そろばん引き算のやり方、繰り下がりのある2桁・3桁を計算するコツについて解説します。
引き算の繰り下がりのやり方を覚えるためには、引き算九九をきちんと理解する必要があります。
引き算九九は、そろばん計算では必要不可欠な知識。引き算九九を覚えれば、引き算の間違いが格段に減るので、確実にマスターしましょう。
そろばん引き算のやり方:「引き算九九」を覚える
引き算の繰り下がりのやり方で悩むそろばん初心者の方は「引き算九九」を覚えましょう。引き算九九は以下の通り。
【引き算九九】五珠が入っている場合
- ひけない1は、5をとって、4をいれる
- ひけない2は、5をとって、3をいれる
- ひけない3は、5をとって、2をいれる
- ひけない4は、5をとって、1をいれる
【引き算九九】五珠が入ってない場合
- ひけない1は、10をとって、9をいれる
- ひけない2は、10をとって、8をいれる
- ひけない3は、10をとって、7をいれる
- ひけない4は、10をとって、6をいれる
- ひけない5は、10をとって、5をいれる
- ひけない6は、10をとって、4をいれる
- ひけない7は、10をとって、3をいれる
- ひけない8は、10をとって、2をいれる
- ひけない9は、10をとって、1をいれる
引き算九九は、就学前の小さな子どもでも理解できるように作られています。つまり、「足し算・引き算で使う数字のペア(組み合わせ)を覚えましょう」ということです。
引き算九九を覚えると、計算する時に珠をいくつ弾けばいいのかがすぐに分かります。引き算が苦手なうちは、引き算九九を確認しながら、そろばんの珠を動かしてみましょう。
珠の動かし方に慣れてしまえば、引き算九九を使わなくても自然に計算できるようになります。
年長、小学1年生であれば10の繰り上がり繰り下がり、100への繰り上がり繰り下がりを理解できるようになる
そろばんの引き算 間違いやすいポイント
「引き算をするときの、そろばんの珠の動かし方は理解している。でも、なぜか引き算を間違えてしまう……」というときもありますよね。
そろばんの引き算で間違いやすいポイントは以下の3つ。
- 足し算と引き算で、珠の動かし方を混同してしまう
- 理解していても間違って指を動かしてしまっている
- 「+」と「-」、問題の読み間違い
それぞれの間違いやすいポイントを解説していきます。
1 足し算と引き算で、珠の動かし方を混同してしまう
そろばん引き算の間違いで多いのが、足し算をするときの珠の動かし方と混同してしまうことです。そろばんには「足し算九九・引き算九九」と呼ばれるものがあります。
そろばんで引き算を行う際には「引き算九九」を用いると分かりやすいですが、繰り上がりのある足し算をするときには「足し算九九」で計算します。
引き算と足し算は基本的に同じ考え方で計算します。
「5になる数字のペア」は、1+4、2+3、3+2、4+1。
「10になる数字のペア」は、1+9、2+8、3+7、4+6、5+5、6+4、7+3、8+2、1+9。
足し算も引き算もこの九九を使って計算するので混同してしまうことがあるのです。
例:10-4=6の問題
例えば、10-4=6の問題。最初に10をそろばんに置きます。
十の位の下珠が1つ、一の位にはなにも珠が置かれていない状態で、次に4を引きたいと思います。ここで先述した九九が出てきます。
「10になる4のペアは6」なので、一の位に6を置きます。一の位に珠はなにも置かれていないのでそのまま6を置くだけになります。
単純な問題ですが、ここで間違って4を置いてしまうことがあるのです。引いた数字を間違って置いてしまわないように注意しましょう。
2 理解していても間違って指を動かしてしまっている
そろばんの指の動かし方は少し特殊です。
右手親指と人差し指を上下にはじくように動かします。(珠をあげる時は親指、下げるときは人差し指を使います。)
正しい指使いで珠を弾かないと、最終的な珠の配置がおかしくなり不正解となる場合も。そろばんの珠をはじく時の指の動かし方や手の位置は以下の通り。念のため、見直してみてください。
そろばんの枠を左手で固定
はじめに。計算中にそろばんが動かないよう、左手の親指と人差し指でそろばんの枠を挟み込むようにし、固定します。
珠を動かしても、そろばん本体が動かないように、かつ力を入れすぎないようにしましょう。
力が入るとはじき間違いが起こりやすくなります。(そろばんの枠とは、そろばんの一番外側のフチのことで、主に茶色や黒の部分です。)
そろばんの珠を弾くときの手の形
次に右手の親指と人差し指を伸ばした状態にし、他の指を全て握った形(グーの形)にします。
伸ばしたままの右手の親指と人差し指を上下にはじくように動かすのが、そろばんの基本的な指の動かし方になります。
指使いのルール3つ。
➀1珠(下の4つの珠)を上げるときは【親指】
➁1珠を下げるときは【人差し指】
➂5珠(上の1つの珠)を動かすときは【人差し指】
頭で理解していても指を間違って動かしてしまうときがあります。指の動きはそろばんにとってとても重要です。
特に冬の寒い時期は思ったように指が動かない日もありますので、手指をしっかりと温めてからの練習をおすすめします。
3 「+」と「-」、問題の読み間違い
珠算検定試験や、そろばんの練習問題では、足し算・引き算の問題が縦にずらっと並んでいます。
当然のことながら、問題が長くなればなるほど間違って計算してしまう可能性が高くなります。
そこでおすすめなのがそろばんの枠を使い、定規のようにそろばんを滑らせながら計算していく方法です。
具体的には、そろばんの枠を計算する部分の真下に持ってきます。(そろばんの枠の上から見える部分は、今まで計算した部分+今から計算する部分しか見えていない状態にする)
そろばんの枠を定規のように使うと、ひとつひとつ数字に集中して計算できるので、足し算と引き算が入り混じる検定問題においても、引き算を見落とす確率がグッと下がります。
そろばん引き算:2桁・3桁の繰り下がり計算のコツ
繰り下がりの引き算を覚えるためのコツとして、繰り返しになりますが足し算九九・引き算九九をまず覚えることをおすすめします。
引き算九九を、違った言い方でまとめると以下の通り。
- -1のときは10を引いて9を足す
- -2のときは10を引いて8を足す
- -3のときは10を引いて7を足す
- -4のときは10を引いて6を足す
- -5のときは10を引いて5を足す
- -6のときは10を引いて4を足す
- -7のときは10を引いて3を足す
- -8のときは10を引いて2を足す
- -9のときは10を引いて1を足す
ここからは例題をチェックしながら、そろばん引き算(2桁、3桁)の問題を解いてみましょう。
そろばん引き算(2桁)例題:45-27
そろばん引き算、2桁計算のやり方を例にしてみます。
例題:45-27=?
十の位に4、一の位に5を置きます。次に27を引いていきます。まず十の位から引いていきます。十の位には4があり、20を引きたいので4から2を引きます。
これで十の位には2があります。次に一の位を引いていきますが、すでに5が置かれており、このままでは7が引けません。5-7は繰り下がりが必要になります。ですので十の位も含めて25-7で考えてみましょう。
引き算九九「-7のときは10を引いて3を足す」なので、十の位は2がありますが10を引きたいので2から1を引きます。これで十の位は1になりました。
次に一の位を計算します。「-7のときは10を引いて3を足す」です。
すでに一の位には5がありますがここに3を足します。一の位は8になり、十の位は1になりましたので、45-27の答えは18になります。
2桁の引き算、3桁の引き算はもちろん、桁数がいくら増えてもやり方と考え方は同じです。繰り下がりをしたい桁の、1つ上の桁(1つ左隣の桁)から借りてくる=10を引くことを意識するだけです!
そろばん2桁引き算の例題|繰り下がり・マイナス問題
そろばん引き算、2桁の引き算の繰り下がりとマイナス問題のやり方を例題で解説していきます。
マイナス問題(補数計算)はそろばんにある珠をそのまま解答用紙に記入するのではなく、そろばん上の珠から補数を読み取る必要があります。
慣れてしまえばそれまでですが、慣れるまでが難しいのがそろばんの難しさでもあります。慌てずに落ち着いて練習を心がけましょう。
例題:78-39(引き算の繰り下がり問題)
例題:78-39=?(繰り下がり問題)
まず78をそろばんに置いていきます。
十の位に7、一の位に8を置きます。次に39を引いていきます。そろばんでは常に大きい数字から計算していきます。ですので、この場合だと十の位から計算していくことになります。
十の位には7(=70)が既に置かれています。39の30を引いていきます。70-30=40なので、十の位には4が残ります。
次に一の位を計算していきます。すでに8が置かれています。9を引きたいのですが足りません。ここで繰り下がりが必要になります。8-9は出来ないので十の位も含めて考えます。
48-9で計算してみましょう。「-9のときは10を引いて1を足す」なので、十の位から10を引いて、一の位に1を足します。
これでそろばん上には十の位に3、一の位が9です。答えは39になりました。
例題:26-91(引き算のマイナス問題)
例題:26-91=?(マイナス問題)
次は答えがマイナスになる問題のやり方を解説していきます。まず26をそろばんに置いていきます。
十の位に2、一の位に6を置きます。次に91を引いていきたいと思いますが足りません。この場合は答えがマイナスになって初めて正解になります。
計算のやり方ですが、26-91のままでは計算できません。そろばんは常に大きい数字から計算していくと先述しましたが、マイナス問題の場合にも当てはまります。
26から91は引けないので、引きたい桁の左隣に1つ珠を置きます。この場合は百の位になりますので、そろばん上は126になります。
この状態を「珠を借りてくる」といいます。そして126から91を引いていきます。十の位は2(20)で、90を引きたいのですがここでもまだ足りません。
なので120-90で考えてみます。「-9のときは10を引いて1を足す」なので百の位の1をはじき、十の位に1を足します。
これで120-90=30=十の位に3となりました。
次に一の位を計算します。6-1=5なので一の位は5になります。ここまで計算すると、十の位が3、一の位が5=そろばん上は35になっていると思います。
ここからが重要なポイントです。はじめに百の位に1つ珠を置いたのでこの場合、「100を借りてきた」ことになります。そして、借りてきたものは返さなくてはなりません。
やり方ですが、そろばん上は35になっています。「一の位以外は9になる補数を、一の位は10になる補数」を解答用紙に記入していきます。この場合ですと、十の位は3です。
十の位を9にする補数は6になります。一の位は5です。一の位を10にする補数は5になります。ですので解答は-65になります。
マイナス計算は別名、補数計算とも呼ばれます。そろばん上に置かれた珠をそのまま読むのではなく、足りない数を補ってさらに計算する必要があります。
そろばん3桁引き算の例題|繰り下がり・マイナス問題
3桁のそろばん引き算も2桁の引き算のやり方と大きく変わりはありません。桁数が大きくなればなるほど間違いやすくはなるので注意が必要です。
例題:483-107(引き算の繰り下がり問題)
例題:483-107=?(繰り下がり問題)
まず483を置いていきます。
次に107を引いていきます。百の位には4(400)があり、1(100)を引きたいのでそのまま引きます。これで百の位は3(300)になりました。
次に十の位を計算します。十の位には8(80)がありますが、引きたい十の位は0なのでそのままにしておきます。次に一の位です。一の位には3があり、7を引きたいので繰り下がりが必要になります。
「-7のときは10を引いて3を足す」なので、十の位の8(80)から1(10)を引いて、さらに一の位に3を足しますが、素直に足せないので、「足せない3は5をとって2を引く」を使います。
すると、百の位は3、十の位は7、一の位は6になり、答えは376になりました。
例題:571-801(マイナス問題)
例題:571-801=?(マイナス問題)
まず571を置きます。
次に801を引いていきたいと思いますが、足りないので千の位に1つを置いて1000を借りてきます。そろばん上は1571になりました。
これで計算していきます。百の位ですが500-800は出来ないので1500-800で考えます。ですので百の位は7(700)になりました。
次に十の位ですが既に7(70)があり、引きたいのは0なのでここはスルーします。次に一の位です。1-1=0なので一の位は0になります。ここまで計算するとそろばん上は770になりました。
次は補数を考えていきます。「一の位以外は9になる補数、一の位は10になる補数」を当てはめていきます。百の位は2、十の位も2となります。一の位は0です。
「一の位は10になる補数」ということでこれを当てはめていきます。
最後の数字が置かれている桁は十の位で、ここに7(70)がありますが10になる補数を引いて考える必要があるので、ここを6((60)にします。
先ほど十の位の補数は2と言いましたがここが3に変わります。ですので答えは-230となります。
そろばん引き算の練習問題と解答
そろばんの引き算の練習問題を出題します。いっしょに解いてみましょう!
練習問題①:836-99(3桁-2桁のそろばん引き算)
練習問題①:836-99(3桁-2桁の引き算)
まず836をそろばんに置きます。
次に99を引いていきます。十の位は3で9を引けないので繰り下がりが必要になります。-9のときは10を引いて1を足します。百の位から1(100)を引いて、十の位に1(10)を足します。
これでそろばん上は746になりました。次に一の位です。一の位も9を引きたいのですがここでも繰り下がりが必要になります。ですので、46-9のイメージになります。10引いて1を足すと37になります。答えは737になります。
練習問題②:18-317(2桁-3桁の引き算=マイナス問題)
練習問題②:18-317(2桁-3桁の引き算=マイナス問題)
18をそろばんに置きます。
次に317を引いていきたいと思いますが、まず桁が足りません。
この場合百の位に1(100)を借りるのではなく、さらにその上の千の位から1(1,000)を借ります。そろばん上は1018になり、ここから普通の引き算のように計算していきます。
計算するとそろばん上は701になるはずです。後は補数を当てはめていきます。701なので補数は-299、これが答えになります。
まとめ
このページでは、そろばんの引き算のやり方について学習しました。そろばん引き算は「引き算九九」を考え方のベースにするのが基本です。
そろばんの足し算・引き算は、珠算の基礎中の基礎ですので、時間をかけてゆっくり、順番通り正確にできるように練習していきましょう。
そろばん計算のやり方に関する記事は以下にまとめていますので、こちらもご覧ください。
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