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2022年4月29日(金)の放送内容

米連邦最高裁 初の黒人女性判事誕生へ

JACKSON CONFIRMED AS FIRST BLACK WOMAN ON SUPREME COURT

2022年4月8日のニュース

「らじる★らじる」で放送を聞く

In a historic vote, the U.S. Senate has confirmed Judge Ketanji Brown Jackson to the Supreme Court. She will become the first Black woman to serve on the top court.再生解説
歴史的な投票において、アメリカ議会上院はケタンジ・ブラウン・ジャクソン判事を承認しました、(連邦)最高裁判所へ(任命することについて)。彼女は初めての黒人女性となります、最高裁で(判事として)務める。
解説
アメリカの議会上院は、社会を二分するような問題に最終的な司法判断を示す連邦最高裁判所の新しい判事にケタンジ・ジャクソン氏を承認し、黒人女性として初めての判事が誕生することになりました。
historicは「歴史的な、歴史的に重要な」で、in a historic voteは「歴史的な投票により」という意味です。
the U.S. Senateは「アメリカの議会上院」で、文脈がはっきりしているときは短くthe Senateと呼ばれます。「アメリカの議会下院」ならthe U.S House of Representativesで、こちらも短くthe Houseと呼ばれることがあります。上院下院の区別をつけずにアメリカ議会全体を指す場合は、Congressを使います。議会は国によって呼び方が違うので注意が必要で、日本の「国会」はthe Dietと呼ばれます。
confirmは「確認する、承認する」ですが、ここでは後者の「承認する」という意味です。
the top court「トップの裁判所」は、その前の文に出てきたthe Supreme Court「(連邦)最高裁判所」を指しています。アメリカでは各州にも最高裁判所があるため、それらと区別して「連邦」最高裁判所と訳されることが多いです。英語での正式名はthe Supreme Court of the United Statesです。
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The Senate approved President Joe Biden's nominee on Thursday in a 53-47 vote. Jackson will be formally sworn in this summer.再生解説
上院は承認しました、ジョー・バイデン大統領に指名された人を、木曜日に53対47の投票で。ジャクソン氏は正式に宣誓就任します、今年の夏に。
解説
approveは「承認する」です。
President Joe Biden's nominee「ジョー・バイデン大統領に指名された人」は、ジャクソン氏のことです。nomineeは「指名された人、任命された人」という意味です。動詞の末尾を-eeに変えると、「~される人」を表せます。ここでの動詞はnominate「指名する、任命する」です。
(be) sworn inは「宣誓就任する、就任の宣誓をする」です。swear inは「(誰かに)宣誓させてそのポストに就任させる」で、受身形の(be) sworn inは「宣誓して就任する」となります。大統領をはじめとした閣僚や最高裁の判事など政府の要職に就く人は宣誓をしてから就任するので、このような言い方をしています。
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Biden tweeted, “Judge Jackson's confirmation was a historic moment for our nation. We've taken another step toward making our highest court reflect the diversity of America.”再生解説
バイデン大統領はツイッターに投稿しました、「ジャクソン氏の承認は、わが国にとって歴史的な瞬間でした。我々は更なる一歩を踏み出したのです、最高裁にアメリカの多様性を反映させることへ向けて」と。
解説
tweetは「ツイッター上に投稿する」という意味です。元の意味は「(小鳥が)さえずる」という意味で、小鳥のさえずりのようにツイッター上で(人が)つぶやくということから、この言葉が使われるようになりました。
historic momentは「歴史的瞬間」です。
take another stepは「一歩前へ進む」ですが、ここでは「(更なる)一歩を踏み出す」というニュアンスがあります。
highest court「最高峰の裁判所」は、たくさんあるアメリカの裁判所の中でも一番上位にある連邦最高裁を指しています。
reflectは「~を反映する」なので、ここでは、すぐ後ろにあるthe diversity of America「アメリカの多様性」を反映するという意味になります。
diversity「多様性」の頭の音は、「ダイ」あるいは「ディ」のように発音されます。
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The nine justices of the Supreme Court make final decisions on socially divisive issues, such as abortion, gun control, and same-sex marriage.再生解説
9人の最高裁判所の判事は最終的な決定をします、社会を二分するような問題について、例えば(人工)妊娠中絶、銃規制、そして同性婚です。
解説
justiceは「(上級審の)裁判官、判事」のことです。「裁判官、判事」を表す単語にはjudgeもありますが、こちらは一般的には地方裁判所の判事に使います。ですからジャクソン氏は、今はjudgeですが、夏に最高裁判事に就任するとjusticeと呼ばれます。
decisionは「決定」や「判決」です。make a decision on ...は「~についての判断をする、決定をする」で、make final decisions on ...は「~についての最終的な司法判断をする」です。
socially divisive issuesは「社会を二分するような問題」です。abortionは「(人工)妊娠中絶」、gun controlは「銃規制」、same-sex marriageは「同性婚」で、いずれもアメリカ国内で意見が二つに割れている代表的な問題です。ちなみに、divisiveは「ディヴィシヴ」のように発音する人もいます。
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Currently, there are six conservatives and three liberals. Jackson is seen as a liberal.再生解説
現在、6人の保守派と3人のリベラル派(の判事)がいます。ジャクソン氏はリベラル派と見られています。
解説
six conservatives and three liberalsは「6人の保守派と3人のリベラル派」です。ここではsix conservative (justices) and three liberal (justices)のように、justicesが省略されていると考えると分かりやすくなります。
(be) seen as ...は「~として見られる」です。
連邦最高裁の司法判断は9人の判事の多数決によってなされるため、保守派とリベラル派の判事の人数構成は大きな意味を持ちます。一般的に共和党の大統領は保守派の判事を、民主党の大統領はリベラル派の判事を指名するため、連邦最高裁判事の構成はときの政権に左右されます。
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She will succeed retiring Justice Stephen Breyer, who is also a liberal. The ideological balance on the court is expected to remain unchanged.再生解説
彼女は退任するスティーブン・ブライヤー判事の後を継ぎます、彼もまたリベラル派です。この裁判所の政治的思想のバランスは変わらないと予想されます。
解説
succeedには「成功する」という意味もありますが、ここでは「地位を継ぐ、継承する」という意味です。
retiringは「退任する」です。ちなみに、連邦最高裁判所の判事職は終身制です。
ideologicalの名詞形は、ideology「信念や思想が体系化されたもの」で、政治的な思想や社会思想についてよく使われる言葉です。ここでのthe ideological balanceは「政治的思想のバランス」で、連邦最高裁が6対3で保守派の方向にバランスが傾いていること、思想的に保守派優勢である状態をこのように表しています。
the courtは、連邦最高裁を指しています。
(be) expected to ...は「~することが予想される」です。
remainは「~の状態でいる」、unchangedは「変わらない」なので、remain unchangedは「変わらない状態のままでいる」です。
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アメリカ議会上院は、(本会議での)歴史的な投票を経て、連邦最高裁判所の判事にケタンジ・ブラウン・ジャクソン氏を承認しました。連邦最高裁では黒人女性として初めての判事となります。
議会上院は木曜日(4月7日)、ジョー・バイデン大統領が指名していたジャクソン氏について投票を行い、賛成53、反対47の賛成多数で承認しました。ジャクソン氏は、今年の夏に正式に就任する予定です。
バイデン大統領は、「ジャクソン判事の承認は、アメリカにとって歴史的な瞬間だ。最高裁をアメリカの多様性を反映したものにする新たな一歩となった」とツイッターに投稿しました。
連邦最高裁の9人の判事は、人工妊娠中絶や銃規制、それに同性婚など社会を二分するような問題に最終的な判断を示します。
現在の最高裁は保守派が6人、リベラル派が3人です。ジャクソン氏はリベラル派と見られていますが、退任するリベラル派のスティーブン・ブライヤー判事の後を継ぐため、連邦最高裁の思想的なバランスは変わらない見通しです。
講師 伊藤サムの写真
Back-Translation Training

今回学んだ英文を使って、日本語訳からもとの英語に訳す「反訳トレーニング」です。英語の発想に基づいた語順を身につけましょう。

9人の最高裁判所の判事は、社会を二分するような問題について最終的な決定をします、例えば(人工)妊娠中絶、銃規制、そして同性婚です。
The nine justices of the Supreme Court make final decisions on socially divisive issues, such as abortion, gun control, and same-sex marriage.

1. 9人の最高裁判所の判事は
   The nine justices of the Supreme Court

2. 社会を二分するような問題について最終的な決定をします
   make final decisions on socially divisive issues,

3. 例えば(人工)妊娠中絶、銃規制、そして同性婚です
   such as abortion, gun control, and same-sex marriage.

●Transformation Training
応用編: 反訳トレーニングで取り上げた英文の一部を別の表現に変えてみる「転換トレーニング」です。

ニュースに出てきた文はA, such as B「A、例えばB」という形ですが、これをsuch A as B「BなどのA」という形に変えてみましょう。

9人の最高裁判所の判事は、妊娠中絶、銃規制、そして同性婚など社会を二分するような問題について最終的な決定をします。
The nine justices of the Supreme Court make final decisions on such socially divisive issues as abortion, gun control, and same-sex marriage.

元の文では、such as以下は「例えば~」という軽い例示になっていました。同じ内容ですが、こちらの文は「妊娠中絶、銃規制、そして同性婚」という問題を強調した言い方になります。また、こちらはよりフォーマルな言い方でもあります。
Today's Takeaway

現代英語を学ぶうえで役に立つ豆知識を取り上げます!

★「黒人」をblackではなくBlackと表記するようになった意味

She will become the first Black woman to serve on the top court.
「彼女は、最高裁で(判事として)務める初めての黒人女性となります」

blackではなく、Bを大文字にしたBlackと表記しています。これには、どういう意味があるのでしょうか?

「黒人(の)」をどう表現するかは微妙な問題です。むやみにblackという言葉を使うと侮蔑的に聞こえることがあり、注意が必要だからです。
ところが最近は流れが変わり、頭文字を大文字で書くBlackがどんどん使われるようになりました。
大きなきっかけは、2020年にアメリカで黒人男性が白人の警察官に首をひざで押さえつけられて死亡した事件です。人種差別に反対する運動が各地で起きて、黒人が共有する歴史やアイデンティティーに敬意をはらう意味で、blackではなくBlackと表記しようとする動きが広まりました。

英語の語法では、単語の頭文字を大文字にすることは、“この単語は固有名詞である”というしるしです。小文字のblackは「黒い」という感じですが、大文字のBlackは「ブラック(という誇り高く、そして尊重されるべき人)」という感じでしょうか。固有名詞になるということは、ただの色を表す言葉から、1つの特別な何かを表す言葉であることにつながるのです。

長らく軽蔑的な言葉とされたblackですが、実は1960年代の公民権運動では黒人たち自身が誇りをもって使った時期がありました。しかし、やがて「人種に触れるべき理由があるとき以外は、むやみに人種を示す言葉は使わないようにしよう」という暗黙のルールができました。そして、婉曲的な表現として広まったのが、「黒人のアメリカ人」を指すAfrican-American(アフリカ系アメリカ人)です。これが長らく標準的になっていましたが、今はBlackという表記が全盛期を迎えているようです。

これらの表現以外にも、歴史上には「黒人」を表す別の言葉が現れ、はやり、やがて他の表現に取って代わられるということがありました。これからも、人々の意識とともに変わっていくことがあるのか、注視したいと思います。

※番組やホームページで題材にする英語ニュースは、放送から一定期間が経過したニュースです。そのため、現在は状況や事実関係が異なっている場合があります。

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