【解説】大手との賃金格差、広がるばかり 賃上げは「別世界」との声も 長野県内メーデー

有料会員記事
連合長野系の松本地区メーデー(左)と伊那市であった県労連系のメーデー=ともに1日

 記録的な物価高や人手不足を背景に「賃上げムード」が高まる中で迎えた1日の県内メーデー。今春闘では大手を中心に満額回答が相次ぎ、中小企業でも一定程度賃上げが進む。ただ、業種によっては新型コロナウイルスや燃料費高騰の影響から抜け出せない中小企業もあり、大手との賃金格差は広がるばかり。労組がない非正規労働者らにどう波及させるかも依然、課題となっている。(森優斗)

■一定程度の賃上げでも「手放しで喜べぬ」

 「会社側もない袖は振れない。賃上げの波に乗れなかった」。1日に長野市で開いた連合長野系の県中央メーデーに参加した北信地方の板金製造業労組の執行委員長(37)は、自社の春闘をため息交じりに振り返った。

 定期昇給分とベースアップ(ベア)の回答はあったが、世間の賃上げの機運も考慮すれば「手放しで喜べるほど良くはなかった」。新型コロナ下や国際情勢の緊迫化で海外から部品の供給が一時滞り、会社の経営状況は「右肩下がり」であることを踏まえ、高い水準の要求は諦めたという。

 金属、機械などの労組でつくるJAM甲信(諏訪郡下諏訪町)の桜井由紀夫書記長は、中小では取引先との折り合いが付かず…

(残り1393文字/全文1886文字)

この記事は会員限定記事です
無料会員登録で月5本まで閲覧できます

ログインして読む