米バズフィード、報道部門を閉鎖 リストラ計画の一環
【ニューヨーク=清水石珠実】米新興ネットメディアのバズフィードは20日、報道部門「バズフィード・ニュース」を閉鎖すると発表した。全従業員の約15%にあたる180人規模を削減する計画の一環。黒字化のメドがつかない同部門の継続を断念し、ニュース報道は傘下の別のニュースサイト「ハフポスト(旧ハフィントン・ポスト)」に統合する。
米メディアによると「バズフィード・ニュース」の閉鎖を受けて、同部門の従業員約60人が職を失う。人員の一部はバズフィードの別の部門やハフポストで再雇用する。バズフィードは1月、ゲームの作成や編集作業を支援するために人工知能(AI)を採用する方針を示したが「今回失われる雇用をAIで補うことはない」(広報担当者)としている。
バズフィード・ニュースは2021年、優れたニュース報道をたたえるピュリツァー賞を受賞した。衛星写真や3D(3次元)モデルなどを駆使して中国のウイグル族の人権問題をとりあげた報道が評価された。ネットメディアを代表する報道機関に成長したが、赤字が続いていた。
バズフィードのジョナ・ペレッティ最高経営責任者(CEO)は20日、社員向けのメモで「バズフィード・ニュースに多大の投資をしてきたのは、その業務とミッション(使命)に愛情を感じてきたからだ」と説明した。一方で、こうした思い入れのせいで「ソーシャルメディアを使って、無料で水準の高い報道を拡散するという事業モデルには限界があるという事実に気がつくのが遅れた」と振り返った。
一方で、20年に傘下に収めたハフポストは黒字という。ハフポストはバズフィード・ニュースと異なり、ソーシャルメディアを経由せず、直接サイトに閲覧に来る読者が多いという。
バズフィードの株価は20日、前日終値比約20%安の0.75ドルで引けた。同社は21年末、特別買収目的会社(SPAC)を使って上場を果たしたが、株価が1ドルを下回る日が増えている。上場廃止の懸念がくすぶるなか、コスト削減を通じた黒字化実現が急務となっている。
広報担当者によると、今回のリストラ計画はバズフィードの日本事業に影響しないとしている。
世界的な景気減速を受けて、ネットメディアの主な収入源である広告市場を取り巻く環境は厳しい。別の米ネットメディア「インサイダー」も20日、米国で働く約1割の人員を削減する計画を従業員に通知した。
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(更新)- 窪田真之楽天証券 チーフ・ストラテジストひとこと解説
通常の上場審査を受けることなく、SPAC(特別買収目的会社)を経由して上場した企業には、収益面で問題のある企業が多い。バズフィードはその一例に過ぎない。
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