「最近の若者は」という言葉は、ソクラテスの時代から、ネガティブな意味合いで使われていたという。では現代の若者は? イギリスの政治理論家キア・ミルバーンが発明した言葉、「ジェネレーション・レフト」は、世界中に存在する左傾化する若者を指す。「彼らは気候変動への関心が高く、社会運動に積極的に参加。急進的な政治家、ジェレミー・コービンやバーニー・サンダースを支持する傾向がある」と、ミルバーンは話す。この層が生まれた背景とは? 「2008年の金融危機以降、若者が人生に抱いていた理想は打ち砕かれました。年配者のように資産があるわけではない彼らは、賃貸でしか住宅を持てない。年配者が資産を運用する一方で、彼らは常に働かざるを得ない。非常に不公平な社会構造が生まれました」。アメリカの経済界と政府に対する抗議運動として、11年にはオキュパイ・ウォールストリートも始まったが、結果的には何も変わらなかった。金融業界と右派に対して腹を立てた若者たちは、政治への関心を高め、状況を改善しようと積極的に政治運動に参加するようになり、結果的には金融業界と対極をなす、左派に傾倒した。
米ニュースサイト「アクシオス」とコンサルティング会社「モメンティブ」が行った21年発表の世論調査では、資本主義に対して肯定的なアメリカ人は、18歳から34歳までの若者層では過去数年減少し続け、18歳から24歳に限ると、資本主義否定派が過半数になった。医療費や学費、住宅価格などの生活費が高騰する一方で、賃金はほとんど上がっていない現状が、資本主義に対する不満につながっている。下院議員になる以前はバーテンダーとして働いていた「アメリカ民主社会主義者」のメンバー、AOCことアレクサンドリア・オカシオ =コルテスは、若者の心を捉え、団体の人数を著しく増加させている。