10球団1リーグ制だったら……



2005年、プレーオフを勝ち上がり日本シリーズで阪神を制して日本一となったロッテ・バレンタイン監督

 2004年のプロ野球に吹き荒れた球界再編の嵐。結果的に近鉄がオリックスに吸収される形で合併して1球団となり、新たに楽天が誕生したが、一時は10球団1リーグ制への移行という話もあったほどの混乱だった。オリックスと近鉄ではない、幻の合併はダイエーとロッテだ。黄金時代にあったダイエーだが、親会社の経営が悪化したことでソフトバンクへと球団を売却。迎えた05年も首位でペナントレースを終えたが、プレーオフで苦杯を喫する。

 代わって日本シリーズに進出して、日本一に輝いたのがロッテだった。前回は、合併したオリックスと近鉄の“連合軍”を夢想したが、ソフトバンクとロッテ、05年の最強2チームの“連合軍”が形成されたら、どれほど強力なチームになっていただろうか。これが球団の合併や1リーグ制への回帰などということになると話がややこしくなるのだが、たとえばシーズンオフにAクラス3チームの連合で両リーグが対戦する、実力派のオールスターのようなイベントがあってもいいかもしれない。今回は、10球団1リーグ制という、ある種の“悪夢”を、小さな吉夢(?)に変えてみたい。

 戦力で圧倒するのは、やはり黄金時代のソフトバンクだ。これに対するは、125通りの先発メンバーで戦ったロッテで、率いるボビー・バレンタイン監督の采配は“ボビー・マジック”と呼ばれた。そんなロッテのベストオーダーというのも、ある意味ではナンセンスなのかもしれないのだが、筆者の先輩たちがデータと苦闘しながら導き出したベストオーダーが存在する。そのロッテのオーダーに、ソフトバンクの強力打線を加えていってみよう。打順の守備位置は05年ロッテのものを変えず、それぞれ守備位置が重なる両チームの選手を、打者は打席、投手は投球回で比較。機械的に数字が大きいほうの選手をオーダーに並べていくと、以下のようなラインアップとなった。

1(遊)西岡剛(ロッテ)
2(二)堀幸一(ロッテ)
3(一)フリオ・ズレータ(ソフトバンク)
4(右)宮地克彦(ソフトバンク)
5(左)ホルベルト・カブレラ(ソフトバンク)
6(捕)城島健司(ソフトバンク)
7(指)松中信彦(ソフトバンク)
8(中)大村直之(ソフトバンク)
9(三)トニー・バティスタ(ソフトバンク)
 (投)杉内俊哉(ソフトバンク)

実際のベストオーダーは?



2005年は41盗塁でタイトルを獲得した西岡

 遊撃でロッテの西岡剛が一番、同じく二塁にロッテの堀幸一が二番で残ったものの、以下はソフトバンク勢に。単純に数字を比較する作業の限界だろう。遊撃はソフトバンクの川崎宗則が僅差で西岡を追い、二塁は同じく本間満が控え。のちにロッテでもプレーすることになるフリオ・ズレータが福浦和也を打席数で上回って一塁に入った。ロッテ05年の四番打者といえば“つなぎの四番”といわれたサブローだが、同じ右翼手で05年がキャリアハイとなるソフトバンクの宮地克彦が打席の数ではサブローを超える。

 左翼はロッテのマット・フランコ、ソフトバンクのホルベルト・カブレラと助っ人の争いとなり、バティスタに軍配。捕手は里崎智也がロッテの正捕手に定着しきれておらず、城島健司がマスクをかぶる。指名打者はソフトバンクの松中信彦にロッテの李承が届かず。中堅でもロッテの大塚明をソフトバンクの大村直之が圧倒した。三塁はロッテの今江敏晃が僅差でソフトバンク助っ人のトニー・バティスタに及ばず。投手もロッテの渡辺俊介がソフトバンクの杉内俊哉に届かなかった。

 ただ、成績を比較すると、顔ぶれは変わってくるだろう。福浦やサブロー、今江が入り、松中らと打線を組んで打順を調整したら、かなり強力だ。では、続きはファンの皆様の夢の中で。

(ロッテ2005年のベストオーダー)
1(遊)西岡剛
2(二)堀幸一
3(一)福浦和也
4(右)サブロー
5(左)フランコ
6(捕)里崎智也
7(指)李承
8(中)大塚明
9(三)今江敏晃
 (投)渡辺俊介

文=犬企画マンホール 写真=BBM