、私は彼が満足するまで人形のように大人しくしていた



















木曜日のハロウィーン・パーティは皆がそわそわしていた
私は体力も精神力も根こそぎどこかの鬼に持っていかれて疲弊しきっているが…

その日から始まった彼の指導は控えめに言って、地獄など甘いと言えるレベルのものだった…

初日から血を吐く私に構わず、立たされて罵倒され、心を覗かれる…

だが、選んだのは自分だ…
私が考えたことを彼は教えているだけに過ぎない…
より完成度を上げるために…

いくら後悔しても遅い…


誰にもに勘づかれないようにいつもの顔を取り繕うのも大変だ



豪華な夕食を取り、全員がそわそわと代表者が発表されるのを待つ
そして、ついに金の皿がさっぱりと元のまっさらな状態になり、大広間のガヤガヤとした声が急に大きくなった

そこでダンブルドアがついに立ち上がった

ダンブルドアの両脇に座っているイゴール・カルカロフとマダム・マクシームも皆と同じように緊張した面持ちだ

魔法省スポーツ・ゲーム部長のルード・バグマンは生徒達に笑いかけてウインクしている

正直あれは’’あれ’’(ロックハート)を違う意味で彷彿とさせるから苦手だ

だが、バーテミウス・クラウチは無関心でうんざりしたような顔だ
それもそうだろうな

「さて、ゴブレットは、ほぼ決定したようじゃ。わしの見込みでは、あと一分程じゃの。さて、代表選手の名前が呼ばれた、その者たちは大広間のいちばん前に来るがよい。そして、教職員テーブルに沿って進み、隣の部屋に入るように」

教職員テーブルの後ろの扉を指した

「そこで最初の指示が与えられるであろう」

ダンブルドアが杖を振り、大広間の灯りが全て消え、ゴブレットの青い炎だけが輝く

そして、ゴブレットの炎が赤くなり、火花が散った

次の瞬間、はらりと焦げた羊皮紙が一枚落ちた

ダンブルドアが羊皮紙を捕らえて持ち上げて読み上げた

「ダームストラング代表はビクトール・クラム!」

大きな拍手と歓声に包まれて、クラムがうちの寮のテーブルから立ち上がり、奥の部屋に消えた

そして、二枚目の羊皮紙が中から飛び出る

「ボーバトン代表は、フラー・デラクール!」

歓声に包まれ、呼ばれた美少女は優雅に立ち上がり、また奥の部屋へと消えてゆく

そして、三度、炎のゴブレットが赤く燃えた
溢れるような火花が散って、羊皮紙が落ちた

「ホグワーツ代表はセドリック・ディゴリー!」

読み上げられた瞬間、ハッフルパフ生が総立ちになり大歓声が包んだ

セドリックはにっこり笑いながら奥の部屋へと進んだ

「結構、結構!さて、これで三人の代表選手が決まった。選ばれなかったダームストラング生もボーバトン生も含め、みんな打ち揃って、あらんかぎりの力を振り絞り、代表選手たちを応援してくれることと信じておる。選手に声援を送ることで、皆が本当の意味で貢献できーー」

その瞬間、炎のゴブレットが再び赤く燃え上がり、火花が迸った
中から飛び出たのは焦げた羊皮紙

ハリーの名前だ…




それから大広間は野次と怒鳴り声に溢れて、ハリーは居心地の悪い凍ったような様子で奥の部屋へと連れていかれた



















それから、ハリーはダームストラング生からも、ボーバトンの生徒からも、同じグリフィンドール生からも疑惑の目を向けられていた

ズルしたんだ、せこい、などの聞くに耐えない言葉の数々
だが、『魔法史』の課題があったからか、何人かは同情的な言葉もあった

うちの寮でもここぞとばかりに噂と陰口は広がった
これには大人しかったドラコも例に漏れず

「全くどうやったのか謎だね。きっとまたロクな手じゃないんだろうな。これだからポッターは」

「17歳にもなってないんだから、ダンブルドアの『年齢線』を越えられるなんて、絶対贔屓よ!」

ドラコとパンジーが文句を言う中、私は談話室のソファに背を預けながら本を広げる

セオも向かいで興味がなさそうに本を読んでいる
それもそうだろう

『魔法史』の課題を真面目にこなしていたなら誰もがわかることだ

「ユラ、お前もそう思うだろ?今回ばかりはダンブルドアもやり過ぎだと思うだろ?」

「そうね。普段のことを考えるなら、その’’可能性’’もあるかもしれないわ」

「やっぱり!ほら見ろ!ポッターはやっぱズルしたんだ!」

「私なら’’おびただしい’’死者を出した試合なんて観るだけでも御免被るわ」

続けて私が言うと、得意げになっていたドラコとパンジーが顔つきが一気に変わった

「は?…それどういう…」

「いくらMrポッターが無鉄砲で問題ばかり起こすと言っても、論理的に考えて贔屓にしてもらってる校長の立場を悪くするようなことを進んでするか、疑問だというだけよ」

「…確かに…」

「じゃあお前はポッターが入れたわけじゃないって言いたいのか?」

「それは本人にしかわからないし、私たちが憶測で断じるべきことではないわ。今ある事実はMrポッターが’’魔法契約’’である’’炎のゴブレット’’によって代表選手に選ばれたということよ」

「魔法契約?なにそれ?」

「炎のゴブレットは強力な’’魔法契約’’なんだ。それは学生ごとき…ましてやポッター如きがどうこうできる代物ではないってことだよ二人とも」

セオが本から目を離さずに興味なさげに付け加えた
なんかドライになってきたな

「その炎のゴブレットを誤魔化して選ばれるなんて、余程強力な…そうね、『錯乱の呪文』あたりでもかけないと無理な相談だわ。ポッターにそれだけの実力があると思う?」

「それは…」

「だからダンブルドアが贔屓したんだろ」

「校長の力を持ってすれば魔法省に圧力をかけて年齢を引き下げることだって可能よ。わざわざ魔法省が設けた年齢規定を破ってまでMrポッターを’’死にに行かせる’’理由は?」

「『魔法史』の課題でもあったよね。あまりにも危険すぎて死者がおびただしいから今年まで開催されなかったって」

追い討ちのようにセオが言うで、冷静になったのか、二人は黙った

「ドラコ、パンジー、貴方達は狡猾で誇り高いスリザリンの生徒でしょう。くだらない憶測でものを言うことは、家名の品を下げることに繋がるのよ。今は黙っているのが賢明よ」

「「っ!」」

「あまり些末なことを気にしても仕方ないよね。決まったものは仕方ないさ。それに、僕は個人的に今回の試合がそんなに良いものだとは思わないよ」

「好き好んで危険に飛び込むのは、勇気があるとも言えるけれど、無謀とも言える……命は大事にしなくてはいけないわ」

「…確かに…僕もそれは学んだな、かなりの死者が出たって…」

「私あれ見てゾッとしたわ…こんなものを開催するなんて…」


徐々に、渋々かは分からないが、このトーナメントがどれほど危険か思い出した二人は、落ち着きを取り戻した

レギュラス兄様さまさまだな
タイミングのいいことだ



















あの日から数日、ハリーへの疑惑は止まらない
私はその日は、フクロウ小屋に来ていた
今回のルシウスからの手紙はここで受け取るからだ

足に括り付けられた手紙を開き、目を通す
私がこの前、案の定学校で起こったことを報告した返事だ

今回も簡潔に書いてあった

どうやら、ルシウスは今回の計画は僅かながら耳に入ってるらしい。一応招集に応じるらしい
セオの父親をこちら側につける機会を慎重に伺っているようだ
ドラコの学友の父だ
息子のためだろう
本当に…家族にはどこまでも愛情深い


すぐに手紙を燃やして受け取ったことをフクロウに伝えるように印を着けて、見送る

一人しかいないフクロウ小屋を出ようと出口に行くと、見慣れた顔と鉢合わせした

「ユラ?」

「あら、ハリー。久しぶりね」

「あ、あぁ…うん。そうだね…ユラは何しに来たの?」

「両親からの手紙をね」

「そうなんだ…そっか…そうだよね…」

これは…
ロンとハーマイオニーとうまくいっていないんだろうな…

「ハリー」

「なに?」

「これはオフューカスとしての言葉として聞いてちょうだいね。どう思うかはあなたの自由よ」

「え、あ…うん?」

「思い詰めて独りよがりになるのはよくないわ。あなたは一人じゃないんだから。貴方の周りにいる大人はそんなに頼りない人たちかしら?…違うでしょう」

「っ!…」

驚いたように見開かれる丸眼鏡越しのリリーにそっくりな目

「あなたは普通の男の子で、まだ子どもよ。…危ないだろうけど頑張ってね」

「ま、待って!」

通り過ぎて戻ろうとしたら、後ろから引き止められる声が聞こえる

「なに」

「ユラは…オフューカスさんは…僕を信じてくれるの…?」

「信じるってトーナメントのことかしら?…当たり前でしょう。論理的に考えてあなたに’’できるわけがない’’もの」

「そっか…その、あのっ…ありがとう」

「お礼を言われることではないわ…じゃあね」


言葉は多過ぎず、少な過ぎず…それが一番だ
ダンブルドアは少なすぎる
これは私の個人的な印象だ…

それに…
いや、それを言う資格は私にはない…



















ハリーが代表選手になったことで、問題はもう一つあった


「どういうことだ!何故息子がこんなことになる!?」


言わずもがな、ブラック家当主(表向き)のシリウス・ブラックこと、前世の我が兄である

そして、私は何故ここにいるか
簡単に言うと、レギュラスとお茶を飲んでいるところに兄が学校に乗り込んできて、校長室に向うことになり、私も道連れになったわけだ

戻ろうとしたのに、兄(当主笑)によって引き摺られたから

いや、意味わからん
生徒に見られなかったから良かったものの…

ダンブルドアに向かって怒鳴る兄に、私もレギュ兄も溜息を吐きそうになる

校長室に居合わせたセブルスも「何故ここにいるんだこの馬鹿は」という顔をしている

「今すぐ中止しろ!ダンブルドア!」

もはや呼び捨て…
せめて口に出す言葉くらい敬称はつけようよ

「すまんがシリウス。それはできんのじゃ」

「クラウチか!?それともカルカロフか!?今回のことどう考えても仕組まれたことだろう!?あなたがマッドアイを呼び寄せたのも何かを予見したからではないのか!?」

そのマッドアイが問題なんだよ
一応セブルスが気をつけて見ているからポリジュース薬の材料くすねてるのがバレるのも時間の問題だろう

「それよりMsポンティは何故ここにいるのですかな?」

シリウスがダンブルドアに「中止しろ!」と怒鳴る中、横に立っているセブルスが聞いてきた

「あぁ、セブルス、それは兄のせいだよ」

レギュラスが代わりに答えてくれて疲れた顔で溜息をついた

「寮に戻ろうとしたのですが…」

追加で言うと、セブルスの顔に皺がよった
最近は少し血行良くなってきたな

「あの男は余程頭が足りないと見える」

否定はしませんとも
いや、できませんね

レギュラスと揃って「うちの子がすみません」的な気分になり気まずくなる

「死者が出るような危険なトーナメントだぞ!?炎のゴブレットの魔力を誤魔化せるほどの闇の魔法使いの手先がこの城に入り込んでいるのはあなただって気づいているだろう!?」

頭は悪くないんだよね
ハリーを疑ってないからともいう

「滅多なことを言うでないシリウス。もちろん、ハリーを守るために多くの者の目を光らせておる」

その目がね…
ここにマッドアイがいなくてよかったよ

「それに懸念はもうひとつある。ハリー自身が危険を感じていることだ」

夢のことか…

「危険じゃと?」

「あぁ。ハリーは何度も見ていると言っていた。ヴォルデモートと逃げたワームテールと謎の男が出ててきて、何かを企んでいると」

言っちゃうのかそれを
ダンブルドアが思案している

「それにワームテールが逃げたこともだ!魔法省に散々忠告すべきだと提言しただろう!『闇の印』が現れたこともそうだ!ダンブルドア!あの時と同じだ!」

魔法省に関しては完全にファッジのせいだろう
忠告を軽く受け止めてなんの対処も取らなかったんだろうから
お陰でシリウスの冤罪の件も合わせて『日刊預言者新聞』にかなり叩かれている
加えて、ワールドカップで『闇の印』が現れたことで魔法省の信用と信頼はかなり落ちた
だからこそ、トーナメントは絶対に中止しないだろう

「ハリーの命が狙われている!今すぐファッジに警告して試合をやめさせろ!」

「トーナメントは中止できん。規則じゃ。これはファッジとも話し合った結果なのじゃ。ハリーは必ず守る。だからここは堪えてくれんかのシリウス。どうしてもというならばお主も試合を観に来れば良い。ただし手出ししたり助太刀することは叶わん」

まぁそうとしか言えないよね
手伝ったりなんてしたらハリーは立場がさらに悪くなる
シリウスの顔がますます歪んだ
拳から血が出るんじゃないかと思うほど握りしめている

「オフューカス、お前今回のことどう考えている?何か知らないのか?」

何故私に振るのか
全員がこっちをみる
ダンブルドアまでも
暫く考えて、慎重口を開いた

「理由はどうあれ、炎のゴブレットに選ばれた以上、ハリーは試合に参加しなければなりません」

「なんだと!?」

うるさいな
自分が聞いたんじゃん

「ですが、今先決なのはハリーのことより、兄様が仰ったように、炎のゴブレットを誤魔化すほどの強力な魔力をもった人間を探すことに重きをおくべきかと。ハリーには友人がついています」

「よくそんな薄情なことが言えるな!リリーの息子だぞ!?」

切羽詰まっているのか、責めるのなシリウスの怒鳴り声が響く

「兄さん!」

「兄様が聞いたのでしょう。それに、いくらハリーを守ろうとしても、相手がわからないならば目隠しされているようなものです。余計な行動を起こしてさらに危険に晒すわけにいきません」

「ふむ…シリウス。Msポンティの言っとることは的を射ておる。ハリーを心配する気持ちは痛いほどわかるが、お主の行動でかえって危険になる可能性もあるのじゃ」

「っ!息子の命が危険に晒されているんだぞ!?落ち着いていられるか!」

はぁ…
頭痛くなってきた…

「やれやれ、まるで聞き分けのない幼児のような有様ですな。親だ親だと口先だけは随分とご立派に仰るところを見るに…他に代案も提示できないようですなぁ?」

セブルスくんや
いちいち喧嘩売るようなことを言うのはおやめなさいよ
そんなこと言うと…

「スニベルスは黙っていろ!お前が名前を入れた犯人じゃないのか?だから息子が危険に晒されてもそんな態度でいられるんだろ!」

ほら
セブルスの顔が物凄く歪んだ
そりゃそうだろう

「妄想もここまでくると実に、哀れですなぁ。もう一度アズカバンに戻られていかがか?」

いやそれはきっついよ?
ほら、シリウスの顔がすごいことになってる

「やめんか二人とも」

ダンブルドアの冷静な声が響いて、二人ともふん、と言いたげに顔を逸らした
ほんと子どもみたいなんだから…
仕方ないとは言え

「トーナメントは中止できん。万全の体制で安全を確保することを約束しよう。そしてシリウスの言うことにも一理ある。もしこの学校に闇の者の手があるのならば見つけねばならん。セブルス、レギュラス、ハリーを気をつけて見ておいてくれ」

「っ!!」

シリウスは教師じゃない
仕方ない

「かしこまりました」

「承知いたしました」

「それとMsポンティ、生徒の中におるとは思いたくないが…気をつけておくれ」

「はい」

これは暗に私に生徒達を見張れと言ってるな
まぁ…教師ではどうしても見れないところもあるからね
妥当だろう

シリウスは今回観戦する以外なにもできない

悔しげに拳を握るシリウス
今回自分は何もできないのをよく分かっているから黙っているんだろう



それから、シリウスは丁寧にお帰りいただき、私は校長室に残った

ダンブルドアに向き直り、口を開く

「校長」

「なんだねMsポンティ」

薄いブルーの目が聡明に細められて私を見る

「シリウスの言っていた、ハリーが見た『夢』についてですが」

「…ふむ…何か’’思い当たる’’ことがあるのかね?」

気になること、ではなく、ダンブルドアは「思い当たること」と言った
本当に賢い人だ…
怖い…

「…ひとつ、許可を頂きたいことがあります」

「言うてみなさい」

「私に『姿現し』の許可を」

ほんとを言えば別に許可をとる必要はない
ばれたとしても勝手にやればいいだけだ
だが、今回この『許可をもらうこと』にこそ意味がある

このやりとりにこそ

「学校で『姿現し』は禁止されておる。それに、Msポンティは未成年じゃ。それを承知で言っておるのかね?」

「はい。’’私は’’あなたと同じ考えです」

言外にハリーを守るためだと伝える
聡明な、侮れない目が見定めるように細められる
背中に冷や汗が流れる
こういうことは…私には向いていない…
だけど…

「…’’それ’’は’’彼’’が着けていたものかね?」

私の人差し指にある、指輪のことを言っているんだろう

「はい」

「本気なのかね?」

「…ええ。思い上がっているわけではありませんが…’’彼’’を一番近くで見てきたのは、私ですから」

そうだ…
ずっと…何もせずに…見てきた…
卑怯で…残酷で…
最低な私…



重く気まずい長い沈黙の後…





「……すまんのぉ…君に一番辛い役目を任せることになる…わしは柵が多い故、限界があるのじゃ」

憐憫の…悔いるような顔で、皺だらけの手で私の手を取ってポンポンと叩きながら見てくるダンブルドアに、私は目を伏せた

「これは…私の’’業’’です………ハリーは…あなたを信じています」

「…お主はそれでいいのか?」

「…もう、決めたことです。遅すぎましたが…」

「…そんなことはありはせんよ…お前さんは’’選択した’’のじゃ…それは並大抵の覚悟でできるものではないのじゃ…」

私の手を包み込んで真摯な薄ブルーの目を向けて言ってくるダンブルドア…
下にある半月型の眼鏡が鈍く光る…

「先生方のことはわしに任せるといい。呉々も気をつけるのじゃよ。……これはわしの憶測じゃが、ハリーだけが狙われているとは限らん」

その可能性は私も考えた…
彼は何も知らない、と言った

だが…
それが本当なのか…
私は疑っている…
確信はない…

「ありがとうございます…校長先生…」

「構わんよ…お前さんは’’今も昔も’’わしの大切な生徒じゃ」

朗らかにそう言うダンブルドアに胸が締め付けられた






それから校長室を出る前に私は一応伝えておいた


「先生、ひとつ気になったことが」

「何かね?」

「校長がお雇いになった新しい先生、私の記憶が正しければ、生徒に『許されざる呪文』を何度も使い、興奮するような方ではななかったと思います。気になったので一応伝えておきます」

「…気に留めておこう」

これにはダンブルドアが少し眉を寄せた
今ここで偽ムーディが捕まるのは違う気がする

分かっていながら最低なことをしていると思うが…
私にはこれが限界だ…




















「意外だな。ダンブルドアに全て言うのかと思ったよ」

紅い目を細めて見下ろす彼に私は、今にも膝から崩れ落ちそうになるのを堪える

「そんなこと…思ってもないくせにっ……」

そうだ…
これは確信に近い憶測だが…私がダンブルドアに全てを言うことは’’彼の中で’’禁忌だ…

私が言えないことを…言わないことを全て分かった上で…

常に試している…

「僕はね。いつからか、お前のそういうところが不愉快ではなくなったんだよ」

知らないわよっ
あんたの快不快なんてっ
知りたくもない…

「お前だけが僕を’’理解している’’」

違う…
それは違う…
それはあんたが心を開かなかっただけ…
しようと思えば…あんたを理解する人間はいたはずだ…
呪詛のように彼の言葉が入って縛り付ける…

「いないさ」

まるで見透かすように、艶やかな透き通る声で断じた彼

「’’僕’’が許可しないからだ」

ほんと…どこまでも…不遜で傲慢…
でもどうしてだろう…
彼がそれ以外の言葉を言っているところが想像できない…
だから皆貴方に魅せられた…
騙されていた…

「さぁ立てナギニ。お前がやろうとしていることはこの程度で根を上げているようでは夢のまた夢だぞ?」

やりたくないっ
本当は今にも逃げ出したくてたまらないっ
どうして私がこんな目に…
何度も何度も思った…
私は何もしていない…何も知らない…
どれだけ目を逸らしてきただろう…
無関心を貫いてきたのに…
そのツケが今になってきた…

苦しいのも辛いのも…こんなことをしているのも…本当は嫌で嫌で仕方ない…

平和に暮らしていたかった…
元の平和な世界に生まれ変わりたかった…
死んだら終わるのだと思っていた…

逃げたくなる足を叱咤して、立つ
悠然と立つ彼を前にして震えてしまう…
次は何をされるのか…
怖くてたまらない…
もう嫌だ…

「良い子だ。さぁ、構えろ」

彼が天才なのは知っていたが…これで嫌というほどよくわかった…
完璧なんて言葉では足りない才能を持っている…
当時からダンブルドアを出し抜くくらいだ…
彼にとっては当たり前なのだろうが…

震える手で杖を構える
頭では否定しているのに…覚えこまされた体は勝手に動く…









その後、彼の指導を受け、彼が今日は終わりだと言った時には立っていられなくなり倒れた

頭に広がる彼の胸の感触を最後に…


「ナギニ…お前はーーーーーだな………」

彼が…呆れたように…静かな声で…

何かを呟いたのが遠くに聞こえたが…

それがどんな感情のものなのか…

私には…到底わからない……






——————————————



炎のゴブレット 〜2〜
代表選手が発表されて波乱の中、彼女が出す覚悟とは…

‘’彼’’の企みとは…
91767814916
2021年6月6日 05:28
choco

choco

コメント
作者に感想を伝えてみよう

関連作品


ディスカバリー

好きな小説と出会える小説総合サイト

pixivノベルの注目小説

みんなの作品

関連百科事典記事