〈5類引き下げでも温存されるコロナ利権〉倒産寸前の委託企業がPCR検査で大儲け、再感染を装い保険金を二重どり‥保健所職員が涙の告発!
集英社オンライン / 2023年5月10日 7時1分
「PCR検査をやればいまだに陽性は出ますよ。でも98歳男性・無症状とか、100歳女性・無症状とかそんなのばかりです。そして、5類移行でコロナバブルも終わると思ったら、PCR検査は曖昧な形で残ってしまった…」こう嘆息するのは、ある地方都市の保健所に勤務する50代の職員だ。結核などと同じ感染症法上2類相当だった新型コロナはGW明けの5月8日から、インフルエンザと同等の5類に引き下げられた。保健所職員はこの3年間のほとんどをコロナ対応に費やし、PCR検査を始めとした「コロナ利権」に群がる者たちを目の当たりにしてきた。コロナウイルスは社会に何をもたらし、何を奪ったのかー。
1日500件を検査、どうやってそれだけの数をこなせたのか?
集英社オンラインは3月、都内のある医療法人が「無料PCR検査」などで丸儲けをしている実態を詳細にリポートした。その後もコロナ利権についての取材を進めたところ、保健所職員から改めて詳細な証言を得ることができた。
♯1にて医療法人の“コロナ利権”について告発したA氏
PCR検査は新型コロナウイルスのパンデミック宣言をしたWHO(世界保健機関)が検査法として定めたが、取り扱いも各国ごとに異なるなど不透明な部分も多く、十分な検証もなされてこなかった。それらについては後に詳述するが、各国が緊急事態宣言や都市封鎖などに踏み切る中、政府やマスコミが連日こぞって「日本はPCR実施数が少ない」と連呼することで、全国各地の保健所に検査依頼が殺到、民間の検査機関も次々と参入していった。ちょうど3年前の今頃の時期だ。
保健所職員はこう証言した。
「ここは田舎なので首都圏のような民間大手検査機関がありません。PCR検査も保健所でやるしかなく、過去にないほどの多忙さを経験することになりました。そのうちウチだけでは捌けなくなり、民間委託を募ったところ、細々と経営していた小さな検査所が挙手したのです。他に検査可能機関がなかったことを理由に、その会社は1検体1万4000円という破格の値段で受託し、患者が多くなると月の振込額が5000万円を超えることもありました。千円にも満たない廉価な試薬を使っていたので、純利益は破格だったと思います。『検体が来ると札束に見える』とまで言っていましたから。
その上、国がPCR検査機器の全額購入補助事業を行ったため、同社は数千万円する高精度な自動PCR装置をタダで手に入れた。ところがその装置は用いる試薬が高額なため、コロナ検査は従来の装置で実施し、腫瘍マーカーやホルモン、免疫系検査といった他の保険点数の高い項目の検査に使用しているのです。
この繰り返しの3年間で、倒産が噂されるような小さな事業者だった同社は社屋を拡大し、新事業に着手して県内に複数の営業所を開き、幹部は高級車を乗り回すようになりました。きっと同様のことが多数の自治体で起きていると思います」
民間企業に委託されたPCR検査(写真はイメージ)
同社が請け負った検査は、正確性にも疑問符が付くと言う。
「PCR検査は機械の内部が少しでも汚染されてしまうと検体が全部ダメになってしまうので、操作には必ず2人以上がついて読み合わせもするのが原則です。ところが同社は夜間は2人配置していたものの、日中は1人だけで、多い時は1日500件ぐらい検査していました。
ウチは6人で1日400件ぐらいやったことがありましたけど、それでも休憩は全く取れなくて、私はこの3年間で膀胱炎に3回もなったほど激務でした。同社はブラックもいいとこで、どうやってその態勢でそれだけの数をこなせたのか想像もつきません」
補助制度を金儲けに“活用”したのは
業者だけではない
そもそもPCRとはPolymerase Chain Reactionの略で、ウイルスの遺伝子を増幅して検出する方法。発見者のキャリー・マリス(2019年に死去)はこれにより、1993年にノーベル化学賞を受賞している。
原理としては、一本のDNAをもとに複製を繰り返すことで倍々にDNAを増幅し、そのままでは微量で検出できない患者の検体に含まれるウイルスが検出可能になるというもの。増幅は温度の上げ下げのサイクルで行い、この増幅の回数がCt値と呼ばれる重要な指標だ。
今回の新型コロナウイルスに関してはWHO(世界保健機関)がPCRを検査法と定めたが、Ct値についてはなぜか各国バラバラだ。
保健所職員が続ける。
PCR検査(写真はイメージです)
「Ct値も各国まちまちで、35以上なら陰性にするとか全然違うんですけど、日本の場合は感染研(国立感染症研究所)のマニュアルでも40以内で原則陽性だったので、出ればもう陽性にしろという感じでした。英国の研究では25未満の陽性者の検体は85%以上で他人に感染させるだけウイルスを培養できたが、35を超えると8.3%しか培養できなかったというデータも出ています。100個の細胞を植えてみて、生き残ったウイルスが8個ということはもう感染性はないんですよ。
誤解されている方がほとんどだと思いますが、PCR陽性イコール感染者ではありません。PCRでは死滅して病原性を失ったウイルスでも拾ってしまうので、症状の有無や病原性がないのも全部ひっくるめて陽性なんです」
実際に日本疫学会は自らのホームページのQ&Aで、新型コロナウイルス検査はどのくらい正確なのかという問いに対し、5月9日現在もこう答えている。
「今回のコロナウイルス感染症については、実際に感染していることの把握が難しいことから、実際の感染者に対してPCR検査がどれほど正しく診断できているかについての正確性の計算がまだできていません」
そして、補助制度を金儲けに“活用”したのは業者だけではなかったようだ。
2類扱いのために感染者と診断された場合、自宅療養であっても「みなし入院」とされ、生命保険各社とも入院給付金等の支払い対象としていたのだ。
保健所職員はため息まじりにこう話した。
「抗原検査では出ないけど、PCRなら1〜2カ月経っても陽性が出ることを詳しい方は知ってるんですよ。
で、病院にかかって感染症と診断されて保険をもらっても、保険会社によっては2カ月以内に『再感染』するとまた保険金がおりたんです。だから症状がないのにあると言い張って、わざわざバレにくいように自治体を跨いだ病院で再度PCR検査で陽性を引っ掛けて、また保険金をもらうという方がたくさんいました」
新型コロナウイルス(写真はイメージです)
PCRは本来、もっとふさわしい使い途があるはずだ。職員はこう訴えた。
「PCRで真の陽性ならいいけど、関係ないのを拾ったケースがすごく多かったと思います。
例えばインフルエンザは直接の死亡原因でも毎年何千人もいて、超過死亡まで入れると万単位になりますが、抗原検査しか使わないからそれぐらいで収まっている。PCR検査をすればもっと数は増えるはずです。それでも子供たちは学校に行き、社会も回ってきた。なぜコロナだけPCRに特化するのか意味がわからない。そんな感染症は山ほどあります。ノロウイルスとか、持っていて発症しない人なんかいっぱいいますから。
だからPCRは麻疹とか風疹とか結核とか社会的にダメージが大きいものに限定して使うべきだと思う。そういうのは封じ込めしないといけないものなので。でもコロナは風邪のウイルスとして普段から4種類あって、その5番目になりかわろうとしているのを、そこまでして捕まえようとする理由がわからない」
5類引き下げに…けれど
税金によるPCR検査は継続する
5類引き下げに伴って数々の特例もなくなるはずが、PCR利権は温存された。高齢者施設や福祉施設は基本的には抗原キットで検査することになったが、厚労省の3月24日付事務連絡「新型コロナウイルス感染症が五類感染症に位置づけられた後の高齢者施設等における検査について」はPCR検査も可能とする曖昧な内容で、各施設が希望すればPCR検査を受けることができる。しかも施設の集中検査にあたるため、国の負担金や内閣府の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の対象となる。つまり税金によるPCR検査は継続するのだ。
5月9日の品川駅、多くの人がマスクをつけていた(集英社オンライン)
5類の定点把握感染症になったはずなのに、この「新型コロナ」だけがPCR検査の対象として継続されるのは道理に合わないだろう。引き下げになった理由も明確な説明もなく、マスクの効果やワクチンの副作用について真剣な議論がなされたことはない。
ウイルスは変異を繰り返してマイルドになり、いつの間にかただの風邪になっていた… では説明がつかないだろう。大幅に増えた超過死亡の原因も、ワクチン接種後に亡くなった2千人以上の死因も一つ一つ丁寧に検証されなければならない。
保健所職員は最後にこう述べた。
「PCRが全てではないと正論を言っていたお医者さんも当初はいましたが、そういう方はあっという間にマスコミに出なくなりました。PCRもマスクもワクチンも、官僚が決めているのか議員が決めているのか、メーカーに忖度しているのか分かりません。
マスクだって、結核患者の治療にあたる看護師はN 95という特殊なメッシュの細かいマスクをしないといけないんですけど、息苦しくなるから30分でメンバーチェンジするんですよ。あれでも防げるか防げないかぐらいなのに、普通の不織布マスクなんかメッシュが大きすぎて絶対に防げないですよ。
本当は寿命で亡くなっただけなのに、PCRで陽性判定が出ただけでコロナで死んだことになっている例も何百とあります。科学はどこにいったんですかね。
本当に医療を必要とする人の役に立ちたい…そんな私の医療職に就いた時の夢と現実の差が大きすぎて自分を見失いそうです」
路上に落ちていたマスク(撮影・集英社オンライン)
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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