確かに、国際ルールや条約に関して、米国が合意能力を持たなくなった結果、欧州の外交は変わりつつあるのかもしれない。米国の政策は、自国の利益に反する自由貿易や自由市場を否定し、国際的な制裁を組織して世界経済をコントロールしようとする介入を行う。最近の例では、ロシアのパイプライン「ノルド・ストリーム2」がドイツをはじめとする欧州にガスを供給し、米国の液化天然ガスと競合することを防ぐためのもの、トランプ大統領が米国の25%の鉄鋼関税と10%のアルミニウム関税をかけたものなどが有名である。その影響で、ドイツをはじめとする欧州諸国は米国の軌道から外れているようである。
近年、私はロシア科学アカデミーや中国社会科学院(CASS)への寄稿や、香港に拠点を置くグローバル大学(Global University for Sustainability)の連載記事、講演、スピーチなどで、金融・経済改革の論理を展開した。1972年に『超帝国主義』を出版したとき、帝国主義のハウツー本としてではなく、脱ドルのためのハンドブックとして、また対抗すべき米国の戦術の概要として、私が最も熱心に読んでくれると期待していた国際的な読者層である。したがって、本書が中国・香港で活字化されたことは適切なことである。