福井鉄道(福井県越前市)の次世代型低床車両「フクラム」のうち、さくら色の車両が少なくとも昨年12月から運行できない状況が続いている。福鉄によると、故障した部品をドイツから輸入する必要があり、復旧は早くとも8月以降になる見通し。一時はえちぜん鉄道との相互乗り入れにも支障が出るなど、“海外仕様”の弱点が浮き彫りになった。
「F1004(さくら色)は、車両検査のため運用はありません」。福鉄は連日、列車の運行状況を知らせるツイッターに同じ投稿をしている。
さくら色の車両は2016年に投入された。他のオレンジ、青、緑色の車両と同型で3両編成。同社によると昨年12月14日、鯖江市の西鯖江駅で発生した架線トラブルで、別のフクラムがパンタグラフを焼損。以前からドア故障で運用を外れていたさくら色のパンタグラフを取り付けて復旧させたため、さくら色は長期の離脱を余儀なくされた。現在は越前市北府2丁目の車両工場で修理を待っている。
福鉄の澤﨑幸夫常務・鉄道事業本部長によると、車両は新潟県のメーカーで製造されたが、多くの部品は海外製。パンタグラフは現在製造しておらず、在庫もなかった。ドイツで新たに作り、8月に届く予定で、整備担当者は「国内の部品ならこんなに長くかからなかっただろう」と肩を落とす。
福鉄の車両のうち、えちぜん鉄道との相互乗り入れができるのはフクラムのみ。さくら色の車両が故障したため、相互乗り入れを一部休止し、別車両で田原町駅での折り返し運転とした。今年3月末に新型のフクラムライナーを投入し、4月から通常ダイヤに戻した。新型の部品は国内調達できるという。
澤﨑常務は「お客さまには大変ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ない。一日も早く復旧し、快適な乗車環境をつくるよう努めたい」と話している。