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追及スクープ!”中古車販売業界の雄”ビッグモーターが「客のタイヤ」に穴を空けていた「衝撃動画」

工賃の水増しや保険金の過剰請求のために、工場長自らが「不正整備」を実演指導 年商7000億円を誇る、巨大企業のズサンな実態を元整備員が怒りの告発

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横行する不正車検

Aさんは、熊本浜線店で行われた不正は他にもあったと語る。とりわけ車検は、不正の温床になっていたと明かす。

「車検で行われていた不正の一つが、無資格者による検査です。車検認定には様々な資格が必要で、普通の整備士が行うことは禁止されています。しかし熊本浜線店では、検査を無資格の整備士が行い、書類には有資格者の名前を代筆するのが当たり前でした。歯車の潤滑油などに使うガジェット用のオイル交換は最小限の量で済ませるために、1lしか入れないのが普通だった。整備士の連絡用グループラインでは、『(オイルは)交換したていで大丈夫です』『完全犯罪しときあす』などのやり取りをよく見ましたね」

今年3月の九州運輸局の発表によると、熊本浜線店では記録が残っている’20年12月から現在までで、58台についてスピードメーターの検査を行わずに保安基準適合証を交付していたことがわかっている。しかしAさんは、諸々の不正が行われた車両の台数は、期間内だけでも1000台は下らないと明かした。

なぜこれほどまでに不正が横行しているのか。背景には本社が取り決める理不尽なノルマの存在がある。Aさんが言う。

「車検台数のノルマは前年を基準に決められ、熊本浜線店では月平均170〜180台と定められていました。しかし整備士は7〜8人しかいない。これは絶対に不可能な人数で、他の大手の同規模の工場であれば最低10人は整備士がいます。

ノルマ達成のために、指定工場では国交省に禁止されている『前検査・後整備』も行っていました。指定工場とは国の認可を受けて車検の全工程を行う工場です。本来は整備を行って万全の状態に仕上げてから検査を行うのですが、ノルマが達成できない月は、翌月の車検をお客様に無断で前倒しして、引っかかった箇所だけを後で整備していました。ノルマのためにコストや労力を切り詰める中で、仕方なく不正を行っていたのです」

最後にAさんは、こう怒りを口にした。

「一番許せないのは数々の不正やノルマについて『具体的な指示は出していない』という本社の姿勢です。売り上げが悪ければ、工場長はほかの工場長たちの前で名指しで批判される。本社の人間が毎月支店に視察に来るのに、現場の苦境は見て見ぬふり。それが一番辛かったんです」

大企業の裏で行われていた驚愕の不正の数々……。その事実について、ビッグモーター本社はどのように考えているのか。本誌は質問状を送ったが、期日までに返答はなかった。また都内にある代表取締役社長・兼重宏行氏(72)の自宅を訪れ見解を求める旨の質問書を投函したが、やはり返答はなかった。自動車業界に精通する自動車生活ジャーナリストの加藤久美子氏は、こう断じる。

「ビッグモーターは兼重社長が、一代で成長させた企業です。全国のほとんどの支店が自社だけで車検を行える指定工場を備えており、ここ十数年で急成長しました。その中でいつしか利益至上主義の体質に変わってしまったんだと思います。これらの不正には、迅速かつ徹底した対処が求められます。特に不正車検はドライバーの命に直接関わるもので、決して許されるものではありません」

本社がもし実態を把握しながら何の対策も行ってこなかったのだとしたら、決して許されることではない。

「前検査・後整備」を行っていた証拠書類。6月確定分と書かれた中に、7月に車検を行う車両の情報が並ぶ。禁止された方法だがノルマ達成のために常態化していた
整備士のグループラインに投稿された隠蔽工作の一部。ギア用のオイルを交換していないにもかかわらず、1つ目の投稿には「交換したていで大丈夫です!!」とある。他にも納品書の書き換えなどのやり取りが並ぶ
取材に応じるAさん。最後には「今回の告発で、新たな被害者が一人でも減ることを願っています」と語った

『FRIDAY』2023年5月5日号より

  • PHOTO:加藤博人(熊本浜線店外観、人物写真) Aさん提供(動画、書類、ライン画面)

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