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私が観たM-1グランプリ2010(4) 各組所感 後編

私が観たM-1グランプリ2010(4) 各組所感 後編


朝日を見て、急速にやる気がなくなったので放っておいたのですが、早く書けと一部でせっつかれたので一応書いておきたいと思います。

相変わらず、たいそうなことは書きません。語る前提としては、前記事

私が観たM-1グランプリ2010(1) 前置き 

私が観たM-1グランプリ2010(2) 各組所感 前編 (カナリア、ジャルジャル、スリムクラブ)

私が観たM-1グランプリ2010(3) 各組所感 中編 (銀シャリ、ナイツ)

を参照してくださいませ。

▼笑い飯
「だいたいわかったからやらしてくれ」
4分13秒 笑いの数33回(うち拍手笑い3回) 668点 
「サンタクロースネタ」

ご存知の笑い飯のプログラムのなかでも最終形態とも言ってもよい、 「鳥人」とおなじフォーマット。
たしかに、去年を上回ることは難しいかもしれないが、かといって下回ることもできない。したがって、こうしたネタのチョイスは、必然でもある。「おなじ」を出せば、大きく下回ることはない。
笑い飯は、他のコンビとは背負うものが大きすぎるし、それを評価にどうのこうの言うのはおかしいかもしれないが、大きなプレッシャーのなかで、暖かい雰囲気に迎えられ、演じきったネタ。
「ない/ない」と「ない/ある」の微妙なラインまで着手することになった、このWボケシステムの完成形の2本目と捉えたほうがいいだろう。笑い飯がこのネタを1本目にもってきたことが、出し惜しみをしてはならないM-1という舞台を知り尽くしたチョイスだったろう。

このシステムの「最終形態」と私がいうのは、良かったら過去記事をご覧ください。

M-1グランプリ2009 9組のやったこと (前編)

「いままで出続けてきたこと」には、プラスもマイナスもある。
しかし、それはいままで出ていないコンビにもプラスとマイナスがあるように、実は同条件なのだ。
インパクトという意味では薄れているかもしれないが、彼らはいままでの蓄積をうまく利用することもできる。そしてそれをやった。
また、仮にいままでM-1を見たことがなかった人が、今回の「笑い飯」のネタを見たら、やはり「なんだこれは!?」というインパクトは残ったろう。
むしろ、それはいままで「ガンダム」や「エヴァンゲリオン」を見たことがないことと似たようなもので、私は本当に、劇場版でエヴァをはじめてみた!という人に感想を聞くように、今年はじめて「笑い飯」をたまたま見ちゃったおばあちゃんとかに、詳しく話を聴きたい。

何度もネタを見ると、笑い飯のネタは何重にも笑いの「保険」がちゃんと仕込まれていることに感動する。
どんなに反応がなかろうと、最後に必ず笑ってしまうような一言を仕掛けているのである。
「明日雨が降るねえ」なんかその典型なような気がする。
考えに考え抜かれたネタだと思う。
「進化度」でいえば、ナイツが見せたプログラムの進化ほどは、進化がなかったように思うが、なにせ9年出ているのだから仕方あるまい。それでもこのシステムは画期的だったし、このコンビはM-1の隆盛を象徴する存在だった。

よほどおおしくじりをしなければ、今年の優勝は笑い飯で、後年多くの人が納得をする。
それほど彼らは愛された。
ボケ交代というシステムがあるので、漫才でなければならない必然性は保証されてもいる。
笑い飯は、最後まで無冠というキャラと、最後で優勝というキャラ、双方がありえたので、結果は結果でどちらでも良かったと思っている。
彼らには、これで終わってほしくない。煽りVにもあったように、「義務教育は今年で終わり」という言葉を残した彼らには、20年後でも漫才をやっていてほしい。


▼ハライチ 
「ぬかみそのケーキ」
4分02秒 笑いの数34回(うち拍手笑い2回) 620点
「〇〇の刑事」

ハライチに関しては、こちらを参照してください。

ハライチの発見 ~今月の『GetNavi』裏話ブログ~
M-1グランプリ2009 9組のやったこと (中編)

このシステムも、まだまだノビシロのあるプログラムで作成されているので、私個人としてはM-1決勝にふさわしいコンビだと思います。

昨年と比較して、今回新たに上乗せしてきたのは、
ボケに「縦の関係」を盛り込んできたことだと思います。テンドン的な。
たぶん、私の連載『ゲットナビ』の連載を読んだんでしょう!(妄想)

「笹かま」「チーズ」「ぬかみそのケーキ」などの単語は、別お題の時にも顔を出し、後半のたたみかけに寄与している。
こうして、ネタの配列順序に、必然性が出てくると、このハライチのシステムは完成度が高まる。
ちなみに、
今回の「AのB」の形は「ベテラン(A)の刑事(B)」であった。
そして、A’、B'をそれぞれ出していき、助詞「の」にも変化をもたせた配列。
配列順は下記のとおり。

01「ベテランの刑事」
02「インテリな刑事」
03「冷酷な刑事」
04「スケバンの刑事」
05「ほろよいの刑事」
06「下痢気味の刑事」
07「ニコラスのケイジ」
08「ぬかみそのケーキ」
09「笹かまのブーム」
10「ふでばこにチーズ」
11「おさえめのビーム」
12「ひとりだけビーフ」
13「笹かまのセール」
14「下駄箱にチーズ」
15「どくぐものポーズ」
16「鉄なべでバーン」
17「みつあみのボーズ」
18「笹かまの映画」
19「鍋蓋でペーん」
20「肌荒れにいーの」 ぬかみそのケーキ
21「傷口にいーの」 ぬかみそのケーキ
22「ヘルニアにいーの」 どくぐものボーズ
23「足早の夫婦」

01から03で「線」を作る。「普通」をここで構成。
04あたりからズラシに入る。A部分が変なものになっていく。
07でB「刑事」が「ケイジ」になり、B部分も変なものになっていく。
09で出てきた笹かまは、13と18で回収。ここで縦の関係。
同様に、10で出てきたイジメを連想させる「チーズ」は、14で再度登場。
16「鉄なべでバーン」があるから、19「鍋蓋でバーン」がある。「類似」も盛り込んだ。アクションで短いものを織り交ぜる。
20から22にかけては、ぬかみそのケーキ、毒蜘蛛のポーズが、ノリ部分に登場。縦の関係。
ぷよぷよを消していくような作業になる。
「笹かま」のように、話が繋がっていくものがあったのは、必然といえば必然の帰結であろう。
今後は、どのフリも結局はひとつのお話として展開されていくパターンもあってよい。
また、
フリ側が、ノリの芝居に乗っかるという手もある。それが審査員が求めた「変化」だったかもしれないが、この形は一度試したりとかしているのかもしれない。
ただし、見た目にわかる改良点をどこかに用意するのであれば、それもまたやってみる価値はあるかもしれない。
でも、かなり受けてましたよ、このコンビ。笑いの数も多かった。笑い飯との相対評価だとすこしかわいそうな部分もありますが。
よく考えてほしいのですが、このネタでここまで違和感なく見られるのって、リズム感がものすごく必要ですし、表現力、展開力がものすごく大切です。
それがよくできているからこそ、アラが見えてくる。でも、できていることをもっと評価する視点があってもいいだろう。

ただ、とにかく、このコンビはネタの締め方が雑である。
22で毒蜘蛛のポーズやって受けたら、「もういいよ」で終わってもよい。ノリツッコミだった、という段取りを示して落とす必要はない。
まだまだ進化の余地を残したままなので、もっとその過程を見たいコンビである。


▼ピース
「おしるこおかわり」
3分31秒 笑いの数20回(うち拍手笑い1)
「言葉の発音ネタ」

発想はコント出身者っぽい。けれども漫才としてはオーソドックスの形を選択している。
吸うものは吸って発音する、
なめるものはなめて発音する、
静かなものは静かに発音する、
速いものは早く発音する。
狙いはわかる。この着想こそ、このコンビの独創性である。

あとはルーティーンである。
もちろん、 「シェイク」「おしるこ」などの「縦の関係」も盛り込む。これは保険として絶対手を打たなければならない。
ただ、前半のフリをひっくり返し、「関係性」まで見せたジャルジャルの思惑とは別次元で、うまく漫才を装丁することに終始したような形になった。
あえて言えば、綾部さんの良さが出ていない。この人はもっと笑いの取れる人である。これはおなじツッコミとしての意見でもあるが、綾部さんは又吉さんを活かすことに専念していて、自分の良さを置いていった。これは、なぜ「綾部」ではなければならないのか、という問いに帰着する。
漫才は、「その2人ではなければならない」ことが、ルーティンを選択したときに問われる。
銀シャリやナイツはその点、ツッコミとしての存在感と各人である意義をきちんと示していた。

ややM-1で戦う破壊力にしては足らないかもしれないが、そう思われるのもまた9番手という順目だからか。
ここからは個人的な思いだけれど、ピースにはもう少し漫才の破壊を行ってほしかった。コント屋が「ちゃんとした漫才」というコントをやってしまった感じ。もっとできるじゃん!
ツッコミ然としたツッコミを選択したことが、はたして又吉さんのよさを活かす唯一の方法だっただろうか。
ただし、完成度は高かった。堂々ともしていた。さすがだと思った。
なにより、品がある。これはもって生まれたものであり、ここで書くべきことでもないものなのだが、このコンビの品はすごい。
女子的な心持でいうと、綾部さんが又吉さんにイライラしている構図は見たくない。怒ってる顔は綾部さんには似合わない(笑)

ある意味視聴率狙いもあった人選かもしれないが、このコンビには期待してしまう部分ももちろんある。だって、もっとできるんだもん!
囲碁将棋が見たかったなあ(突然何!?)。


▼パンクブーブー 
「ブッチーン!って、言ったのよ」

3分13秒 笑いの数15回(うち拍手笑い3回)
「コンビニで犯罪に巻き込まれた」

正直、敗者復活から勝ち上がってきたときは、おいおいまたアンタッチャブルの見事なコピーを見させられるのかよと思ったが、ネタをみて正直驚いた。

私は、今年の1月の『GetNavi』の連載(「サンキュータツオの芸人の因数分解」)で、
パンクブーブーについて書いたとき、このコンビの特徴は、
「一文内にフリオチがあること」
ということを述べた。
文にある暗黙の「係り」「受け」を利用した言葉遊びに近い笑いの取り方のことである。
今回は、そこをまさに特化してきたネタであったので、これは私の連載を読んでいるに違いない!(妄想)

ついにパンクブーブーは「オリジナル」になった。コンテストで戦う「プログラム」を見つけたように思う。これは素晴らしいことだ。昨年のようなオーソドックスの集大成から一転、「このままではいけない」という危機感を、優勝後も持ってプログラム開発に取り組んだ姿勢はすごい。

言語学的な専門用語でいうと、言葉の統語的な側面を逆手にとって手法なのだが、ここでこれを語るのはやっかいなので、私のなかのメモにしておきたい。

いままでのネタだと、たとえば、
「お父さんがいいというまで、私はここを動きません!」
という一文があったとする。
これを、
「お父さんがいいというまで、私はここをあまり動きません!」
という一文にすると笑いに繋がる可能性がある。

これは、文自体が定型化したセリフであることもあるのですが、「あまり」という副詞を用意することで、文末をおかしく見せるという、
「文末の前での工夫」なわけで、ここで「あまり」と「動きません」の「係り受け」に破綻が生じるように仕掛けられている。
(むろん、それを破綻と思わせる文脈は必要)

で、今回はその「係り受け」でも、
「文末を聞いたことで文の前半の意味が変わってくるもの」
に着目していたわけである。

これは、いわゆる「文」は文字でも音声でも「線的」に理解されるものであるという言語の構造を逆手にとったものである。

「私は犬を拾った」
という文に、
「という友達に会った」
を付け加えると、犬をもらったのが、私ではなく、友達であることがわかる。
ここに裏切りが生じる。
さらに「という夢をみた」
を加える……というと、これは現実では起こっていなかったことがわかる。
このように、文の理解は、冒頭から文末へと理解することしかできない。

文はこのように、音声化すると切れ目も明確ではないために、文末でいくらでも裏切りが可能である。
そこに着目して特化したネタが今回のパンクブーブーである。

「……って、タイミングをうかがってたわけだ」
「……ていう表情をうかべてきたの」
「ぶっちーんって言ったんだよ」
「……ていう可能性もあるじゃない」
「……ていう本を棚に戻して」
「……兄ちゃんのいるコンビニにいったわけだ」
「……立ち向かってくれそうな人を探した」
「……いかにも強そうな、酒を飲んでいる爺なんだけど」
「……とかひとりで言ってんのよ」
「……お前に言ったんじゃねえよじじい」
「……よくこんなんでコンビニの店員がつとまるな」
「……と言おうとしたその時」
「……とおもきや」
「……くらいの勢いで」
「……弟のオレももうガマンはできない」
「……そんなことをしている間に俺の自転車が盗まれたって話」

これだけ見ても、一文内での係り受けのバリエーションを相当用意したことがわかるだろう。
このプログラムも、まだだれも着手していなかったものである。
パンクブーブーはこうして、オーソドックスからオリジナリティまでを獲得した、非常に守備範囲の広いコンビになった。
芸風としての局所性から汎用性へと進化したナイツとはちがって、
汎用性から局所性へと進化したパンクブーブーを見れたことは、この大会を通してみても、非常に興味深い、別の進化の形の2パターンだった。

ちなみに、最終決戦は2分34秒と、非常に短いネタであった。
ただし、このコンビに「おなじ形のネタを2回やった」という批判は的外れです。どのコンビもおなじ形です。スリムクラブも笑い飯もパンクブーブーも、独自の「山の登り方」を考案し、スピード勝負ではなく、いままで見たことのない「おもしろい登り方」をしたことは確かです。
それは一概にどっちがいいとか言えません。
だから、私は結果には興味がないのです。

そして、最終決戦の結果はご存知の通りです。
あの結果をどのように受け止めるかは、視聴者に与えられた自由であると思います。


紳助さんのナイツ終了時の「スリムクラブ」発言、また「優勝はスリムクラブでもええんちゃう」発言、そしてスリムクラブに投票したあとのコメントなど、
一連の味わい深い言動などは、また別の楽しみとして堪能しました。


POISON GIRL BAND、囲碁将棋、風藤松原が見たかった。
この3組は、上述してきた「質」の勝負に早い段階から取り組んできたコンビであり、また「独自の山の登り方」を見せてくれたコンビでした。

M-1決勝当日まで、POISON GIRL BANDを勝手に応援してきたわけでありますが、
その一連の応援具合も、
私の「M-1解釈」と「漫才観」に照らし合わせれば、少しは理解していただけると思います。
前置きなども読んでいただければ、わかると思います。

なにを言いたかったかというと、
POISON GIRL BANDが見たかった!
という、
えらいフリの長い結論になりました。

彼らはホントに偉大な足跡を残したと思います。まだ早かったのかなあ。

【関連記事】
まだまだ勝手にPOISON GIRL BAND応援キャンペーン
勝手にPOISON GIRL BAND応援キャンペーン
どうしても見たい!POISON GIRL BAND

【過去記事】
ナイツの「風格」とNON STYLEが優勝したわけ
ナイツとU字工事が決勝に行ったわけ 
サンドウィッチマンがM-1でしたこと 
■東京ポッド許可局 第49回【“手数”論】
■東京ポッド許可局 緊急配信【“M-1グランプリ2008”居酒屋】


過去、
おぎやはぎ、サンドウィッチマン、オードリー、東京ダイナマイト、ハリセンボンなど、コント組が拡張してきた「漫才」というジャンルは、
こうして今年、コント組によってさらなる拡張が行われたと思っている。
最後まで、M-1グランプリはエポックメイキングし、また「新しい笑い」を提案してくれた。
漫才の進化を早めてくれたと思っている。
思い起こしてほしい、10年前に、笑い飯やスリムクラブのようなお笑いが評価されていたかどうか。
それだけでも、すごいことだと思うし、まだまだ開発されていないプログラムに関しての興味を掻き立ててくれました。

そして、「前置き」でも触れましたが、
漫才は、「手数」から「質」へと、見事に移行したかに見えます。
「質」時代のM-1が見られないのはやや残念なところですが、この質と手数のゆり戻しは、まだ何回かあるでしょう。

ただ、ネタ番組がお笑いを「短距離化」し、M-1は4分尺という「中距離」の番組としては唯一注目度の高かった番組です。
それがなくなるということは、ライブでやるお笑いが、いよいよテレビ向きではなくなることを意味するのでしょうか。
そうであっては欲しくないですが、お笑いは短距離走だけではないということを、どこか志のあるディレクターさんなりプロデューサーさんなりが、きっと示してくれる日がくることを信じています。
いま、ライブでのお笑いは、落語とおなじ運命を辿るかどうか、そういう岐路に立っているという危機感を、もっていたいと思います。

M-1グランプリは、「物語」として完結し、次にあるであろう新しいお笑いへの種を蒔いて、終了した。


個人的にいえば、私にとっては相性の悪いコンテストだった(笑)。
M-1はひとつの優秀なコンテンツだけれども、やはり癖のあるコンテストではあった。
芸人たちにとっては、M-1だけがお笑いではないけれど、それでも気になる存在だったに違いなく。

私はあるときから完全に視聴者に徹して、このお祭りを楽しむ方向にいったわけですが、
ホントにM-1終わったから喪失感があるようなことはまるでなく、
それだけ依存しなかった戦略をとったのも、いまは良かったかなと思います。
M-1のためだけに芸人をやっているのでは、10年後、20年後どうなるかというのは、わかりません。

番組冒頭で、「日本一おもしろい芸人を決める大会」みたいな、論点ずらしというか、刷り込みというか、うたい文句としては、仕掛ける側の立場を考えたら私だってそう言うけれども、
決してそういう番組ではなく、
ちゃんとしたルール内で、選考基準があるコンテストであり、それにのっとった人が通過する、ひとつのコンテストに過ぎません。

また、今年のM-1グランプリに関しては、
詳細は、現在無料配信中の、一連の『東京ポッド許可局』を聴いて欲しいと思います。

長文、読んでくださった方々、ありがとうございました。サンキュー☆
一切ボケませんでしたよ。


M-1グランプリを見る前 見た後に読むと、よりおもしろい!「手数」論ほか所収
■書籍 大好評発売中 2010年売れたサブカル本ノミネート 各種書評絶賛
『東京ポッド許可局 ~文系芸人が行間を、裏を、未来を読む~』

著者:マキタスポーツ、プチ鹿島、サンキュータツオ、みち、みずしな孝之 (イラスト)
判型:四六版・ソフトカバー
価格:¥ 1,890 発売日: 2010/9/24 出版社:
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東京ポッド許可局』 こちらが公式サイトです。←音声配信はこちら。


◆2011年1月14日(金)オフィス北野 若手Present's
『フライデーナイトライブ』@西新宿・ハーモニックホール
*POISON GIRL BAND 出演決定!
チケットは、ローソンチケット 又は サイトの予約フォームより!

私たち米粒写経の漫才も、見て欲しいです。
日本一おもしろいと、自分では思っております。

posted by: サンキュータツオ | ★コラム | 16:48 | comments(8) | - |-
うーん、すごい。

m1、というか「お笑い」の観方、面白がり方を更に広げさせてもらいました。本当に感謝してます。

これを観た芸人さんがこれを参考にし、そしてこの枠組をぶち壊すことをタツオ局員は期待してるんでしょうね。
| lisky | 2010/12/27 11:06 PM |
この理屈っぽさ!
実にらしい評論で痺れました(笑)
M-1グランプリ居酒屋に行けなかったのが悔やまれます…
| dcdc | 2010/12/28 8:33 PM |
お疲れ様です!タツオさんのおかげで笑いを考える楽しさを知りました。
| ぽふ | 2010/12/29 9:54 PM |
これを読んで、つい2009のMー1から見直してしまいました。
Poison girl bandも動画を探してみましたが、確かに面白い!もっと評価されるべきですね。
正直、お笑い離れした名前が良くないのでは?
| yuho237 | 2010/12/30 12:15 AM |
いつも鋭いですね。大好きです。
思いついたことは全てRTより先に発表して下さい!!
そうそう、こないだ出版されたRTのM1本ですが「手数」という言葉を、使うべきところで使われてなかったですね。うしろめたかったようです。
| ぽっけ | 2010/12/31 8:00 PM |
>liskyさん、
コメントありがとうございます。
そうですね。
評論というのは、新しいものを生むためにあるものと考えております。


>dcdcさん、
読んでくださりありがとうございます。
私はなによりも理屈が好きです。

| タツオ | 2011/02/13 4:40 PM |
>ぽふさん、
コメントありがとうございます。
ぽふさんのおかげで、またこういうの書くのもいいかなと思えました。


>yuho237さん、
こういうものを読んで、また見たくなる、というのであれば、本懐です。
POISON GIRL BANDさん、名前最高だと私は思います。
| タツオ | 2011/02/13 4:42 PM |
>ぽっけさん、
彼は彼で、覚悟を持ってやってくださればいいです。プロとして。
| タツオ | 2011/02/13 4:42 PM |