はじめに。これは、筆者であるスナエが、「昔は男主夢なんてなかった」とか「男女恋愛以外は夢じゃない」とか言われることに腹が立って、作り始めたものです。夢創作は、もっと自由で混沌としてるもんなんだよ! というのが、筆者の主張です。
という訳で、夢創作の歴史を辿ってみましょう。
色々と抜けがあると思いますので、情報提供お待ちしています。
スナエ:テニスの王子様がアニメ化した頃に、男主夢小説を読んでいたオタク(夢書きとしては、2023年7月3日で10年になる)
夢小説の起こり
「あなたの夢を叶えてしんぜよう」
1998年2月 週刊少年ジャンプにて、「ホイッスル!」連載開始。
1999年末 ホイッスル!の二次創作サイトで、ちーこさんが「ドリーム小説」を考案される。当時は、夢小説と呼ばれることは、ほとんどなく、ドリーム小説・ドリー夢小説(どりーむしょうせつ)と呼称されていた。
(夢主=夢小説の主人公の)名前変換のJavascriptを配布し、web同盟(Webリング)もあり、複数のサイトが夢小説を扱っていたと推察される。
最古の夢小説の主人公が、どのような性別だったのか、どんな物語だったのかは、不明である。
2000年9月 ドリーム小説のWebリングが作られる。Webリング(同盟)とは、登録サイトを繋ぐリンクである。2003年6月時点で、Q&Aにて、男夢主(男主人公もの)が参加可能であるという回答があり、男主人公の夢小説が存在していたことが分かる。
2001年3月 「我楽多cgi@nifty」にて、名前変換CGI、DreamMakerが公開される。Javascript対応型とCookie対応型の二種で、開発したのは、Seasonさん。
2001年5月 ドリーム小説変換ツール、DreamMakerの支援サイトが設立される。ドリーム小説のコンセプトに、「あなたの夢を叶えてしんぜよう」というものがあり(似たような文言が複数観測されている)、ドリーム・夢が重要な要素であったと思われる。
2001年10月10日 テニスの王子様のアニメが放送開始。筆者が、ドリーム小説(仲間内で、ドリ小と呼んでいた)に触れたのは、この頃。すでに、夢小説は、男女恋愛のみならず、男主人公の友情ものや、キャラの血縁者になる家族ものなどがあった。
PCサイトから、ケータイサイト、そしてSNSへ
「2003年4月から、ガラケー(ガラパゴスケータイ)のパケット定額サービスが開始され、夢小説サイトの主流が変わり始める」
2001年以降、ケータイで書き、ケータイで読む、ケータイ小説が流行する。
2003年7月 ガラケー向けのホームページ作成サービス「フォレストページ」が登場。名前変換機能を手軽に扱えるため、大流行する。PCサイトは、PCサイトのサーチエンジン、ケータイサイトはケータイサイトのサーチエンジン、というように分かれていた。
2003年11月 夢本発行。個人による、テニスの王子様の夢創作同人誌が自家通販される。内容については、不明。
2004年12月 個人によるテニスの王子様のオリキャラ・ドリーム・SWEAT&TEARSオンリーイベント開催。
2006年5月 「夢絵&夢漫画検索所」開設。現役のサーチサイトである。顔ありのオリジナルキャラクターのものもあれば、こちらにキャラが語りかける一人称視点のものもある。
2007年9月 イラスト コミュニケーションサービス「pixiv」サービス開始。小説も扱われるようになったのは、2010年7月。さらに、単語変換が実装されたのは、2020年4月。それ以前は、ネームレスと呼ばれる手法による、代名詞のみで呼ばれ、主人公の名前が出ない夢小説や、ウイさんの作ったブックマークレット「Dreamlet」で、氏名を変換して楽しんでいた夢のオタクもいる。
2008年4月23日 Twitterの日本語版サービスが開始。
2011年4月 「夢垢!」アカウント開設。Twitter上の振り分けアカウントである。こちらのアカウントにリプライすれば、夢のオタクにのみ夢関連のツイートを見せることが出来る。
2011年11月 Twitterにて、#おじプラスの流行。ラブプラスのパロディ妄想ツイート。現在のプラスタグ(夢創作につけるハッシュタグ)の起源ではないかと言われている。
2012年5月 #黒バスプラスタグの存在があった。二次創作としてのプラスタグの始まりかと思われる。当時は、夢創作以外にもつけられることがあった模様。
2013年4月 クロバス+カレシ発売。おそらく、最古の夢のオタク向け非公式商業アンソロジー。
2014年4月 Twitterにて、夢フェス開催。当時のTwitterにあった、決まった期間に定められたタグ上で、同好の者と盛り上がる企画文化である。
2015年 日本のスマートフォン所持率50%超え。ガラケーサイト時代は、終焉へと向かっていく。
審神者の登場、プレイヤーキャラ=夢主?
「名付けがあったり、外見を変えられたりするプレイヤーキャラとは、夢主なのか?」
プロデューサー・提督・審神者・マスターなどが、夢主なのかどうかは、人によるとしか言えない。
2015年4月 DMMとニトロプラスによるブラウザゲーム、「刀剣乱舞 ONLINE」サービス開始。プレイヤーキャラクターである審神者(さにわ。刀の付喪神であるキャラクター、刀剣男士たちを顕現させる存在)には、外見や台詞が存在しない。ただ、名付けだけがある。女審神者絡みで、それはもう、色々とあった。大半は、夢創作蔑視やミソジニーなどからの誹謗中傷・嫌がらせだった、とだけ記しておく。
2015年8月 スタジオYOUによる刀剣乱舞の女審神者オンリーイベント、「さにわ日和~彼女の神託~」開催。ドリーム女審神者とオリジナル女審神者が分けられていた。
2017年3月 夢本市開催。春コミにて、有志による夢同人誌プチオンリーが開催された。オールジャンル夢オンリーであったらしい。
2017年8月 スタジオYOUによる女夢主人公オンリーイベント、「夢ノ箱庭†ヒロイン編†」開催。企業による夢オンリーは初。
2017年12月 「フォレストページプラス」サービス開始。フォレストページのスマートフォン版。
2018年4月 「名探偵コナン ゼロの執行人」公開。サンデー連載マンガの劇場版アニメ。安室の女として、夢女子(必ずしも夢創作者であるとは限らない)の認知度があがる。2023年現在では普通となった、pixiv小説ランキング上位を夢作品が埋めているという状態に。
2018年11月 イラストコミッションサービス「Skeb」、サービス開始。以降、有償夢絵という文化が生まれた模様。2023年現在では、「SKIMA」や「coconala」などでも夢絵・夢小説を受け付けている人が、たくさんいる。
2020年 pictSQUAREで、夢オンリーが盛んに開催される。Covid-19の流行により、同人誌即売会が中止に追い込まれる中、オンライン上で個人がオンリーイベントを開催出来るため、盛り上がりを見せている。
2023年3月31日 夢小説投稿サービスのyumedropが運営開始。β版公開から20日で、登録者3700人となっており、サービスの改修も頻繁に行われている。
終わりに。「昔は男主夢なんてなかった」なんてことはないし、「男女恋愛以外は夢じゃない」という主張にも疑問が生じる。
では何故、このような主張が少なくない数あるのか? 筆者の推測だが、夢創作が包括するものが広過ぎて、これは夢である・でないと分類したい層がいるのではないかと考える。
この夢創作史は、筆者が生きている限り更新していこうと考えています。情報提供・感想などは、こちらか筆者のTwitterアカウントへ。
今後も、よろしくお願いします。