善光寺へ牛を引く大役、感謝を胸に引退 10年以上、行列を先導 千曲市の81歳村山さん

最後の「花遊歩」に参加し、牛のそばで表情を緩める村山さん

 長野市の中心市街地で4日に開かれた催し「花遊歩(はなゆうほ)」が今年で幕を閉じるのは、10年以上にわたり行列を先導する牛を引いてきた千曲市屋代の村山義治さん(81)が高齢を理由に引退するためだ。大病を患い、手術を繰り返しながら牛引きの大役をこなしてきた。「ここまで元気に生きてこられたのは、その責任感のおかげ」。感謝を胸に、この日の行列を見守った。

 1990年ごろから千曲市の牧場で牛を飼育してきた村山さん。現在は須坂市の牧場に牛を預けている。花遊歩だけでなく、善光寺御開帳の催事にも牛を提供してきた。昨年を最後に引退を決めていたが、花遊歩を主催する長野市のNPO法人「長野都市経営研究所」の依頼に根負けして1年延期することにした。

 この日、行列を先導したのは4歳の雌牛「やつき」。当初先導役に予定していた牛の出産が見込みより早まり、急きょ代役に立てた。不安もあったが、しっかりとした足取りを見て「落ち着いて歩けてるね」と胸をなで下ろした。牛を引く役は今回、息子らに任せ、やつきの隣で時々背中に手を当てて寄り添った。

 行列のペースに足取りが追い付かず、少し遅れると「牛より先に疲れちゃったよ」と照れ笑い。応援に来た娘や孫たちと一緒に、善光寺山門まで緩やかな傾斜を上った。行列が無事に善光寺にたどり着いたと聞いて「感無量。この充実感を知ってしまうと来年もやりたくなるね」と晴れやかな表情になった。

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