中学校生活が始まるにあたって・・・（発達障害ななちゃん）

わが家のななちゃん（今春から中学生）が
発達障害のひとつである『自閉症スペクトラム障害（ASD）』と
診断されたのは小学校3年生のときでした。

授業中にフラフラ〜と
教室を抜け出しては校内を徘徊したり
教室の机の下に潜り込んで読書をしていたり、
陽の当たるの廊下の片隅で
上靴を脱いで干物のようにゴロンと寝そべって
日向ぼっこをして過ごしたり
それはそれは自由奔放です。

発達障害とはなんなのか？
どうやって向き合ったらいいのか？

最初はわたしの知識不足もあり、
いろいろやってみるけど空回りしてばかりで
ななへの接し方がわからず苦しみました。

普通では考えられないような行動をすることが
発達障害ゆえの『特性』なんだということまでは
理解できるけど、

『特性』があるとなぜそういう表現をするのか？
それがわかりませんでした。

わが娘のことながら、その答えが見えてこず、
『特性』という言葉だけで片付けられることに
ずっと違和感を持っていました。

ななが示すすべての行動には
彼女なりの何らかの『理由』があるはず。

いったい何がどうなって、
彼女をそんな突拍子もない行動に走らせるのか・・・？

肝心なところが理解できないために
母として何をしたらいいのか、
どんな心構えでいるべきなのか
ずっと迷走してきました。

発達障害の専門書を読むと
どんどん混乱していきました。

だってそこに書いてあることって、
理想論ばかりなんやもん！

「困り感がある子にはこうしてあげましょう」

まぁ・・・書いてあることは頭では理解できるけど
自閉症スペクトラム（ASD）と一口に言っても
表現の仕方はみんな違うんですよ。

いざというときに絶妙なニュアンスで
娘の心を癒すような
ベストな対応ができなくて、
無力な自分にため息ばかりでした。

本に書いてある
発達障害児の「よい」とされる子育て法は
女神様のように丁寧で細やかな子育てです。

マジか・・・
めっちゃ手かかるやん・・・
こんなんやってたらわたしの心身がやられるわ・・・

正直、自分の心にブレーキがかかりました。

発達障害のある子は
できることと、できないことの凹凸が激しすぎて

育児は
一筋縄ではいきません。

何がこだわり？
何ができて、何ができない？

全員違う特性の表現型や
認知パターンを理解して
女神様の子育てを目指そうとがんばってみるものの、

問題が起こるたびに

「なんでななには、こんなにも
わたしの想いが伝わらないんだろう」

悲しいやら悔しいやら。

着替えや歯磨き、
日々の規則性のあるルーティンは
人一倍きっちりできるのに、

気分が乗らないと授業は受けない。
やりたいことはやりたいときに。
やりたくないことはやりたくない。

最初から
「どうせできないから」と割り切れたら
神心で接することもできるのかもしれないけど

彼女は、できるときはできるんですよ。
気持ちが乗ってるときは
普通にいろんなことができるのです。

だからつい、
がんばればできそうなことだと

「やればできるんやからさ！
がんばってやってみようよ！」

過度な期待を押し付けられて
全身にじんましん。
そんなななの姿を見て、

彼女の気持ちを無視した
無神経な対応をしてしまった自分に気づき、
わたしは自分を責めて、
もう何がなんだかわからなくなって
ぐちゃぐちゃでした。

できることもあるぶん、
できない苦手なことだって

「ホントはやれるんじゃないの？」

と期待してしまい、
ドツボにハマった5年生のときでした。

できること、
できないことのギャップの大きさが
理解を難しくさせていたと思います。

とにかく、育ててみないとわからないことばかりで、
やってるうちに一般論のASDの特性は
なんとなくわかってきたものの、

一般論と外れた独特のななルールや、
「え？そんなふうにとらえちゃう？」という
変わった解釈をする傾向があるところなど、

ななだけの個人的特性がいまいちナゾで
本当の意味で彼女の心を理解することには
本当に長い年月を要しました。

冒頭に書いたように
小学校時代は教室にいるのがしんどくなると
上靴を脱ぎ捨てて、メガネを投げ、
靴下も脱いで、
学校の廊下でよく寝っ転がったり
裸足のまま学校を飛び出したりしてました。

上着、メガネ、靴、靴下を放棄するのは、
ストレスがかかったときに
皮膚の感覚過敏が発動するからだと
ハッキリ理解できたのは
恥ずかしながら、最近のことです。

つづく。