自己破産した人らの氏名や住所をネット上に掲載した「破産者マップ」の運営者を名乗るTwitterアカウントが3月19日未明、「多くの方にご迷惑をおかけし申し訳ございませんでした。サイトを閉鎖します」とツイートした。
一方、破産者マップによる被害が相次いでいることを受け、「破産者マップ被害対策弁護団」も発足。活動資金を募るクラウドファンディングを開始した。
アクセスできない状態に
破産者マップはGoogleマップを利用しており、地図上のピンをクリックすると、直近約3年分の全国の破産申立事件、再生申立事件、特別清算申立事件に関する、申立人の氏名や名称、住所、事件番号などが表示される仕組み。
3月17日夜時点では閲覧可能だったが、18日以降、アクセスできなかったり、アクセスできても地図が読み込めない状態になっていた。
19日現在は「このサイトにアクセスできません」「サーバーの IP アドレスが見つかりませんでした」と表示されるようになっている。
「申し訳ございませんでした」
破産者マップの「係長」を名乗るTwitterアカウントは、19日午前1時半過ぎに次のようにツイートした。
《(破産者マップからの重要なお知らせ)
この度は、多くの方にご迷惑をおかけし申し訳ございませんでした。
下記の実施、または実施することをお知らせいたします》
《1.サイトを閉鎖します。
2.官報から取得した破産者の情報は削除します。
3.削除申請フォームのデータは削除します。
4.本人確認書類は削除します。
5.ドメインにつきましては、今後、類似サイトが出る恐れがあるため、一定期間保持します》
サイトの情報は官報のデータを元にしているとみられ、これまで「官報を公表しているのは私ではなく、私たちの国」などと主張していたが、閉鎖発表後にはこう投稿した。
《誰もが自由にアクセスでき、公開されている破産者の情報の表現方法を変えるだけで、これほど多くの反応があるとは思わなかったのが正直なところです。国や自治体が持っているデータ、公表しているデータの表現方法を変えれば、そのデータの持っている本質的な価値に近づけるのではと思います》
弁護団「名誉やプライバシーを侵害」
閉鎖宣言に先立つ18日夜には、望月宣武弁護士を団長とする10人の弁護団が発足。「破産者マップをなくしましょう」と呼びかけるクラウドファンディングのページを立ち上げた。
同ページのプロジェクト詳細では、破産者マップの問題点を以下のように指摘している。
《官報に掲載されているとしても、本件サイトは、インターネット上に公表することによって、既に公表された情報を人の目に触れやすくしています。既に公表された情報であっても、これを人の目に触れやすくすることは違法行為となりえます》
《掲載されること自体が、その人たちの名誉やプライバシーを侵害します。本件サイトの情報が広まることにより、勤務先を解雇される、ご本人やご家族が偏見やいじめにさらされるなど、生活への悪影響が生じるおそれもあります。
そして、このような情報を掲載することには、公益性はありません》
刑事告訴も検討
弁護団は、破産者マップの閉鎖へ向けて発信者情報の開示や差し止め、損害賠償請求などの手続きをとるため、500万円を目標に活動資金を募っている。
午前5時現在で支援者は100人を超え、68万円以上が集まっている。
クラウドファンディングの開始前、望月弁護士はBuzzFeedの取材に「プライバシーの侵害や個人情報保護法違反にあたり、差し止めを求めるなどの法的措置を検討しています」と語っていた。
今後は名誉毀損や個人情報保護法違反での刑事告訴・告発も検討しているという。弁護団が検討中の手続きは下記の通り。
・ドメイン管理事業者に対する発信者情報開示
・米国サーバ会社に対する発信者情報開示
・検索広告サービス提供会社に対する契約者情報開示
・特定された対象者に対する差止め・損害賠償等の請求
・弁護士会・法務局に対する人権救済申立て
・個人情報保護委員会に対する処分等の求め
・破産等公告の在り方に関する関係各所への提言・申し入れ
・名誉毀損、個人情報保護法違反その他の刑罰法規違反を理由とする刑事告訴・告発
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