なぜPayPayがユーザーにデメリットとなる変更をするに至ったのかといえば、やはり手数料負担を減らして収益を増やす狙いが大きいと考えられる。今回変更がなされた決済手段は、いずれも利用する度に手数料がかかるものだ。ソフトバンク・ワイモバイルまとめて支払いもグループ会社が提供しているとはいえ、公正競争上PayPayだけ手数料を優遇する訳にはいかない。
それゆえ、とりわけ他社クレジットカードの利用に対しては、以前からキャンペーンなどでポイント優遇の対象外とすることが多かった。PayPayは大規模なポイント還元キャンペーンで顧客を獲得してきた経緯があるだけに、一連のキャンペーン施策により他社クレジットカードでPayPayを利用する人が減り、今回のような変更を加えても影響するユーザーが少なく、事業に大きな影響は出ないと判断したといえそうだ。
一方でPayPayカードは、発行元がPayPay社の子会社なので手数料がかかってもグループ会社の収益となるし、PayPayあと払いのみでの利用であれば手数料負担も月1回に抑えられる。同様にソフトバンク・ワイモバイルまとめて支払いの手数料を初回無料にしたというのも、PayPay社側の手数料負担を月1回に減らしながらも、グループ内の顧客に一定のメリットを与える狙いがあると見ることができる。
それゆえ、ここまでユーザーからネガティブな反応が起きることは想定していなかったかもしれないが、それでもPayPayが強気の姿勢を取り続けられるのは、QRコードを活用したスマートフォン決済で、PayPayが非常に大きな存在感を示しているからこそだろう。
PayPayはソフトバンク譲りの強力な営業力と資金力を生かし、加盟店開拓を積極的に進め小規模店舗でも「PayPayなら使える」という状況を生み出している。加えて、先にも触れた大規模ポイントキャンペーンの積極展開でユーザーと利用を拡大し続けてきた。
その結果、およそ4年半で取扱高が10兆円を突破するなど、決済サービスとして他社の追随を許さない急成長を遂げている。その一方で、PayPayは競合のスマートフォン決済に先駆けて、2021年10月より加盟店から手数料の徴収を開始するなど、収益化にも積極的に舵を切っている。
今回のようなサービス内容変更は利用する側にとって不満要素となることは間違いない。しかし、加盟店の手数料徴収で大きな離脱が起きなかったように、市場で大きなシェアを獲得したことで、ユーザー離れは起きにくくなっている。それが強気の姿勢を取るに至った背景の1つと考えられよう。
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