差別的な表現で精神的苦痛を受けたとして、在日朝鮮人のフリーライター李信恵さん(46)が保守系まとめサイト「保守速報」運営者の男性に2200万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決。
大阪高裁は6月28日、男性に200万円の支払いを命じた一審大阪地裁判決を支持し、双方の控訴を棄却した。
以前から差別的記事やデマで問題視されていた保守速報だが、サーバーやドメイン提供会社はなにか対応するのか。
利用規約に違反か
保守速報のサイトは、サーバーは「さくらインターネット」、ドメインはGMOデジロック社の「バリュードメイン」が使用されている。
保守速報は、この2社がそれぞれ定める違反行為に抵触しているのではないかと問題視されていた。以下、2社が定めている禁止行為だ。
・さくらインターネット
当社もしくは第三者を差別もしくは誹謗中傷・侮辱し、当社もしくは第三者への差別を助長し、またはその名誉もしくは信用を毀損する行為、またはこれらのおそれのある行為(第16条 禁止事項)
・バリュードメイン(GMOデジロック)
他の会員、第三者を誹謗中傷・侮辱し、それらの者への差別を助長し、もしくはその名誉・信用を毀損する行為、又はそれらのおそれのある行為(第15条 禁止行為)
BuzzFeed Newsは、さくらインターネットとドメインを提供するGMOデジロックに取材した。
2社の回答は
さくらインターネット社は、BuzzFeed Newsの取材に「個別の案件に関しては、回答を行なっておりません。ご了承ください」とした。
規約違反に当たる場合は、第25条(情報等の削除等)に則り対応するとのこと。また以下のようにも補足した。
「弊社はホスティングサービスのプロバイダであり、保有するIPアドレスをサーバーに割り当て、インターネットに接続可能な状態としてお貸出しするサービスを提供しております」
「サーバー提供時、契約者に関する情報の届出を受けておりますが、サーバーの管理者、サーバー上で公開されるウェブサイト、サイト運営者、その内容等は弊社では確認しておりません」
「そのため、ウェブサイト等にて望まない情報が送信されている場合は、まずはサイト内に掲示される運営者情報等の連絡先への連絡をお願いしております。しかしながら、運営者の連絡先が分からない、直接の連絡が取れないなどの理由により、弊社へ連絡をいただく場合がございます」
「プロバイダである弊社としては、送信情報について、事実に基づく情報であるか否かの確認、表現の自由や公益性、その他の要素を考量し判断する立場にないため、このような場合、被害や侵害を受けているご本人様からのご依頼であれば、弊社より契約者へ送信防止の申立を意見照会する等、プロバイダ責任制限法ガイドラインの手続に則り必要な対応を行なっております」
裁判終了後、該当ユーザーへ措置を検討
バリュードメインを提供するGMOデジロック社は、次のように回答。
「弊社での調査による発見並びに第三者からの通報にて確認いたしまして法令等に抵触する恐れのあるサイト(情報)については、サイトの運用(データの管理等)が他社様にて行われている場合は、弊社からは第三者様からいただいた通報の内容について取り次ぎのみ行わせていただいております。弊社ホスティングサービス(サーバー)を利用されている場合には、掲載情報の削除等について、促す連絡をいたしております」
「今回、『保守速報』は他社様にてデータを管理・運用を行われておりましたことから、上記に則り、該当ユーザー様へ対応を行わせていただいておりました」
「特にサイト上に掲載されていた情報に関する内容においては、弊社独自の判断は行わず、司法や関係省庁等の判断を基に、規約に抵触するか否かの判断を行わせていただいております」
「『保守速報』についての裁判は、現在も継続して行われているとの認識であり、裁判が終了いたしましたら、その結果を基に該当ユーザーへの措置を検討いたしたいと思っております」
規約違反だった場合は、ユーザーへ改善を求める連絡をしているとのこと。改善が見られず、悪質であると判断した場合は、サービスの停止・解除等の措置を取る場合があるとした。
保守速報側の代理人弁護士はBuzzFeed Newsに「間違いなく上告でしょう」と述べており、保守速報のサイト上にも28日、「管理人です。読者の皆様いつもご覧頂きましてありがとうございます。上告します」と掲載された。
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