「酒の影響かわからない」と否認…居酒屋はしご飲酒運転で2人死亡「被告が法廷で語った」驚きの主張
「飲んで帰ったのは間違いありませんが、お酒の影響でこうなったのか自分ではわかりません」
男は法廷でこう語り、起訴内容を否認した。
3月7日に大阪地裁堺支部で行われたのは、昨年12月に防犯パトロール中だった男性4人が車にひかれ死傷(死亡2人、軽傷2人)した事故の初公判だ。自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)の罪に問われているのは、建設業の猪木康之被告(49)。検察側は、猪木被告が居酒屋やカラオケ店をはしごしビールや焼酎、ハイボールなどを飲み正常に運転できる状態ではなかったと指摘した。
『FRIDAYデジタル』は1月18日に配信した記事で、事故について詳しく報じている。再録し、飲酒運転の背景と猪木被告の驚きの主張を振り返りたい(内容は一部修正しています)ーー。
大阪府堺市の市道で事故が起きたのは、昨年12月27日深夜11時半過ぎのことだった。自動車運転処罰法違反(過失致死傷)と道路法違反(ひき逃げ)の疑いで逮捕されたのが、同市内に住む建設作業員の猪木被告。夜間パトロールを行っていた、いずれも40代の男性4人を運転する車ではね、2人が死亡、2人に軽傷を負わせた。猪木被告は、適切な処置をすることなく走り去っている。
「パトロールに参加していたのは、地元の町内会の男性8人です。現場の市道は片側1車線で幅約6m。8人は2列になり、近隣住民に火の用心などを訴えていました。猪木被告の車は後方からパトロール隊に接近し、男性4人を次々にはねたとみられます。猪木被告は、居眠りをしていたようです。
亡くなったのは最後尾を歩いていた2人です。司法解剖の結果、2人とも頭の骨が折れていました。はねられた衝撃で頭部から地面に強く打ちつけられたのでしょう。現場にはブレーキ痕がなく、減速せずに猛スピードで4人をはねたと考えられます」(全国紙社会部記者)
事故の翌朝には作業着を着て仕事へ

事故翌日、警察は複数の防犯カメラに映っていた逃走車と酷似したスポーツタイプの多目的車(SUV)を現場から700mほど離れた住宅の駐車場で発見。所有者が猪木被告だった。猪木被告は逮捕直後、警察に対し次のように話していたという。
〈事故を起こし走り去ったのは確かですが、電柱か何かにぶつかったと思いました。人をはねた認識はなかった。ひき逃げだとは思っていません〉
前出の社会部記者が続ける。
「猪木被告は『電柱にぶつかったと思った』と容疑を一部否認しましたが、事故現場付近に電柱はありません。逮捕時は、被害者への謝罪の言葉もなかったそうです。事故翌朝には、作業着を着て仕事へ向かう猪木被告の姿も目撃されています。
猪木被告は事故直前に酒を飲んでいたことは認めていますが、逮捕は事故から丸一日近くたった12月28日深夜だったため呼気検査ではアルコールが検出されませんでした」
警察によると、事故当日の夜8時ごろ猪木被告が1人で行きつけの居酒屋に入ったことがわかっている。生ビールやハイボールを計4杯ほど飲み、夜10時過ぎに店を出たとか。猪木容疑者は、さらにカラオケ店で飲酒し事故を起こしたようだ。
「1軒目の居酒屋の店主の証言から、猪木被告の重大な嘘も明らかになっています。店主が猪木被告に『車で来ていないか』と聞くと『違う』と否定。さらに翌朝、猪木被告から『(帰りに車で)電柱に当たってしまった』と電話が入ったそうです。店主が『人ではないのか』とたずねると、『電柱だ』と説明していたといいます」(同前)
亡くなった男性の遺族は、代理人を通じて次のようなコメントを発表している。
〈被告に対しては、A(被害者の男性。コメント内では実名)を返してほしいという気持ちでいっぱいです〉

写真:朝日新聞/時事通信社 共同通信社 アフロ
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