国際女性デーの3月8日、子宮頸がんなどを防ぐ「HPVワクチン」の啓発活動をしてきた市民団体「守れる命を守る会」と大学生たちが接種率の向上を呼びかける記者会見を開いた。
同会代表で日本産婦人科医会会長の石渡勇さんは「がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の広がりにくさは、接種率が上がれば上がるほど強化されます。ワクチンは個人の命を守るだけでなく社会全体の命を守ります」と訴えた。
参加した大学生の一人、久保田瑠璃子さんは「死ななくてよかった人が命を落とすのは悲しい」として、正確な情報をもとに接種を判断するよう呼びかけた。
2013年の「騒動」で接種率激減
HPVワクチンは2013年4月から小学6年生から高校1年生を対象に無料でうてる「定期接種」となったが、接種後に体調不良を訴えた女子をメディアが薬害であるかのようにセンセーショナルに取り上げたことをきっかけに接種率が激減。
厚労省は対象者にお知らせを送る「積極的勧奨」を止めるよう自治体に通知し、2022年11月に解除されるまで、実質、接種されない状態が9年近く続いた。
安全性やがん予防の有効性が世界各国の研究で確かめられた現在は、お知らせが送られるようになり、接種を逃した9学年も無料で受けられる「キャッチアップ接種」が2025年3月まで続けられている。
しかし、接種率の伸びは悪く、対象者がどうやったら安心して接種できるようになるかが課題となっている。
「1回だけでも、早めの接種を」
会見に出席した医師の村中璃子さんは「ワクチンをうつ年齢が遅れれば遅れるほどがんを防ぐ効果は激減することが研究でわかっています。性経験を持ち、原因ウイルスに感染する前に接種することが大事です」と早めの接種を呼びかけた。
そして、現在、日本では3回接種となっているが、1回でも接種していれば子宮頸がんを防ぐ効果があることが研究でわかってきたことを紹介。
2022年4月にWHOがHPVワクチンについて全ての国において1回もしくは2回接種に推奨を変更したのを受けて、「回数やワクチンの種類は関係なく、定期接種の年齢内にまずは1回うつことが大事」と強調した。
大学生「死ななくて良かった人が命を落とすのは悲しい」
HPVワクチンの啓発活動をしている国際基督教大学2年の久保田瑠璃子さんは、子宮頸がんを患った友人や、子宮頸がんで命を落としてしまった知人がいることを話し、こう訴えた。
「実際に身近に起こってみるまで他人事なんだなと痛感しています。子宮頸がんは死を引き起こす可能性のあるがんであると同時にワクチンで予防できるがん。死ななくて良かった人が接種しなかったために命を落としてしまう、そんな悲しいことはないと思います」
「まずは自分で調べてうつ不安を取り除き、それでも残った不安は産婦人科医などに取り除いてもらう。自分で考えて決断することが何よりも大事だと思います。根拠のない情報に頼るのではなく、正しい情報のもと判断してほしい」
関西の医学生らを中心として若者にHPVワクチンについて啓発している団体「Vcan」のメンバーの女性は、「もっと早く知っていたら、もっと早く接種していたら」という思いで、全国の中高校生らにHPVワクチンの出張授業を続けてきたと説明。
「うちそびれる人がなくなるよう、お知らせを送るだけではなく、子宮頸がんの怖さやワクチンの有効性、安全性について正しい情報を届ける必要があると再認識しました」と啓発活動の中で気づいたことを語った。
動画でメッセージも作成
守れる命を守る会は、動画でのメッセージも作成した。
ロングバージョンはこちら。