西村康稔経済再生担当大臣は6月24日、会見を開き、現在の専門家会議の廃止を発表した。今後は新型インフルエンザ等対策有識者会議のもとに、新型コロナウイルス感染症対策の分科会が設置される。
同日、日本記者クラブで記者会見を開いていた専門家会議の尾身茂副座長はこの件について問われ、この専門家会議の会議体の変更については「知りませんでした」と明かしている。
構成員の選任、今月中に
西村経済再生相は記者会見で、今後も感染拡大防止と経済活動との両立を目指していくとし、専門家からの助言を受けることに変わりはないと語った。
その上で、今後は「特措法(新型インフルエンザ等対策特別措置法)との関係をより明確にするため位置づけを改め、新型インフルエンザ等対策有識者会議のもとに、新型コロナウイルス感染症対策の分科会を置く」方針を示した。
これまで、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議は新型コロナウイルス感染症対策本部のもとに設置されていた。この専門家会議は2月24日、特措法が改正される前に設置が決定したものだ。
そうした中で新型コロナウイルスに関する政策があたかも専門家によって決定されているように見え、その責任を専門家に負わせているといった批判の声も上がっていた。
専門家会議の脇田隆字座長も結果として、専門家会議が国民へ説明する役割を担わざるを得なかったことを明かしている。
西村経済再生相は、専門家会議は「厚労省のアドバイザリーボードのような位置づけの感染症の専門家の皆さんの会議」とした上で、「今般これを廃止をすることになります」と発表した。
「専門家の皆さんのご意見でも専門家の構成員として、両立を図っていくためにまさに医学や公衆衛生の専門家だけでなくて、様々な領域の知を結集した組織にすべきだという提言を盛り込んでおられることと思います。それを踏まえまして、この有識者会議のもとに新型コロナウイルス感染症対策分科会を設置して、感染症動向のモニタリングであるとか、あるいは今後ワクチンができた場合にワクチン接種のあり方、次の波の対策含めた今後の感染症対策などをご議論いただくことになります」
「構成員の選任については、今月中を目処に進めていきたい。7月上旬にも第一回の分科会を開催したいと考えています」
議事録の通り扱いについては、「先般、専門家会議でも発言者と発言内容を明らかにした議事概要を作成して公表することになっておりますので、そうした扱いを踏襲したいと考えている」との認識を示している。
「今、大臣がそういう発表をされたんですか?」
日本記者クラブで会見を開いてた、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の脇田隆字座長、尾身茂副座長、岡部信彦さんの3名は会見でこの専門家会議の会議体の変更について質問を受けた。
「今、大臣がそういう発表をされたんですか?」と尾身副座長は困惑した表情を見せた。
この件について、「私はそれは知りません」と明言。専門家会議としては「役割を明確にしてくれ、他の社会経済の人を入れてくださいということを申し上げたことはあります」と語った上で以下のコメントをした。
「どういう会議体にするか、政府が色々なことを考えておられるというのは、なんとなく、感じてましたけれども、どういうことかというのは、我々の役目でないので政府にお任せしてる。今、それは知りませんでした」
専門家会議の構成員3名は「本来、専門家助言組織は現状の分析を行い、それに基づき提言を行い、評価する。政府は実施の責任を負う。リスクコミュニケーションは政府が主導して行い、それに協力する関係性」であるとしている。
こうした役割分担を明確にするよう専門家側から声が上がる中で、新たな分科会では議論がどのように進められていくのか、注目が集まる。
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