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2022年5月31日(火)の放送内容

日本周辺の“異常な雨”は温暖化の影響

STUDY: CLIMATE CHANGE CAUSING EXTREME RAINFALL IN JAPAN

2022年5月10日のニュース

「らじる★らじる」で放送を聞く

A new study says extreme rainfall events are happening more often in Japan, and climate change is mostly to blame.再生解説
新たな研究が示しています、極端な降雨事象が日本で以前よりも頻繁に発生しつつあると、そして気候変動が主な責任の所在であると。
解説
extremeは「極端な、極限の」という形容詞で、スポーツから政治信条まで幅広く使うことができます。スカイダイビングは代表的なextreme sport「極限のスポーツ、エクストリーム・スポーツ」です。また、政治信条におけるextreme rightなら「極右」を指します。
rainfallは「降雨」です。ここでのeventは「(気象)事象」を表していて、rainfall eventは「降雨事象」と訳せます。
more often「より頻繁に」の比較対象がこの文では述べられていませんが、「以前と比べて」が省略されていると解釈できます。
climate changeは「気候変動」です。最近では事態の切迫度を反映して、climate crisis「気候危機」という表現もよく使われます。
(be) to blameは「責めを負うべきである、責任がある、責任の所在である」という表現です。
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It was led by a team of scientists from the National Oceanic and Atmospheric Administration in the U.S. 再生解説
それ(その研究)は科学者のチームによって率いられました、アメリカの国立海洋大気庁(アメリカ海洋大気局)の。
解説
ledは、lead「率いる」の過去分詞形です。lead-led-ledと変化します。
the National Oceanic and Atmospheric Administrationはアメリカの「国立海洋大気庁」で、「アメリカ海洋大気局」などとも呼ばれます。NOAAと省略されます。
NOAAの地球流体力学研究所の村上裕之研究員のグループは、人工知能とスーパーコンピューターによるシミュレーションで、近年の雨の降り方の変化と、地球温暖化との関係とを調べました。
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They used artificial intelligence to take a deep look at precipitation data in Japan over a period of 38 years.再生解説
彼らは人工知能を用いました、日本の降雨データを詳しく調べるために、38年間にわたる。
解説
artificial intelligenceは「人工知能、AI」です。
take a look at ...は「~を見る」ですが、ここではtake a deep look at ...として、研究者が「~を深く見る」、つまり「詳しく調べる」という意味で使われています。
precipitationは「降雨量、降水量」です。本文では、rainfallの言い換えとして使われています。
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The study showed that the frequency of extreme rainfall events more than doubled in that time. It reached more than 12 days in 2015. That was up from six days in 1977.再生解説
その研究は示しました、極端な降雨事象の頻度が、その期間に2倍以上になったことを。それ(頻度)は12日を超えました、2015年に。それは1977年の6日からの増加となりました。
解説
frequencyは「頻度」です。ほかに、電流や電波の「周波数」という意味もあります。
ここでのdoubleは「2倍になる、倍増する」という動詞です。doubleはまた、「(役割を)兼ねる」としても使われます。The president doubles as chairman.なら「その社長は会長も兼務している」です。
3文目のupの使い方は統計数字を扱う英文でよく見るもので、an increaseやa riseに代えて表現することができます。反対に「減少」であれば、downの一語で置き換えることができます。なお、「~からのXパーセントの上昇」のように言う場合は、up X percent from ...という形をとります。
研究グループは、1977年から2015年までの38年間の日本の降水データを人工知能に学習させ、雨の量が極端に多かったり範囲が非常に広かったりと、ふだんと大幅に異なるケースを「異常な雨」として抽出しました。その結果、全国の「異常な雨」の頻度は、1977年が6.1日だったのに対し、2015年は12.3日とおよそ2倍となりました。
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The team also used a supercomputer to simulate atmospheric conditions and other natural variabilities.再生解説
そのチームはまたスーパーコンピューターを使いました、シミュレーションするために、大気条件やその他の自然変動を。
解説
コンピューターなどの科学分野の語彙には、カタカナの外来語が多くあります。simulateという動詞もその一例で、「シミュレーションする、シミュレートする」のように言い、「模倣する、擬態する」と訳すとかえって理解が難しくなることがあります。
atmosphericは「大気の」という形容詞です。名詞で「大気」なら、atmosphereです。
variabilityは「変わりやすいこと、ばらつき、変動性」で、natural variabilityは「自然変動」です。variabilityは数えられない名詞として使われることがほとんどなのですが、ここでは「変動要素」という意味合いで例外的に複数形になっています。
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It said the results showed that human-caused climate change was responsible for the rising frequency of abnormal rainfall.再生解説
それ(研究チーム)は述べました、その結果は示したと、人間によって引き起こされた気候変動が原因だったと、増えている異常な雨の頻度の。
解説
human-causedは「人間によって引き起こされた、人為的な」という形容詞です。同じ意味でman-madeもよく使われ、man-made disasterなら「人災」です。man-madeを性的に中立に言い換えたいときの表現の1つが、human-causedです。
responsibleは「責任がある」だけでなく、「原因となる」という意味でも使われます。例えば、Aviation investigators concluded that a bird strike was responsible for the aircraft’s engine trouble.と言えば「航空調査官たちは、鳥の衝突がその航空機のエンジントラブルの原因だったと結論づけた」です。
abnormalは「異常な」です。ラテン語由来のab-という接頭辞がaway fromを意味することから、away from normal「通常から逸脱した」を表します。
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The team also predicted the events would continue to increase in Japan to about 19 days in the year 2050.再生解説
その(研究)チームはまた予測しました、それらの事象は日本で引き続き増えるだろう、2050年にはおよそ19日へと。
解説
研究グループのシミュレーションによると、将来「異常な雨」は全国で増えるとされ、その頻度は2050年に年間およそ19日と、1977年のおよそ3倍になると予測されたということです。
predictは「予測する」で、後ろにthatを補足すれば、predicted (that) the events would continue to increase「それらの事象が増え続けるということを予測した」と解釈しやすくなります。
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日本では(雨の量が極端に多かったり雨の範囲が非常に広かったりする)異常な雨の頻度が増えていて、その主な原因が気候変動にあるという新しい研究結果が発表されました。
この研究はアメリカ海洋大気局の科学者のグループが中心になって行ったもので、38年間の日本の降水データをAI=人工知能に学習させて、詳細に調べました。
その結果、異常な雨の頻度は1977年が(年間)6日だったのに対し、2015年は12日を超え、その期間に2倍以上になっていることが分かりました。
さらに、研究グループがスーパーコンピューターで大気の状況とその他の自然変動を再現したところ、異常な雨の頻度が増加している原因は、人間の活動によって引き起こされた気候変動であることが分かったということです。
また、日本での異常な雨は今後も増えるとされ、その頻度は2050年には(年間)およそ19日になると予測されたということです。
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Listening Point
★responsibleの終わりの/l/は聞き取りづらい

It said the results showed that human-caused climate change was responsible for the rising frequency of abnormal rainfall.

このセンテンスのresponsible、abnormal、rainfallは正しく聞き取れましたか?
この単語に共通しているのは、/l/の音で終わっていることです。/l/で終わる単語の聞き取りを苦手とする人は多いです。

なぜかというと、この/l/は/l/の中でも、専門用語でdark l「暗い/l/」と言われる音で、人によっては母音の「ウ」に聞こえる場合があるからです。例えば、responsibleが「レスポンシブ」ではなく、「レスポンシブ」に聞こえるということです。日本語の「る」ほどはっきりと聞こえません。この「暗い/l/」は多くの場合、/l/の前に母音が来るときに現れます。

一方で、climateの/l/は比較的聞き取りやすいのではないでしょうか。これはもう1つの/l/、clear l「明るい/l/」と言って、基本的に母音の前に来ます。

ウェブサイトなどの音声を利用して、「暗い/l/」と「明るい/l/」の聞こえ方を確認してみましょう。
Today’s Takeaway

現代英語を学ぶうえで役に立つ豆知識を取り上げます!

★frequencyの意味

The study showed that the frequency of extreme rainfall events more than doubled in that time.
ここでのfrequencyは「頻度」という意味で使われています。あることが繰り返し起こる度合いのことです。

形容詞形はfrequent「頻繁な、たびたびの」で、「頻度が高い」ことを意味します。ちなみに、航空会社の常連客のことを、「頻繁に飛ぶ人」という意味でfrequent flyer(s)と言います。

ところでこのfrequencyですが、「周波数」という意味もあります。FMラジオのFMはfrequency modulation「周波数変調放送」の頭文字です。ちなみに、AMラジオのAMはamplitude modulation「振幅変調放送」の頭文字です。

frequencyの2つの主な意味「頻度」と「周波数」を覚えておきましょう。

※番組やホームページで題材にする英語ニュースは、放送から一定期間が経過したニュースです。そのため、現在は状況や事実関係が異なっている場合があります。

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