◆カタールW杯アジア2次予選 モンゴル―日本(30日・フクダ電子アリーナ)
日本代表は28日、カタールW杯アジア2次予選・モンゴル戦(30日・フクアリ)に向け千葉県内で調整した。元日本代表GKで“ドーハの悲劇”を経験した父・和也氏(53)に続く、J初の「親子A代表」として選出されたGK前川黛也(だいや、26)のベースをつくったのが、高校時代に行われた親子だけのトレーニング。3年間の教えを胸に成長を遂げた守護神はこの日、オンライン取材に応じ、父への思いを語った。
自身初の代表活動から1週間。前川は「非常に高いレベルのなかでプレーできている喜びを感じてます」と、充実した表情を浮かべた。
GKを始めたのは中学3年生。急激に身長が伸びたこともあり、フィールドプレーヤーからの転向を周囲から勧められた。父に相談すると、「自分が頑張れるというならいいんじゃないか」と、背中を押された。
高校に入ると、サッカー部のオフで、単身赴任中だった和也氏が週に1度、家に戻る月曜日が「親子トレ」の時間に。1歳年下の弟・天良さんと3人で近所の公園に行きGKの基礎を学んだ。父が伝えようとしたのは継続の大切さ。「父との練習が今につながっていると思う」と、振り返った。
子供の頃は「やりたいとは思わなかった」というGK。国際Aマッチ17試合に出場した父の日本代表時代は記憶にないが、今は偉大な目標に変わった。前川は「日本人離れした力強さを超えるのは難しいかもしれないけど、自分の良さを最大限生かしてキャップ数も超えたい。息子ではなく前川黛也として認めてもらいたい」。名前の由来は母の誕生石がダイヤモンドで、「磨いていくなかでキラキラと光ってほしい」(和也氏)との願いが込められた。努力を重ねた原石は、かつての父と同じ舞台で、まばゆい光を放とうとしている。(種村 亮)
◆前川 黛也(まえかわ・だいや)1994年9月8日、広島市生まれ。26歳。広島ジュニアユース、広島皆実高、関大を経て2017年に神戸に入団。18年11月3日の名古屋戦でリーグ戦デビュー。J1通算33試合出場。191センチ、86キロ。家族は妻と1男1女。