「衣装デザインも女の子も両方メインで見せたい」上倉エクがイラストに込める、ワガママという名のこだわり
インタビュー／阿部裕華
イラストレーター上倉エクさんの個展「Sugary Girls −甘くて美味しい洋装店−」が、東京・表参道にあるpixiv WAEN GALLERYにて2022年12月25日（日）まで開催中です。新作画集『上倉エク作品集 Sugary Girls −甘くて美味しい洋装店−』の収録イラストをはじめ、上倉さん監修制作の衣装なども展示され、甘くかわいい空間に仕上がっています。
髪型や服装、小物までにもこだわった魅力的な創作イラストを生み出し続けている上倉さん。バリエーション豊かなキャラクターやデザイン制作の裏側をお聞きしました。
兼業から、専業のイラストレーターへ
── 前回のpixivisonのインタビューから5年が経ちました。この5年間で、上倉さんにとって大きな出来事はありましたか？
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── イラストレーターを専業にしたことで、何か変化はありますか？
兼業のときは、平日は会社の仕事、土日祝は個人の仕事というハードスケジュールでしたが、専業にしてからは個人の仕事のみに注力できるので心身共に余裕ができました。
もちろん育児をしながらなので、子どもが体調を崩してしまうとスケジュール通りにいかないこともあり、それは大変ではあるものの、兼業で同じような状況になっていたらもっと大変だっただろうなと。そういう意味では、自由にスケジュールを組める専業の方が融通が利き助かっています。
── 個人での仕事は大変なイメージもありますが、上倉さんにとっては好循環になっているようですね。
はい。自分の趣味の絵を描く時間もできたので、とてもいい感じです（笑）。
色選びのコツは、テーマに沿って4～5色に絞る
── 上倉さんのイラストは、髪型や服装から小物まで細部にもこだわりを感じます。イラストを描く上で、どのような作業から始めるのでしょうか？
── 使う色は「何色まで」など決まりはありますか？
あります。たくさんの色を使いこなすのは難しいので、4〜5色くらいに絞って配色していきます。まずメインになる色を1色と、テーマに沿った色を選びます。
例えば、先日「大人ガーリー」をテーマにイラストを描いたのですが、それは最初にメインカラーを「ピンク」に決め、ピンクと相性の良い「赤」「白」、あとはテーマの「大人」に合わせて「黒」「茶色」と決めていきました。
── イラストによってはパーツごとに線の色を変えていますよね？
![](data:image/svg+xml,<svg xmlns="http://www.w3.org/2000/svg" width="170" height="170"><rect fill-opacity="0"/></svg>)
── また、上倉さんのイラストはドット柄や切手などのテクスチャを重ねているのがとてもユニークですよね。
「フィギュア」を想像してイラストを描く
── 上倉さんご自身が、絵を描く上でこだわっていることはありますか？
いくつかあります。ひとつは目ですね。特に最近はまつげのディティールに時間をかけています。塗りつぶさないよう、あえて隙間を残しながら描くようにしています。こうするとまつ毛感が増して可愛いなと……。
逆に「瞳」は極力シンプルにしていて、特にハイライトは１つ以上入れないようにしています。衣装にディティールを出したいので、瞳はシンプルな方が全体的なバランスが良い気がして今のようになっています。
── そういう意味では、やっぱり「お洋服」もこだわりポイントの一つでしょうか？
ただ、洋服を見せたいけど女の子も見せたいという、ワガママな気持ちがあって（笑）。洋服を見せるとなると、雑誌のモデルさんのように地に足をつけて少しポーズを付けるくらいがいいんですよね。あくまでも主役は洋服！という感じに……。でも、それだとイラストとして物足りなさを感じてしまい、浮遊感や躍動感を出したがってしまって……。そのせいでせっかく衣装デザインをしても、ポーズによって上手く伝え切れないジレンマを抱えています（笑）。
── でも、ポージングを含めて、女の子が一番柔らかく見える瞬間を切り取っているなと感じます。
── 上倉さんはSDキャラクターもよく描かれていますよね。SDキャラクターを描く時のこだわりもぜひ教えてください。
アイデアの源泉は、とにかくインプットすること
── テーマや衣装デザインのアイデアに行き詰まった時にしていることはありますか？
── 洋服やファッションアイテムの情報収集はウインドウショッピングから？
── 画集『Tea Party -Eku Uekura Art Book-』では、影響を受けた作品に『リトルウィッチアカデミア』を挙げていました。どんなところに影響を受けたのでしょうか。
もともと『天元突破グレンラガン』や『キルラキル』など、GAINAXやTRIGGERの制作するアニメ作品がとても好きで、中でも『リトルウィッチアカデミア』は全部好きなんですけど……一番は吉成曜監督のポップでかわいい絵柄が好きですね。あとは「魔法使い」というテーマや不思議な世界観も好きです。オーバーアクションなアニメーション表現も面白くて、1秒ずつ止めながら確認したくなります（笑）。真似できない表現だからこそ憧れるし、好きなんですよね。
上倉さんがイラストを担当した、角川つばさ文庫版『リトルウィッチアカデミア でたらめ魔女と妖精の国』の表紙イラスト。
── 『リトルウィッチアカデミア』以外に影響を受けた作品はありますか？
個展は「カフェが併設されたオシャレな洋装店」をイメージ
── ここからは個展「Sugary Girls −甘くて美味しい洋装店−」についてのお話をお聞かせください。12月14日発売の新作画集に先駆けた個展ですが、画集のコンセプトが「洋装店」になった理由とは？
12月14日発売予定の『上倉エク作品集 Sugary Girls −甘くて美味しい洋装店−』（PIE International）
── 個展も「洋装店」をコンセプトにされているんですか？
── 画集に掲載されたイラストが展示されるとのことですが、中でも上倉さんがお気に入りのイラストはありますか？
「HATSUNE MIKU Digital Stars 2021」コラボレーションカフェのキービジュアルです。「DTMer」と「ゆめかわいい」をテーマに、6キャラクター全員の衣装をデザインしました。一気に6キャラクター描くのは初めてでしたし、一人ひとりキャラクターの性格や色に合わせて別々の衣装デザインを考えたのでとても大変だったのですが……（笑）。その分お気に入りのイラストになりました。
── 特に気に入っている衣装があれば、ぜひ教えてください。
── では、上倉さんが個展で楽しみにしていることはありますか？
── お気に入りのグッズはありますか？
全長20センチくらいの大きいアクリルスタンドですね。こんなに大きなアクスタを作ってもらったのは初めてだったのですが、とても見応えがあってかわいかったので、ぜひ買ってほしいです（笑）。
あとは、ちびキャラのアクリルキーホルダーは種類が多くて選ぶ楽しみがありますし、大きいキャンバスアートもかわいくできたので、お手に取ってもらえたら嬉しいです。
── それでは最後に、今後の活動の展望をお聞かせください。
12月25日（日）まで開催中！上倉エク個展「Sugary Girls −甘くて美味しい洋装店−」
pixivとツインプラネットが共同運営するギャラリー「pixiv WAEN GALLERY by TWINPLANET × pixiv」にて、上倉エクさんの個展「Sugary Girls −甘くて美味しい洋装店−」が12月25日（日）まで開催中です。
開催期間：2022年12月6日（火）〜12月25日（日）
定休日：なし
入場無料
所在地：東京都渋谷区神宮前5-46-1 TWIN PLANET South BLDG. 1F
営業時間：12:00～19:00
※混雑時は整理券対応をさせていただく可能性がございます。あらかじめご了承ください。
※新型コロナウイルスへの対策について
上倉エク個展「Sugary Girls −甘くて美味しい洋装店−」について、現時点では12月25日（日）までの開催を予定しております。今後も状況を注視しながら対応を進めてまいりますが、新型コロナウイルスの感染状況などにより、開催期間に変更が生じる場合がございます。販売商品や来店方法等を含め、運営状況については、随時pixiv WAEN GALLERY公式HP、公式Twitterにてお知らせさせて頂きます。何卒ご理解賜りますよう、重ねてお願い申し上げます。
一部グッズはWEB販売も！
