異変次々…新型コロナ、続いた苦闘 松本市・長野市の院長、3年余を振り返る
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■第5波、先見えず恐怖さえ感じた
「懸命な感染対策の盲点を突き、変異を繰り返しては執拗(しつよう)に襲ってくる狡猾(こうかつ)なウイルスとの闘いだった」。8日に感染症法上の位置付けが「5類」に移行する新型コロナウイルス。感染が拡大した3年間余を、県内11の感染症指定医療機関の一つ、松本市立病院の中村雅彦院長(64)は、こう振り返る。
2020年2月、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で起きた集団感染の患者を受け入れた。間もなく、県内初の感染者を診療。症状から急性胃腸炎を疑ったが、新型コロナが流行していた地域への行動歴があったため肺のCT撮影や検査をし、翌日、陽性が判明した。治療薬もなく、どう感染対策をしたらいいかまだ分からない時期は感染の危険と背中合わせで診療した。20年11月からの感染「第3波」では、感染症病棟の職員6人が院内感染した。
23年3月末までに同病院の発熱外来を2万5千人余が受診。特に感染力が強いオミクロン株が主流となった22年度は1日平均35人を受け入れ、22年8月は1日当たり過去最多の100人超に。炎天下の駐車場は受診待ちの車であふれ…
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