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賢者の石 〜1〜

賢者の石 〜1〜 - chocoの小説 - pixiv
賢者の石 〜1〜 - chocoの小説 - pixiv
23,151文字
転生3度目の魔法界で生き抜く
賢者の石 〜1〜
現代日本人だった女オリ主が魔法界へ3度転生する話

1度目はトム・リドルと同じ孤児
2度目はブラック家に

そして全て死んで生まれ変わったのは子供世代である本編に転生!!

※グリフィンドール厳しめ
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2021年5月24日 09:13

現代を生きた元日本人の転生主がハリポタ世界3度目の人生を子世代と送る!

※捏造過多

※キャラの口調とかには突っ込まないで笑

※あくまで自己満なので原作重視の方は回れ右の方がいいかもです

※グリフィンドール厳しめ


———————————


人生は思い通りにいかないという言葉はよく知られている

私の人生はまさにそうだった

生まれ変わって三度目は、また『ハリー・ポッター』という創作物の世界

覚えてる記憶では、最初は、日本で普通の社会人として暮らしてたのに、巻き込み事故で呆気なく死んでしまったようだ
折角細々と貯金してたのに

目が覚めた時、私は赤ちゃんだった
目が開かない時期が過ぎた頃で、黒ずみだらけの古びた天井を眺めていた
そこは昔のイギリスの孤児院だった
私は捨てられた子どもなのだとわかった

それから混乱する頭をどうにか落ち着けて、死んだから輪廻転生なのかと思うことにした

同じ孤児院にトム・リドルっていう名前の男の子がいて絶句した
私の横による並べられた黒髪の紅い眼を持った赤ちゃんに、最初は変わった容姿だなとしか思わなかったから、孤児院の大人がその子のことを『トム』と呼んでいたのを聞いて、徐々に思い出した

トムと私は同じ歳だった
ミセス・コールが話してるの聞いて知った
彼が預けられて二日後に、私が孤児院の前に捨てられていたらしい

似た境遇なのが悪かったのだろう
孤児院の人達は周囲と全く馴染もうとしないトムと私を一緒に居させた

ずっと一緒に育ったのもあって、彼は私に関しては悪口…というか罵倒と馬鹿にするボキャブリーを遺憾なく発揮してくれた

いた、というのは、わかる通り最初はめっちゃ警戒されてて丁寧な口調や対応だったからだ

私も将来の犯罪者と深くお関わりになりたくなったので、どうせこの孤児院だけの付き合いと思い、生まれ変わる前のある程度の社会人としての距離感を心掛けて接した

だけど、人との距離感は思い通りにはいかないもので…

人の行動や発言にいちいち嫌味を言わないと息できないのかと思うくらい嫌味ったらしい性格がいつの間にか現れて、私もそれに我慢できずにカチンとくることは何度かあったのでその度につい言い返していた

一度大人にまでなった私でも言い返してしまうほど、口が上手く相手を煽るセンスしかない傲慢さの体現のようなクソガキに、相手が将来的な犯罪者で復讐とか報復をされると思っても口が閉じてくれなかった

黒髪に紅い目
整った目鼻立ちは想像したものより、よっぽど女が寄ってきそうな容姿だった
幼い容姿であっても多くの者を魅了して信用させそうな容貌だった

一方、私は平凡だった
黒髪黒目で目はかろうじて二重で前世より整っている方ではあったけれど当時では珍しいハーフだった
アジア人との間の子だろうとミセス・コールは言ってた

1930年代のイギリスに生まれ変わった私は、『ハリー・ポッター』のトム・リドルの始まりの時代だと知った
私はどうにか彼の記憶に残らないように立ち回った

だけど、全て空振りで、それどころか、一緒に行動させられた
何故ならトムが孤児達を虐めていたから

証拠はなかったし本人も平然としらを切っていたからあくまで嫌疑をかけられるだけ…って感じだったけど

ミセス・コールや他の大人も彼だと確信していた

私はこれに乗じて彼から離れとこうと思ったけどそれは甘い考えだった

ミセス・コールが私を彼と離さなかったからだ

彼は産まれた時から一緒にいる私だけは嫌がらなかったからか、ミセス・コールは私を彼の目付役として側に居させた


私は彼とある秘密を共有していた



言うまでもないだろう



魔法だった



きっかけは私が油断したことによるものだった
まぁ私もまさか自分が扱えるとは思ってなかったから偶然だったんだけど…

そして秘密を共有し始めてから、やはり既に規格外の秀才の一面が出ていた彼に、自分のようにやってみろと練習させられた

何故私がこんな目に…と思った

何故、理論もなにもわからない恐ろしい魔法の力を扱えるように練習させられなければならないのか
そもそも私はホグワーツなんて物騒なところに行く気はないし、魔法界と関わる気もない

だって自分が知っている世界じゃない

物語は物語として見るのがいいのであって現実ではお断りだ
しかも仄暗過ぎる

毎回やる気を出さない私に彼は普通に脅してきたり煽ったりするものだからやらざるを得なかった

既に下僕かペットみたいな扱いである
そして物語の中でも肝心なパーセルマウスという能力だが、矢張り彼は蛇と話せた

私も話せるのか?とか聞かれたけど素直にNoと答えた

わかるわけない
話せてたらサラザール・スリザリンの末裔だし
それに満足しなかったのか彼は不機嫌そうな顔をしていたけど

数年すると、暫くしてから例の教授が彼を迎えにきて、私は彼の部屋で説教を受けていて、教授が来た時、暗に「出ていけばどうなるかわかるな?」みたいは脅しを受けて、教授にも一緒に聞いてくれと言われたからその場に残った



そして、矢張りというか彼を警戒した教授によってホグワーツ魔法魔術学校に行くことが決まったのだ




そしてこの生まれ変わった人生は、私が卒業と同時に彼に殺されるまで続いた







なのに、次に目覚めた時落胆どろこではなかった
まさかの親世代のしかもよりにもよってブラック家の長女として生まれた
長兄であるシリウス・ブラックの妹であり、レギュラス・ブラックの双子の妹だった

純血族、聖28一族の一つであり、イギリス魔法界の王族とも言える家柄

本来ならいない人物
オフューカス・ブラック

男の子みたいだけど、立派な冬の星座の名前から取られた
へびつかい座だ
マイナーだなと思った

自慢ではないが、ブラック家の代々の血筋もあり、容姿は大変整っていたといえよう
しかも、双子の兄のレギュラスが末の私をよく構ってくれたから余計にホグワーツに入学した時は目立った

それはもう目立った


そして私がいたから物語が変わったのもあり、本当に色々大変なことがあって、レギュラスは一度デスイーターになったけれど深入りする前に戻ってきた
シリウスはデスイーターにはならなかったが、結果的に濡れ衣で逃亡したから戻ってはこなかった

レギュラスは生きていた

だけど、レギュラスが戻ってきて間もない内に、私は兄が裏切った報復で死喰い人(デスイーター)に殺された

また殺された

誰に殺されたのかは、よく憶えていない
その時の私は、もう疲れていたから…









これで終わりかと思った

なのに私はまた生まれ変わった
だけど、今度は思ったよりは良かった

普通の魔法使いの父と魔女の母の元に産まれた私
私自身が色々なことに対して疲れ切っていたのはわかっていたから、この何でもない平和な家族の元に生まれてこれたことがとても幸せだった

何度も学生なんてしたくなかったけど、この優しい家族と過ごせるなら苦には思わなかった

容姿も日本の魔女である母の影響で色味は黒髪に黒目
父からは西洋的な目鼻立ちを受け継いだ
垂れ目がちな目元は父譲りで、二人並んでは母に「よく似てるわ」と言われる

当初、母が日本人だから日本の魔法学校に通うつもりだった
だけど、まさかのホグワーツに通うことが決定してしまった

正直もう嫌だ
あそこには思い出が多いけれど、決して良いものではない

だって彼ーートム・リドルは結局、あの後闇の帝王になったし、シリウスはアズカバンにいる

正直、私はここから始まる物語に関わらない方がいいと思っている
誰かを救えるとか大層なこと考えてないし、できない
心が痛まないわけじゃない

だけど私はここにきてから、二度も殺された
寿命を全うして死んだわけじゃない
なんとも思わなかったわけじゃないけど、あ、結局そんなものなのか、と嫌になるくらいの感情を抱いたのは事実だ
それこそ、こんなことならもう生きていたくない、と思うほど
殺される為に生きているわけじゃないのに

ぼんやりとした、今でも忘れられない最後の記憶の中の彼は、私を殺す時、なぜか恍惚な表情をしていた
薄れる視界の中で、歪に弧を描いた口角が見えた

どうしてあんな顔をしていたのかわからないが、きっと彼のことだ
‘’完璧’’を求める彼は、自分の消し去りたい過去を知る者の存在を許せなかったに違いない
名前だってそうだったから
だけど私は、どれだけ思い出しても彼を恨む気持ちにはなれなかった
いつか殺されると思っていたけど、曲がりなりにも共に過ごしてきた幼馴染に殺されるならいいか、と思ったからだ



私が知ってるのは’’彼’’で、物語の’’彼’’ じゃない




ブラックであった人生でも、生物学上の父や母と呼ばれる彼らはどうでも良かった
記憶を思い出した時、既に人格形成が終わっていた私からすれば、洗脳的な偏った思想の教育なんて、理解したくもなかったから
私は彼らが嫌悪する元マグルなのだし
だけど、シリウスとレギュラスだけは身内の枠に入っていた

その一方で、いつも彼のことが頭にあった

学生生活を送る中でも、城のあらゆる場所を見るのが苦痛ですらあった
彼と話した談話室、学んだ教室…通るたびに、視界に写すたびに思い出が蘇ってきた

私は寂しいのかとも思ったが、それには見て見ぬふりをすることに決めた







  
そうして、ホグワーツに通うことになった

今世の名前はユラ・メルリィ・ポンティ

言わずともユラは日本人である母のこだわりでつけられたらしく、ポンティが苗字だ
ミドルネームは父がどうしても付けたいと言ったらしくこうなったらしい


そして入学日になりホグワーツにドナドナされた私

今世の両親の自慢気な微笑みに気圧され、送り出された



















僕には大切な妹がいた
幼い頃には兄と取り合いになるほど可愛がった妹が

そんな妹は僕達が道を踏み外したばかりに、報復として殺された

兄のシリウスは、妹が殺されたことを知り、逃亡から家に帰ってきて絶望して荒れた
そうしてアズカバンに収監された

冬の中頃、寒い日に産まれた僕と妹
どちらも一族の伝統として星の名前がつけられた
やや男の子っぽい名前だったけれど…

オフューカス・ブラック


オフィーは平凡で慎ましい子だった

何にしても落ち着いた子だったから、精神年齢が高かったのだと思う
僕と双子でも、大人びた言動が多かったからか、対照的な兄のシリウスにおふざけで絡まれたり、馬鹿にされることはよくあった
だけどオフィーはあまり相手にしなかった

兄があまりにもしつこいから、たまに言い返したりして怒っていたりもしていたけれど
本気じゃない
だけど、兄の方はオフィーが本気で怒らないのをいいことに、調子に乗っていた

基本はとても穏やかで大人しい子だった
何事にも興味が無さそうな素振りが常で、一見冷酷にも見えるけれど、根は優しくておおらかな子だった

オフューカスは、偏見が強い純血の家系に産まれたにも関わらず父や母をあからさまに非難し、嫌悪する態度を全面に出す兄と違って、否定も肯定もせず、ただ受け流して、興味のない態度をとっていた
けれど、妹が本当は僕達に近い考えだったのは知っていた

僕達兄弟が道を踏み外した時も特に責める様子はなく悲しげな顔をするだけで責めなかった
僕が戻った時、妹は今まで見たことがないほどホッとした顔をしていた

だから、僕は妹が変わらず迎えてくれたことに安心して、彼らが裏切った報復に、妹を狙うだろうことを考えていなかった


その結果、あの悲劇が起こったんだ


妹を失って絶望した私は、それから暫くしてダンブルドアからホグワーツの教師として誘われるまで何にも手がつかなかった

毎日毎日、我が家で思い浮かべるのは妹の顔
クリーチャーが僕を心配して妹を思い出させることをしてくれようとしたが僕には余計に辛かった
家にある妹の肖像画の前で過ごしては、何もせずに、ただ眺めて過ごした

妹はもう帰ってこない
どんなに悔やもうと、悲しんでも、もう戻ってきてはくれない
日に日にやつれていく僕を、クリーチャーは心配した
肖像画の前で過ごしては、何もしない僕を…

クリーチャーは殊更妹と仲が良かった
兄のシリウスは良い顔をしなかったし、よく怒っていたが、妹が兄や両親に見られないように、クリーチャーに親しく接していたことは知っていた


兄弟である僕達よりも


表向きは主としての態度でありながらもその実、誰もいないところでは屋敷しもべ妖精に友人のように接していた

愛する妹オフィー
僕は君を失って生きる意味を喪った
馬鹿だった
僕が愚かだった
だから、戻ってきてくれと何度願ったことか


無意味に過ごした時間が終わりを告げ、気づけば世の中では、闇の帝王を退けたジェームズ・ポッターとリリー・エバンスの息子であるハリー・ポッターが魔法界で有名になっていた

暗黒時代に幕が下りた

僕は己の過ちで失った妹のためにも、いつまでもこのままではいられないと感じた
ダンブルドアの誘いを請け負うことにし、ホグワーツ魔法学校での教職に就いた







そして何年か勤めた後、僕はそこで妹にとてもよく似た生徒と出会った






















もう何度見たかわからない9と4分の3番線
ホグワーツ特級に乗った私はひとりになりたくて、誰もいない席を選んだ

そういえば、私が向かい側に座ったら決まってあのお綺麗な顔に皺を寄せて足をつねってきたよな

痛がる顔を見て愉しそうな顔をするし
普通に理不尽の権化だった

思い出せば実に腹の立つことばっかり

忘れてたけど、ここからが私の知ってる『ハリー・ポッター』の始まりだった
 
賢者の石…

私がいたことで何かが変わっているのかもしれないとは思う
レギュラスが生きてる時点で必ず何かしら変わってる
だから私にはこれからの物語が予想もつかない

シリウスがアズカバンにいることに関して、手を貸すか手助けするべきかどうか、正直迷っている

今世の私は全く関係ない人だから、と言いたいけど、ぶっちゃけ、シリウス兄様にはオフィーだった頃、散々おちょくられたから迷う

正直、あの破天荒で、短気な性格は多少は矯正されるべきだと思う
それに
それに、放っておいてもシリウスはアズカバン脱獄するだけの胆力がある

思いっきり私情だけれど…

その一方、レギュ兄は優しかった
穏やかだし滅多に怒らない
だけど一度のめり込むと周りが見えないところがあった
まだ公明な研究者として名を馳せていた彼の才能に入れ込んだりとか…
だけどレギュ兄は、彼にはない倫理観があった
だから戻ってきてくれたのだろうけれど


授業とかは履修する必要がないんだろうけれど、知識や技術は彼に叩き込まれて身についた
それに、ブラック家だった頃に、礼儀作法などを叩き込まれた
高貴な家柄のお高いプライドやら純血同士のパーティなどで魔法界の事情やマナーやら知りたくもなかった魔法会の暗黙の了解が身についた

だから今世は目立たず細々といきたい
やっと手に入れた
幸せな家族だっている

もう殺されたくはない






ーーーー「君は平凡を地でいくような体現なのだから少しくらい僕の隣に立っていて恥ずかしくないように努力したまえ。恥さらしもいいところだ。この僕が自ら教えてやっていることに感謝するんだな」ーーーー



思い出しても、ほんと人を落ち込ませたり、苛立たせるようなことしか言ってなかったな
嫌味の連発もいいところだ
そりゃあ、卒業までずっと主席だったやつから言わせれば、私なんて下の下の底辺でしょうね

はぁ…
思い出したらムカついてきた


ことあるごとに思い出す奴との思い出に心を鎮める為に、おお手洗いに行くことにした
立ち上がり、重い扉をスライドさせて廊下に出たら誰かとぶつかった

「っ!すみませんっ…前をよく見ずにぶつかってしまって」

咄嗟に出てきた謝罪をしてから、相手の顔を見ると…

「いや、気にしなくても良い。僕の方こそすまなかった。怪我はないか?」

とても既視感のある綺麗なプラチナブランドの金髪をオールバックにして、紳士然とした彼はどこぞの髪を横に垂らした美丈夫にそっくりだった

まぁアブラクサスの方が厳格な雰囲気で底が見えない感じだったけど

「いえ。私は大丈夫です。私の方こそすみません。マルフォイ家の方ですよね。無礼なことをしました。服など汚れたりはしてませんか?」

長いものには巻かれておくに限る

「へぇ。君はなかなか身の程を弁えているんだな。別にこれくらいで服は汚れたりしていないから気にしなくてもいい。そういえば、レディに対しては自己紹介がまだだったね。僕はマルフォイ。ドラコ・マルフォイだ。君の名前を聞いても良いか?」

優しそうな雰囲気で紹介してくる彼に「え、誰?」と思ったのは心の中に留めておこう

「私はユラ・メルリィ・ポンティです」

「ポンティか、聞いたことがないな。君の両親は魔法使いか?」

やっぱり血筋を気にするのは聖28一族のひとつだから仕方ないか…
私もブラック家で育ったから、よくわかる
でも、毒気のないタイプよりかはましだ


「はい。母は日本の魔女の家系で、父はイギリスの魔法使いの家系でした。聖28一族のマルフォイ家の貴方と比べれば大層なものではありません」

「よく知っているな。僕は両親が魔法使いなら別に差別したりしない。君は立場を弁えているようだしね。そうだ。僕と友達にならないか?」

「え、あ、はい…構いませんけど…私みたいな名も知れてない家の子どもと仲良くしても…貴方に得はないと思うんですが…」


「そんなことを気にしてるのか?君は両親共魔法使いだし僕は仲良くしたいと思う奴と仲良くするさ。他の奴が何と言おうとこの僕が友人だと言えば友人だ。よろしくなユラ。僕のことはドラコでいいぞ」

そう言って11歳らしい綺麗な子どもの手を差し出してくるドラコに、口元が引き攣るのをなんとか抑えた

血筋気にするのはまぁ教育だったろうから仕方ないとして、普通に良い子なんだよね…
だから余計に…

握り返さないという選択肢はなく、私はゆっくり手を出して握手に応えた

「よ、よろしくお願いしますドラコ…様?」

「ははっ…同級生に様つけで呼ばれるとは思わなかった。呼び捨てでいいし敬語もいらない。友人だろ?」

ソウデスネ…
日本で馴れていると思うけど、なんか素っ気無い人とかクールでも西洋の人って距離の詰め方がやっぱり海外の人だなって思う
慣れたつもりだったけれど…

「じゃあ…ドラコ。よろしく」

「あぁ。それより君のご両親はどこの寮だったんだ?」

「母は日本の魔術学校出身なのでよくわからないですけど、父はホグワーツでスリザリン寮だったそうです」

私はずっとスリザリンだった
狡猾でもないしどっちかっていうと平凡で平和主義だからハッフルパフなのに
多分、陰険なのは認めるけど
元はそうじゃなかったと思う
誰かさんのせいで陰険になった

「そうか!なら僕と一緒になるだろうな!僕の家は代々スリザリンなんだ!」

それからまだピュアボーイである彼の嬉しそうな自慢話が始まって私は心の中で知ってる…知ってるよ…とか思いながら適当に相槌を打っていた

そして自慢話は金魚のフ…もとい、ビンセント・クラッブとグレゴリー・ゴイルがドラコを探しに来てお話は終わりになり、彼は私を2人に紹介した

そして、パンジー・パーキンソンも来て、最初は睨まれたが自己紹介でつんけんしてた雰囲気が一気に変わった

「私のことはパンジーと呼んでいいわユラ!仲良くしましょう?」

いやほどほどでいい
というかテンション高いし、声が高いから抑えてほしい
頭が痛い
ただでさえ乗り物酔いしてるし

「うん。よろしくパンジー」

「ええ!」

「ユラ。お前顔色悪くないか?酔ったのか?」

流石紳士ドラコ君よ
私が高い声と乗り物酔いで土色の顔になっているのに気づいたドラコに声をかけられて

「ま、まあ。情け無いんですが、昔から乗り物が苦手で…なんていうか、列車とかは無理で、馬とかは大丈夫なんだけど」

「え!?そうだったの!?ごめんなさい気づかなくて!」

いや、あなたのその金切声もだいぶな要因だよ
自分で癒しをかけれるといっても限度がある

これは彼に教えてもらったもので普通の癒しの呪文じゃない 
無詠唱の呪文だけど、魔法薬とどちらがいいと聞かれればこっちの方が効くと言える

まぁ教えてもらったって言うか、文明の利器に慣れた私は今より弱かった
私は毎度吐きそうになるので、彼に不本意みたいな顔でかけてもらったのだ

毎度

それで毎回掛けてもらうのも悪い…というかその度に嫌な顔されるので、自分でできるようになるために彼の見よう見まねで頑張って覚えた

それから自分でかけれるようになって「酔わなくなったからもう大丈夫」と言ったら、怪しんだ彼にこっそり練習してたのが全部ばれて「今度使えば逆呪文で吐くことなく、一生気分の悪いままにさせてやるぞ」と本気でやるりそうな勢いで脅されて、仕方なく使用を控えた


という理不尽な経緯によって会得した魔法である



私の知っている電車ではなく、古い列車なこともあり、よく揺れる上に、乗っているということを嫌でも認識させれるからか、気持ち悪さは治ったが、パンジーの声のせいで頭が痛い

窓を開ける許可をもらってへばって風を浴びていると

「ユラは虚弱なの?そんなに弱いと立派な魔法使いにはなれないわよ?」

いや別にそんなこと目標にしてないですけど?

「あはは…乗り物酔いはね…仕方ないから…」

「乗り物酔いは体質の問題だろ。大体君の煩い声のせいもあるだろ。もう少し声を抑えろうるさい」

君ホントにあのドラコ君?って思ったのは仕方ない
この子って初対面の友達なりたて相手にはこんな優しいの?って思った私は悪くない

ドラコが私の横で情けないわね、と言わんばかりで腕を組んでいたパンジーにズバリと言って、クラッブとゴイルがうんうんと頷いてる

「私はそんな大きい声出してないわよ!」

いや録音して一回聞いてみるといいよ
ダメだ頭痛くなってきた

「ごめん。私一回顔洗ってくるよ」

冷たい水でスッキリしよう

「え、えぇ。わ、悪かったわユラ」

「大丈夫だよ。私の体質の問題だから」

罰が悪そうな顔で少しシュンとするパンジーに悪いけれど、事実なので否定はせず声をかけて席を立った



それにさっきからお手洗いを我慢してたんだ





お手伝いに向かってから、私は手洗い場で顔を数回冷たい水で洗った




そういえば…何で冷たい水で洗うようになったんだっけ



あぁそうか


彼が私が酔うたびに呪文で顔面に凍るほど冷たい水をかけてきたからだ

思い出したくもないあいつ

私がお手洗いに行きたいのを知ってて扉に鍵掛けた
私が魔法でも解けないのを知ってて、ギリギリまで我慢させてお願いさせた上で悪い顔して行かせたんだ


いい性格してるよ



それから冷たい水で洗うのが癖になった
なんかスッキリしなくて

日常にまで入り込んできている彼の存在に、殺されても一度でいいからぶん殴ってやりたかった


それに今世は嫌な予感がする
きっと、ハリーが彼を打ち破るだろうけど
私に関して言えばおかしなことが多い

まず入学が決まった時、私は両親に連れられてダイアゴン横丁に行った
慣れていたから必要な物は問題なく買うことができた

だけれど、杖を買うためにオリバンダーの店に行けば

物騒極まりない予言をされた

ーーー「昔これと同じ材質の杖に選ばれた2人の魔女がおった…どちらも雰囲気も貴方によく似ておる控えめな子だった…最初に杖を買いに来た少女と共にいた者は悪の道に走った…だが彼女は…いや。貴方には関係のない話だったな。この杖が貴方を選んだのは運命やもしれん。呉々も扱いには気をつけるように」ーーー

最初に選んだ杖と同じ材質のセストラルの尾毛と樫の木だった

セストラルは強力だけど扱いにくい
それに死を目の当たりにした者にしかセストラルは見れないし、死を受けいれることができる魔法使いにしか所有者になれないはずだ

死は嫌と言うほど見てきた

それは納得できた

だけど私は決して自分の死に納得してるわけじゃない

それに、樫の木は「持ち主と苦楽を共にする忠実なパートナー」と言われている

嫌なんだけど楽は兎も角、苦は
私なかなか大変で、うまくいかない人生を送ってるんだけど


そうして私の相棒は、その杖になった

私はペットはいらなかった
何故なら前世では死んだから
下手にいても寂しくなる

私はもう動物が死ぬのが耐えられない

両親に「ほんとにいいの?」と聞かれたけど「まだいいかな。いい子が見つかるまで待つよ」とだけ言っておいた

だけどその数日後、家のそばの草むらで暇を持て余して、予習も兼ねて買った教科書を本を読んでると、しゅるっと明らかに蛇が喉を鳴らした声が聞こえて驚いて顔を上げた

そこにはリングになるほどのちっさい蛇が私の膝の上に乗って小っちを見てた

蛇なんて嫌だった
彼を思い出すし

だけど

「貴女は魔女ですね?」

と信じられないことに蛇が話しかけてきた

問題はそこじゃなかった
何故私がパーセルマウスなのか…
それはハリーと彼だけの絆だ

私は彼を退けて分霊箱になったわけでもない
殺されただけ

私は声に詰まって瞠目した

「…っ…」

「私の言葉がわかるのですね?」

「……え…えぇ…まぁ…」

「私は貴女が幼い頃よりこの近くに住み着いていた蛇です。遠くよりずっと小さな魔女である貴女の姿を見守ってきました。そんな貴女は11歳になる」

ちょっと待って
この蛇ストーカーかなにか?と思ったのは致し方ない

「貴女は立派な魔女となるべくホグワーツに向かうはずです。是非私を側にいさせて欲しいのです」

しかもこの蛇どうしてこんな丁寧なんだ?とか疑問しかなかった
そりゃあ、動物と喋るのは夢だったけど…

こんな形で叶うのは何か複雑な気持ちだった

私は粘りに粘ったが、この妙に丁寧で紳士的な小さな蛇をペットして、ホグワーツに向かうことになった

何故私は蛇にまで丸め込まれているのか
自分で丸め込まれといて情けなくなったが

両親には「なんか離れてくれなくなったからこの子をペットにするよ」と言い、話せることは絶対言えないのでお口にチャックした

驚いていたがその蛇…名前はセンリにしたがハングルになるほどちっさいし可愛い?らしいので渋々納得はされた

まぁペットと言わなければ、なんだそれアクセサリー?とか言われるレベルである

だが私はこの時、嫌な予感してならなかった






そんなこんなで何度目がなので勉強は全く問題ないが、あらゆる意味で問題ありまくりの入学式の日を迎えた








回想はここまでにして私は少しましになったところでついでに制服に着替えて席戻った

因みにセンリは私の足か腕にいつもいる

頼むから話しかけるのは二人きりの時だけにして欲しいと、私は蛇に土下座してお願いした

それに対して何故かセンリに明らかに変なものを見る目で見てきたが了承してもらった




そして私は着くまで体力温存のために眠った


ドラコとペイジーに「普通寝るか?」と突っ込まれたのは解せぬ











それから列車の速度が下がり完全に停車した
ざわざわと押し合いになる中、列車から降りて暗いプラットホームに降りると、ハグリッドの姿が見えた

彼が罪をなすりつけたばかりに退学させられたハグリッド

「イッチ年生!イッチ年生はこっち!」

申し訳ない気持ちになる
私は彼のやっていたことに気づいていたのに何もしなかった
ごめんなさい…

罪悪感を感じてぼーっとしてると、わくわくしているパンジーに手を引かれて、鬱蒼とした狭い道を抜けて何度も見たホグワーツが見えてきた
そうして黒い湖のほとりに出た

この湖も懐かしい

四人組でボートに乗り込んでいくが、私はぼーっとしていて乗り遅れて、他の生徒と乗った


「君はさっきドラコと話していた子だね。名前は?」

「え…?ユラ。ユラ・メルリィ・ポンティ。し、失礼だけど貴方は…」

「失礼した。僕はセオドール・ノットだ」

セオドール・ノット?
家名は知ってるけど他は全然知らん

「Mr.ノット。失礼しました」

取り敢えず下手のほうがいいと判断した私は軽く頭を下げた

「別にかしこまらなくていい。それにしても君聖28一族を知っているんだね…」

「いえ…魔法使いなら教養として知っておくべきのことですから」

「謙虚だね。ユラのご両親は?」

これは…マグルかどうか聞いるんだろうな

「両親は魔法使いです。ですが祖父や祖母は会ったことがないのでわかりません。父や母曰く既に亡くなっているそうです」

これは本当だ
私の知ってる家族は両親だけ
2人ともお互いの家のことは話そうとしないし

「そうか」

そう言っておけばどっちかわからないだろう
スリザリンは純血主義者が多いけど不確定な要素があるのにあからさまに差別したりするほど馬鹿じゃない

「僕のことはセオでいい」

なんかいきなり距離詰められた?
手を出されて、条件反射で取り敢えず握手する

「えっと…私もミドルネームでもどっちでも好きに呼んでいいよ。どの寮になるかわからないけどよろしく」

それからセオと色々話をした
セオは本が好きなのか、性格も気性も内向的で話が合った
私も注意をしながら本や学説の話で盛り上がることができた
久々に楽しい時間を過ごせた

一緒に乗っていた子には、明らかに1年生で議論する内容ではないとドン引きされてたけど





それからホグワーツ城に着いた
ハグリッドが学校の扉を開けて、私達の前に現れたのはマクゴナガル先生だった

エメラルドのローブに特徴的なブローチをつけて厳格な顔で立ってる

それをセオと一緒にお喋りを止めて見上げて言葉を待つ

「新入生の歓迎会がまもなく始まりますが、大広間の席に着く前に皆さんが入る寮を決めなくてはなりません。寮の組み分けはとても大事な儀式です。ホグワーツにいる間、寮生が皆さんの家族のようなものです。教室でも寮生と一緒に勉強し、寝るのも寮、自由時間は寮の談話室で過ごすことになります。寮は4つあります。グリフィンドール、ハッフルパフ、レイブンクロー、スリザリンです。それぞれ輝かしい歴史があって偉大な魔女や魔法使いが卒業しました。ホグワーツにいる間、皆さんの良い行いは自分の属する寮の得点になりますし、反対に規則に違反した時は寮の減点になります。学年末には、最高得点の寮に大変名誉ある寮杯が与えられます。どの寮に入るにしても、皆さん一人一人が寮にとって誇りとなるよう望みます」

「まもなく全校列席の前で組み分けの儀式が始まります。待っている間、できるだけ身なりを整えておきなさい」

一応自分の身なりを見て確認する

「学校側の準備ができたら戻ってきますから、静かに待っていてください」

そう言ったマクゴナガル先生を背をぼんやり見ながら行ったのを確認してセオとまた学説の話に戻った




それから戻ってきたマクゴナガル先生について行ってセオと並びながら大広間に入った

もう何万回も見慣れた景色だが矢張り綺麗だなと思う

「驚かないんだねユラは」

「驚いてるよ?綺麗だなって」

「それは驚いてる顔じゃないよね。顔に出にくいんだね。表情筋使ってる?」

褒められてるのか馬鹿にされてるのか…

「使ってるよ?」

惚けておけと思った私の返しにセオはクスリと笑った
よく似合っている

それから上座のテーブルのところまで案内されて教師陣を見ると目を剥きそうになった
なぜレギュ兄様が先生の席に?
思わず目を合わせないように顔を逸らした


そして組み分け帽子を被る時が来て、ABC順に呼ばれた


案の定はドラコはスリザリン

ロンとハーマイオニーはグリフィンドール

そしてハリーの番で緊張感が漂ってややかあってグリフィンドールになった

ハリーをゲットしたことでグリフィンドールは超テンション高い

そしてセオの番が来た

「先に行ってくるよ」

「行ってらっしゃい」 

わざわざ私に言い返事をするとセオが振り向いて行った

そしてセオはスリザリンになった


そしてその後何人か呼ばれて、私も行った


「ポンティ・メルリィ・ユラ!」

なんかこの名前やだな
変に恥ずかしい

呼ばれて出来るだけ教員を見ずに壇上に立ち座ると組み分け帽子を被せられた

「ん〜…これはまた難儀な子がきたものだ。悩む悩むのぉ…」

どうせならセオと仲良くなったしスリザリンでいいんだけどな
慣れてるし
グリフィンドールだけはヤダ
問題児の巣窟だし

「そう…そうだのぉ…よぉし…決まった。スリザリン!!」

やっぱか
セオとドラコ達の方を見ると喜んでいるのか私の方を見て拍手してくれた

椅子から降りてセオの隣の席に呼ばれたので座る
向かいにドラコ

「おめでとうユラ。スリザリンに選ばれてよかったな。やっぱり君は純血の家系なんだろうな」

ドラコに若干上から目線で言われたけど普通に嬉しかった

「そうかもしれないね…(わかんないけどたぶん違うと思う)」

「君みたいな賢い子がほかの寮じゃなくてよかったよ。改めてこれからよろしく」

とセオに言われて返事をする

打算のあるスリザリンのこの独特な空気は慣れたもので少しホッとした
それからダンブルドアの話があって食事をして(日本食がいいしあんまり好みじゃないが)セオと本の話や家系、スリザリンの寮の話、学校の規則などの話をしていてドラコにお前らそんな頭良かったのか?と突っ込まれながら楽しい時間を過ごしていた私は気づかなかった

上座のテーブルから2人の先生に視線を向けられていたことに

















「ポンティ・メルリィ・ユラ!」

マクゴナガルの声が響き、壇上に上がってきた少女を見て僕は目を見開いた

少しクセのある黒髪に黒目
少し垂れ目の少女の雰囲気が妹によく似ていたからだ

別人だとわかっているのに、妹は死んだとわかっているのに彼女から目が離せない

組み分け帽子が悩んでいるのか数秒後彼女がスリザリンになり、僕は偶然なのか…と思った

様子を見るとあまり変わらない表情で友人達と話す彼女は妹のそれにそっくりだった

あまり笑わないし感情が表に出ることは少なかった妹
それから暫く見ていても仕草も表情も妹にそっくりだった

何故だ
何故こんなにも目が離せない
頭では違うとわかっているのにあの子は僕の妹だと訴えている

あの子と話したい
謝りたい


それから目の前の食事など喉を通らず担当するであろう授業であの子とどう接触しようか考えることばかり考えた
















入学して最初の授業では案の定、ハリーはセブルス…いや、スネイプ先生に絡まれていた

わかる
わかるよ

私は2度目の人生の時、シリウスやジェームズが嫌い(反抗期もあったし煩いので)で彼をいじめるやつが嫌いだった
もともと煩くてチャラいガキが好きじゃないし

だから私は比較的趣味も合って落ち着いて話ができるセブルスとよく一緒にいた

リリーとも仲良くなった
だけど3人でいるたびにちょっかいかけてくるジェームズ(リリーが好きで)や私がセブルスといることに不満があるシリウス(うざいシスコン)に苛立っていた

私はセブルスと同じでシリウスより優秀な枠に入っていた(鬼畜による扱きが功を奏した)お陰でちょっかいかけてくるたんびにスルーするかやりすぎてくる時は追っ払った

卒業後もセブルスとは文通していたが、多分彼と兄達がデスイーターになった時から連絡が取れなくなって
私も殺された

まぁざっとそんな感じだ


これで十分私の性格はお分かりいただいただろう
用はチャラいうざい煩いガキが好きじゃない



そんなこんなで魔法薬学の授業になり、教科書を置いて椅子に座って入ってきたスネイプ先生の話を聞く

相変わらず背ぇ高いな

「このクラスでは杖を振り回すようなバカげたことはやらん。そこで、これでも魔法かと思う諸君が多いかもしれん。フツフツと沸く大釜、ユラユラと立ち昇る湯気、人の血管の中を這い巡る液体の繊細な力、心を惑わせ、感覚を狂わせる魔力…諸君がこの見事さを真に理解するとは期待しておらん。我輩が教えるのは、名声を瓶詰めにし栄光を醸造し、死にさえふたをする方法である……ただし我輩がこれまでに教えてきたウスノロたちより諸君がまだましであればの話だが」

ウスノロ…
ちょっと吹きそうだった
危ない危ない

まぁお陰でかなりシーンとなったよね
それはありがたい
うるさかったし

ハーマイオニーはやっぱり原作通りひけらかしたいお年頃なんだろう
うずうずしてる

私は目立ちたくないけど

そこでやっぱりノートになんか書いてるハリーにスネイプ先生が質問した

馬鹿だあいつと思ったのは仕方ない

「アスフォデルの球根の粉末にニガヨモギを煎じたものを加える何になるか?」

「わかりません…」

ハーマイオニー手痛くないのかな
おもいっきしスルーされてるし

「チッ、チッ、チー…有名なだけではどうにもならんらしい」

お、笑ってる…というか嗤ってる
楽しそうだねスネイプ先生

「ポッター。もう一つ聞こう。ベゾアール石を見つけて来いと言われたら、どこを探すかね?」

うん
愉しんでるね

「わかりません…」

ハーマイオニーの腕がそろそろ分離して天井まで飛んでいきそうなくらい高く上げれてんだけど?
どんだけ言いたいんだよ

ドラコ達笑ってるし
セオは興味なさそうだ

「クラスに来る前に教科書を開いて見ようと思わなかったわけだな、ポッター、え?」

いや、普通目を通すだけだと思うよ…
『薬草ときのこ千種』は私は見てるだけでも楽しかったから覚えたけど…普通はキッツイよ?

ハーマイオニー手ぷるぷるしてきてんじゃん

「ポッター、モンクスフードとウルフスベーンとの違いはなんだね?」

あ、ハーマイオニーがとうとう立っちゃった
それもドスルーってやっぱ凄い

「わかりません…ハーマイオニーがわかっていると思いますから、彼女に質問してみたらどうでしょう?」

いやいや喧嘩売ってるじゃんそれ…

何人かもう声出して笑ってるし
嫌だなぁこういう雰囲気
不快そうだし
ざ、不快ですって顔に出てるよセブルス

「座りなさい」

冷たく言ったセブルスにハーマイオニーが残念そうに座った
うん
仕方ない

「では、代わりに我が寮の生徒に答えてもらおう」

と言ったことであからさまにスリザリンの生徒が慌て出した
いや、こんなんだったけ?
あれ?

シナリオにない発言で私は思わずセブルスを見たら目が合ってしまった

一瞬眉を顰められて次にまさかの発言がきた

「ではMsポンティ。答えろ」

なぬーーーーー!?!?!?

なんで!?と思いながら仕方なく静かに立って答える
仕方あるまい
ここで答えないのも間違えるのもNGだ
心配そうに見てくるセオとドラコをチラッと見て大丈夫と目で告げる

「アスフォデルの球根にニガヨモギを合わせると眠り薬になりす。ベゾアール石は山羊の胃から取り出すことができます。モンクスフードとウルフスベーンは同じ植物で違いはありません」

言われたことだけに答えたらクラスがザワザワとし始めた
そしてハーマイオニーからすごい視線がくる…
目立つの嫌なのに…

「ほぉう。では眠り薬の効果はどのようなもので別名なんと言われている?」

おいぃーーー!?!?

「大変強力な眠り薬で、『生ける屍の眠り薬』と言われています」

「ではベゾアール石は何に対するものとして使われる?」

「薬として毒に対する解毒剤として使われます」

「最後にモンクスフードとウルフスベーンは別名なんと呼ばれている?」

「別名アコナイトともよばれ、一般で知られている名前はとりかぶとのことです」

差し障りのないように落ち着いて全部答えてセブルスを見ると眉を顰めてた

何故だ

「よろしい。スリザリンに1点だ」

その瞬間スリザリンの生徒が湧いた

「だがポッター。君の無礼な態度により、グリフィンドールは1点減点」

そして落とす
案の定不満気な声を出すグリフィンドールの生徒達
いかにもセブルスらしいやり口でなんとなく懐かしくなるね

それから私は許可を貰って座り、セオから褒められた

「凄いじゃないかユラ!賢いとは思ってたけどいつの間にそんな勉強していたんだい?」

「ありがとう。えっと趣味が読書だからかな」

嘘だ
確かに読書で覚えたが、実はかつて彼にみっちり叩き込まれたのだ

あまりにも覚えることが多くて愚痴ったら彼は言ったのだ

「こんな初歩の当たり前のことも覚えることができないなんて情けないを通り越して呆れるよ馬鹿女」

と言われムカついて意地になって覚えた
そう
アイツは人を煽る天才である
普段なら無視してるけど


それから授業は剣呑な空気で進んで、2人組を組まされ、私はセオと組んで、オデキを治す薬を作った

案の定セブルスの見回りで緊張して失敗する生徒がいたり
お気に入りのドラコ以外に全員に注意していく

私はもう何万回もやったのでセオと協力分担しながら1番に作り終えた
小言はなかった

「これくらいの薬できるのは当たり前だが、まぁよくできている。Mrノット。Msポンティ。スリザリンに1点」

出来を見てもらい、私とセオは合格を貰ってタッチした

その後すぐドラコも作り終えて合格をもらった


だけどその瞬間、地下牢いっぱいに強烈な緑色の煙が上がってシューシュート大きな音が鳴って見るとネビルがシェーマスの大鍋を溶かしてねじれた小さな塊にしてしまい溢れた薬が石の床を伝って広がり私達の靴に焼け焦げ穴を空けていた

セオはテンパっても流石紳士。何故か私を先に椅子に立たせて避難させてくれた
細っそりしてるのにどこにそんな力が!?と思ったのは仕方ない
というか私の体重バレたと思ってちょっと恥ずかしい


そしてネビルは大鍋が割れた時にぐっしょり薬を被ってしまって腕や足のそこら中に真っ赤なおできが容赦なく噴き出して痛くて呻き声をあげていた

案の定すぐにセブルスの「馬鹿者!!」という怒号が飛んで杖を振って溢れた薬を取り除いてくれた

「おおかた、大鍋を火から降ろさないうちに、山嵐の針を入れたんだな?」

ネビルのおできが鼻まで広がってきてシクシク泣いてた

「医務室へ連れて行きなさい」

苦々しげにシェーマスに言いつけたセブルスは鉾先は矢張りというか隣で作業していたハリーとロンにいった

「君、ポッター。針を入れてはいけないと何故言わなかった?彼が間違えば、自分の方がよく見えると考えたな?グリフィンドールはもう1点減点」

うん
理不尽だね

案の定理不尽過ぎるので言い返そうとしたハリーだけどロンに小突かれて止められてた



それからなんか雰囲気悪く終わった授業


「ユラ。怪我してないか?足は大丈夫?」

セオが心配して聞いてきてくれて私は首を振った

「セオが避難させてくれたから大丈夫。ありがとう。でも次からあんまり持ち上げたりしないでほしいかな…その…私も体重とか気になるから…」

切実に普通に持ち上げてくるのはやめてほしい
人生3度目で中身ババアとはいえ恥ずい

「え、あ、すまない。そこまで気が回らなかった…でも気にしなくてもユラは重くないから大丈夫だ」

いやそういうお気遣いはやめて!?

返答に困る返しをされて「あ…そう…それは…ありがとう…」とぎこちない返事しかできなった



そんなひと騒ぎあって魔法薬学初日は終わった
そして私まだ知らない
これから魔法薬学で矢鱈セブルスに質問されては答えさせられることを
















魔法史の授業は憂鬱だった
だってレギュラスだもん


何故だ
ゴーストのビンズ先生じゃないの!?
というか生きてる!!
いや嬉しいけどさ!?

でも矢鱈視線を感じるんだよ!!
板書されていく内容を羽ペンで羊皮紙に書いていく
ハッキリ言ってシャーペンとルーズリーフがいいと思ったのはもう何回目はわからん
今世は卒業したら文房具屋さんとかいいかも

基本イケメンの部類に入るレギュ兄に女子生徒達はうっとりしており、穏やかな人柄で無駄な口はあまりたたかず教科書の補填説明をして板書していく姿にデスイーターやってる頃より板についてんな…と思ったのは仕方ない

そして授業が終わってセオと帰ろうとしたら

「Msポンティ。少し残りなさい」

その発言のせいで一斉に女子生徒から睨まれて、セオから大丈夫か?という視線を受けた

多分雑用だと思うから大丈夫。とだけ言って私は残った

ぽつんと教室に残ってレギュラスに聞く

「えっと、何かお手伝いとかでしょうかブラック先生?」

聞くとレギュラスは目を細めて悲しそうな顔をした

「あ、あぁ…この書類を分類してほしくてね。それとひとつ参考までに質問なんだけれど、Msポンティは魔法界における暗黒の時代についてどう思う?知っているかい?」

まさかの質問に慎重に答えるように考える
何故暗黒時代について…
いやそれよりもなんで私に聞くんだろう

「そうですね。本で読んだ限りでは身内でさえ疑わなければならない悲しい時代だったと…思います」

私は知っていたから諦めたけど
彼もそうだが兄達もデスイーターになるのは避けられなかった
私には何も言えないし言う権利も責める権利もない
できるのは戻ってきた時に何も言わずに迎えることだ

「本で読んだ限りか…では君がもし暗黒時代にいたならばどう思う?仮に身内が死喰い人となったらどうする?」

あまりの質問に驚いてしまってレギュラスを見ると真剣な…若干期待やら不安に満ちた目で私を見ていた

今の私は11歳だから見上げる椅子に座っていてもレギュラスと同じくらいの視線の高さになる

私は一息吸って目を見てレギュラスの質問に答えた

「悲しいですが、それだけの理由があって仕方なかったと納得します。特に何もしません。人ひとりができることは限られていますから」

私は何もできない
転生して歴史や未来を知っていても
少し俯いて過去の出来事を思い出す
兄達はデスイーターになったけど帰ってきた
それにレギュラスも生きている
それで十分だ
私は殺されたけど仕方ない
私は本来いるべきでない存在なんだから

暫く考えていたら不意に柔らかい泣きそうな消えてしまいそうな声が響いた

「オフィ……」

!?

「せっ先生?」

「!すっすまないっ。私にはね。妹がいたんだ。君があまりにもよく似ていてつい呼んでしまった」

「そう…ですか」

「自分の過ちのせいで喪ってしまった………変な質問をして悪かったね。もう戻っていいよ」

初めて見るレギュ兄の作り笑いに胸が締め付けられたが、バレるわけにもいかないので私はその場を後にした

コツコツと石畳の廊下に自分のローファーの音が響く
日本人の母の影響で足が小さい私
1番最初の日本での人生が思い出された

私はなんで生まれ変わって何度も転生しているのか
途中から色々と考えるのをやめたことがポツポツと浮かんでくる
そんな時不意に彼の言葉が思い出される


ーーたまに出る目に毒のような辛気臭い顔をやめろ。君みたいな馬鹿な女は何も考えずに頭が空っぽのままの方がいい。その方が周りのためだーー

ほんといちいち嫌味たっらしい奴だった
奴のことを思い出したらだんだん腹が立ってきた


「どうした主。機嫌の上がり下がりが激しいぞ。落ち着け」



ほんとなんでセンリは蛇のくせにこんな大人なんだよ




「落ち着いてるよ。それと人が来そうな廊下ではやめて」

小声で服の中にいるセンリに言う
マジでやめてくれ
誰が見てるかわかんないんだよ

「そうか。それはすまなかった。だが魔力を揺らすのは感心しないぞ」

何故か私の方が注意されてセンリは大人しくそれ以上は話さなかった




それから気分を落ち着けるために何度も行った図書室で本を読むことにした

もう図書室の本で知らないものはないほど読んでしまったが、もう一度適当に一冊選んで読む

ペラペラと羊皮紙を捲り洋書独特の香りを感じながら思い出す








「その本を理解できるほど今の君の頭は足りていないと思うが?」

魔法薬の本を読んでいた時、艶やかな嫌味ったらしい声が耳元で響いて誰か分かり振り向かずに答えた

「いちいち嫌味言わないと会話できないわけ?それとも口から無意識に出るのかな?流石、皆に大人気のモテモテの首席の人は苦労がなさそうでいいですね」

「僕は事実を言っているだけだ。それよりも人の顔も見ずに会話する君こそ常識がないと言われても仕方ない。だから未だに僕に追いつけないんだ。それに、自分が平凡過ぎて僕の容姿をやっかみたいのは分かるが哀れだからやめた方がいいよ」

「💢ハイハイ。どうせ私は平凡ですよ平凡万歳平凡最高。あんたみたいに傲慢不遜の鬼畜の体現みたいな鬼よりは数倍マシよ。あと別に羨んでないしやっかんでもない。変な想像やめて。あと邪魔するなら帰って」

「ペラペラと出てくるその言葉が少しは勉強に活かせればね。あぁその内容か。どうせここで躓いているんだろ?この僕が教えてあげようか?」

まるで人の話を聞かずスルーして背後から読んでいたページの理解できなかった部分を指でトントンと指してくる奴に口許がひくつくのが分かった

何故わかるんだよ

というツッコミはさておき私は置いてある指を折ってやろうかと思った

案の定どうせ治せるんだから折ろうと思い動いていた手
だが早々に察知されて掴まれそのまま本の上に押し付けられた

「離して」

「僕の指を折ろうとしたくせに随分生意気な口を利くな?」

「気のせいだよ」

「全く。僕にそんな態度を取るのは君くらいのものだ。赦してやってるだけ有り難く思うんだね」

「全く有り難くありませんけど?腐れ縁切れろこの野郎」

「口が悪いね。平凡で大人しいと思われてる君のこんな一面を皆が知ったらどう思うんだろうね?」

「その言葉そっくりそのまま返すよ。私がアンタの本性バラすとは考えないわけ?」

「安心するといい。君はそんなことはできない」

「……いくら天才のアンタでもわかんないでしょそんなこと」

自信満々に断言してくる奴にムカついてつい負け惜しみのように言ってしまった

だけど奴は掴んでいた手を離して嫌に優しく肩に手を置かれて耳元で嘲笑うように言ってきた

「あぁ語弊があったね。君はそんなこと’’しない’’の方が正しかったかな?」

その発言に一瞬目を見開いて振り返ると、彼はクスクスの上品に笑いながら愉快な紅い目で私を見下ろしていた

「ほんとっ…ムカつくっ」

人のことを見透かしたようなその言動に操ろうとする奴のカリスマ的な才能に何度ムカついて嫌になったかわからない
人身掌握のカリスマに何を言っても負けるとは分かっていても言わずにはいられなかった

「そこは’’嫌い’’ではないんだね」

美麗な顔を貼り付けて上品な表情でニヤニヤして見てくる彼にもう構いたくなくて舌打ちして本に視線を戻した私

だが、後ろから頭に手を置いてあくまで優しい手付きで顎を指をかけて前を向かせながら奴は言ってきた

「!」

蛇のように絡みついてくるその手に悪寒が走って声に詰まる
彼がどれだけ非道なのか知っているからこそ怖い
そしたら耳元で奴が言った

「人の名前はちゃんと呼べと教えただろ?」

「っ!…」

「今度間違えたら…どうなるか分かってるね」

「…〜〜〜!…ごめんなさいっ…トム…」

「クックっ…良い子だよ。気が向いたら教えてあげるからわからないところがあれば聞きにおいで。これは参考に貸してあげるよ。失くしたらいけないよ」

気づいた時には彼の手は離れて目の前には読んでいた魔法薬学の本の参考になる彼の筆跡がある資料だった

それを握りしめてヒラヒラ手を振って出て行く彼を睨みつけることしかできなかった

いつ持っていたのか
というかなんでこんなもの持っていたのか
色々ツッコミたいがそんな細かいことはどうでもいい
今は奴がとんでもなくムカつくということだ

心底ムカつくがわからなかったところは彼の手製のまとめ資料のお陰でアッサリに理解できた

余計にムカついたのは言うまでもない









ホント…
あのままイケすかないクソガキのままでいれば良かったのに…


「悩み事かの?」

!?!?

隅っこのチェアに腰掛けて本を開いたままぼーっと思い出してたらいきなり横から声を掛けられてズリ落ちそうになった

横を向くと校長がいた

ほっほっほっと「すまんのぉ」という校長

「校長先生…いきなり驚かさないでください…心臓に悪いです」

「すまんすまん。随分と心ここに在らずという様子でおったのでな。近くまで来たら気付くと思ったがなかなか気づいてくれんかったからな」

「そうだったんですね…すみません。少し考え事を」

彼が最後まで恐れていた人
それに彼を最初から疑いずっと監視していた

「…ふむ…想い出に浸るのは時として大事なことじゃ。頭の中を整理してくれるからの。だが同時に混乱することもある」

突然言われた言葉に思わず肩を震わせる
この人はこうだから苦手だ
彼と似ていて彼と全く違う
人の頭の中や考えを見透かすような言葉

「…そう…ですね…夢だと思うような形容したくない想い出もあります…」

彼との思い出は現実だったのか夢だったのか今ではもうわからない
あまりに変わったから

「ほう…興味深い言い方をするものじゃ。何故そう思ったのかの?」

ほんと…誘導されてるって分かってるのに口が閉じてくれない

「……強いて言うなら…私のエゴでしょうかね…」

ぽつりと呟いて本を撫でた手を見る

「…無理に忘れる必要はないのじゃよ」

呟かれたその言葉にハッとして振り返る

そこには少し頭を下げてこちらが見上げているのに半月型の眼鏡の少し下げて青い目で見上げてくるダンブルドア

優しげな
それでいて憐れむような不憫なものを見る目だった
あぁ彼は確信しているとすぐ分かった

何故なのかはわからないが

「…誰とて記憶のはじまりから側におる者に情は移るものじゃ。人間ならばその悩みはごく自然なことじゃ。君だけが気に病む必要はない」

彼は分かってる
私がかつてトムと過ごした人物であることを
だけど

「……どうでしょうね…私はそこまで優しい人間じゃありません…分かっていて放置し続けた…何もできなかったにせよ多少の責任はあります……」

俯いて本を撫でた私はゆっくり閉じた
ダンブルドアからの言葉ない

「……………」

本を取ってそのまま先生に一礼して言う

「勝手な長話をし過ぎました。聞いてくれてありがとうございます校長先生。では失礼します」

何を考えているかはわからないが一瞬哀しそうな目をした先生の側を通り抜けて図書室から出る







「…運命とは数奇なものじゃ…」




パタパタとローブを揺らして去っていくかつてのある生徒のような広いような頼りなげなその小さな背中にダンブルドアは呟いたのだった




———————————

はじめりの1話終わり!
次回は本格的に賢者の石にはいる!?

並行でセブルスとレギュラスの話も進む!?

賢者の石 〜1〜
現代日本人だった女オリ主が魔法界へ3度転生する話

1度目はトム・リドルと同じ孤児
2度目はブラック家に

そして全て死んで生まれ変わったのは子供世代である本編に転生!!

※グリフィンドール厳しめ
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2021年5月24日 09:13
choco

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