「弁理士」と聞いて、どんな資格なのかイメージしづらい方が多いのではないでしょうか。弁理士は、製品デザインやロゴマークなどの知的財産を取り扱う専門家です。
偏差値や合格率・勉強時間といった観点から、弁理士がどれほど難しい試験なのか他資格と比較してみましょう。
目次
弁理士の合格者の出身大学は?
特許庁が発表した「令和4年度弁理士試験最終合格者統計」を参考に見てみましょう。
出身校 | 合格者数 |
東京大学 | 21 |
京都大学 | 16 |
大阪大学 | 8 |
東北大学 | 6 |
早稲田大学 | 5 |
東京理科大学 | 5 |
名古屋大学 | 5 |
神戸大学 | 5 |
筑波大学 | 5 |
日本大学 | 4 |
慶應義塾大学 | 4 |
弁理士試験最終合格者の割合を出身校別内訳によると、各種予備校などのデータで一般に偏差値60以上とされる大学が上位を占めています。
弁理士は偏差値の高い大学出身者の方が合格しやすい資格と言えるでしょう。
その一方、具体名の指摘は控えますが、一般に偏差値としては比較的低い大学がむしろ比較的高い大学よりも合格者数が多いケースも見受けられます。
偏差値は、低いよりは高い方が良いかもしれないが絶対的な条件ではないことがわかります。
高学歴だと、論文式の選択科目免除で有利
修士・博士もしくは専門職の学位を持っていると、論文式試験の選択科目を免除することができます。
弁理士試験の最終合格者193名に対して、164名が選択科目免除を受けています。
合格者の8割以上の人が選択科目を免除受けており、そのうちの約6割の98名が修士、博士による免除です。
なので、論文式試験では修士・博士の学位を持つ高学歴の人が選択科目の免除を受けられるため有利だと言えます。
出身大学の偏差値が低いと弁理士に合格は難しいのか?
統計では有名ではないその他大学出身者の合格者も存在することから、出身大学の偏差値が低いからといって弁理士になれないというわけではありません。
また、高卒や専門卒でも受験することができ、実際に合格している人もいることから出身大学を気にする必要はないと言えます。
弁理試験は1年合格という言葉に目が言ってしまいがちですが、受験者の8割が2回以上の試験を通じて合格をしています。
なので、学歴に目を向けるのではなく、数年かけてコツコツと正しいやり方で勉強を続けられるかどうかが重要です。
弁理士試験の合格率を他資格と比較
続いて、弁理士試験と他資格の合格率を比較してみましょう。
資格名 | 受験資格 | 例年の合格率 |
弁護士 | あり | 30%前後 |
司法書士 | なし | 3〜5% |
弁理士 | なし | 6〜8% |
税理士 | あり | 12〜17% |
社労士 | あり | 6〜8% |
海事代理士 | なし | 30〜50% |
土地家屋調査士 | なし | 8〜9% |
宅建士 | なし | 15〜17% |
弁理士試験の合格率は例年6~8%となっており、合格率が低い水準で推移しています。100人が受験して合格できるのは、わずか6~8人ほどという計算です。
ただひとつ、ここで注意したいのは「合格率が低い=偏差値が高い」とは限らないということです。
弁護士と弁理士どっちが難しい?
例えば、日本の三大国家資格である弁護士は、弁理士試験の平均合格率よりも高い傾向にあります。弁理士試験は、学歴や年齢といった受験資格の制限がありません。
司法試験には受験資格が必要で、法科大学院を卒業するか、合格率3%の司法予備試験を合格する必要があります。
老若男女を問わず幅広い年齢層の受験者が増える分、弁理士は弁護士よりも合格率が低く出ていますが、難しい資格は弁護士だと言えるでしょう。
弁理士と司法書士どっちが難しい?
司法書士の合格率は3%程度と合格率は弁理士よりも低いです。
その理由として司法書士は試験科目が11科目と弁理士の7科目よりも多く、広範囲の勉強が必要です。
さらに司法書士は試験方式に応じた基準点と呼ばれる足切り点があるのでまんべんなく勉強をする必要があります。
以上のことから司法書士が難しいと言えるでしょう。
関連コラム:司法書士と弁理士はどちらが難易度が高い?資格取得の難しさを比較!
弁理士と税理士どっちが難しい?
税理士の合格率は12~17%と弁理士よりも高いです。
税理士は11科目と弁理士よりも科目が多いですが、科目合格制度という全部で11科目のうち5科目に合格すれば科目単位での合格として認められるという制度があります。
なので、税理士は科目合格制度を利用することで数年かけて資格を取得できるという意味では弁理士のほうが難しいと言えるでしょう。
偏差値で見る弁理士試験の難易度
弁理士は、司法書士や行政書士と並ぶ難関国家資格のひとつです。弁理士試験の平均合格率は10%未満と、狭き門となっており毎年多くの方が涙をのんでいます。
弁護士や税理士といった他資格と比較した、弁理士試験の偏差値は以下の通りです。
資格名 | 偏差値 |
弁護士 | 77 |
司法書士 | 76 |
弁理士 | 75 |
税理士 | 75 |
社労士 | 65 |
海事代理士 | 65 |
土地家屋調査士 | 64 |
宅建士 | 57 |
勉強時間で見る弁理士の難易度
弁理士試験の合格に必要な勉強時間の目安は、3,000時間といわれています。
1年で資格取得を目指すのであれば1日約8時間、1年半だとしたら最低でも5〜6時間の勉強時間を確保しなければなりません。
しかし、弁理士試験を受けた全体の約8割が働きながら資格を取得しています。過去問を繰り返し解いたり、第三者に答案を添削してもらったり、勉強方法次第で合格のチャンスが広がるのではないでしょうか。
ちなみに、税理士や社労士といった他資格の平均勉強時間は下記の通りです。
資格名 | 勉強時間の目安 |
弁護士 | 3,000~8,000時間 |
司法書士 | 3,000時間 |
弁理士 | 3,000時間 |
税理士 | 2,000~2,500時間 |
社労士 | 800時間 |
海事代理士 | 500時間 |
土地家屋調査士 | 1,000時間 |
宅建士 | 300~400時間 |
弁護士で合格をするには正しいやり方でコツコツ勉強出来るかが重要
弁理士試験は資格の中でも難しい試験ですが、約8割の人が働きながら弁理士の資格を取得しています。
修士や博士の学位を持っていれば弁理士試験に有利に働きますが、必要とされる勉強時間が多いので、モチベーションを保ちながら正しいやり方でコツコツ勉強を続けることが求められる資格です。
実際にどんな勉強の仕方をしているのか気になる方はこちらのコラムも読んでみてくださいね。
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