コロナワクチン 専門医「健康な子どももやったほうがいい」 その理由

2023.04.13

ミキハウス編集部

打たなくてもいいものなら打たせたくないという「親心」

打たなくてもいいものなら打たせたくないという「親心」

――実は私には7歳と4歳の子どもがいて、ワクチンを接種していないんです。オミクロン株が流行したタイミングで、子どもにも感染することがわかり、ワクチンの接種を検討していたのですが、昨年夏に下の子どもが感染(当時3歳)。そこから家族全員が感染してしまいました。

感染してしまったことで、子どもへの接種の機会を逃してしまい、そうこうしているうちに、感染爆発も収まり…今も接種をしていないという状況です。

菅谷:なるほど。親は接種されましたか?

――はい、私は3回、妻は2回接種しています。

菅谷:厳しい表現になりますが、感染対策上は「親は “鎧”をまとっているのに、子どもは丸腰のまま」ということになります。ただし、そういうご家庭は多い。逆にお聞きしたいのですが、なぜ打たないのですか?

――「打たなくていいのであれば、できる限り打たせたくない」という心理が働いているように思います。それが根底にありつつも、私たち夫婦なりの“打たせない理由”は、ざっくりと以下の4つのものがあるように感じています。

子どものワクチン未接種

①一度感染したので、しばらく大丈夫

菅谷:なるほど。たしかに感染直後はそのとおりですね。でも、もう半年以上経過しているわけですから、親子ともども再感染する可能性は十分にあります。また新型コロナは、感染回数が多いほどロング・コビット(新型コロナ後遺症)になりやすく、死亡率が上昇するという海外の研究もあります。ロング・コビットについてはまだわかっていないことも多いので、とにかくかからないようにすることが自分の身を守ることに繋がります。いずれにせよ、一度感染したからといって十分な抗体がずっと続くわけではないということは改めて認識された方がいいかもしれません。

②大人に比べると重症化率は低い

――ちなみにこれは、あながち間違いではないとは思っているのですが。

菅谷:重症数が大人より少ないからといってそれだけで判断しない方がいいでしょう。実際、高熱、頭痛、全身痛、嘔吐などがつらい症状を認めても入院しなければ「軽症」とされてしまいます。でも、本人や家族にとっては決して「軽症」では済まされません。

たしかに大人と比べると集中治療室への入室、人工呼吸、ECMOなどを要する重症例は少ないのは事実ですが、子どもも「重症化しない」というわけではないですし、基礎疾患のない子どもでも感染後に死亡したケースもあります。

重症化のリスクを下げるためには、小児にとってもワクチンがもっとも科学的に有効性が証明されている方法です。新型コロナウイルス感染症はワクチンで防げる病気です。これはらVPD(Vaccine Preventable Diseases)と呼ばれており、VPDはワクチンを接種し予防することが原則です。かかった方がよいVPDなんて存在しません。もしあのとき接種しておけば、と後悔することがないように接種した方がよいと思います。

③注射も副反応もかわいそう

――できれば注射は打たせたくないという“親心”もあるんですよね。あとは副反応。大人でも結構、接種後の副反応がひどくて、あれを体験させるのもかわいそうじゃないですか。そもそも、自分が感染したとき、副反応と同じような症状だったんです。接種しても感染はするし、感染しても副反応と同じ程度だったら、しなくてもいいのでは…と。

菅谷:まず、Iさんはワクチンを接種していたから、感染したときに副反応と同じ程度で済んだのかもしれません。実際に新型コロナウイルス感染症を発症した時のリスクとワクチン接種後のリスクを比べて判断するという視点は非常に重要です。また新型コロナワクチンの副反応は、子どもは成人に比べると明らかに少ないことが報告されています。実際、接種したお子さんで発熱などのつらい経験をしたといわれるお子さんはほとんどいません。

④感染が収まってきたので様子見

――こういう状況だと「今」じゃなくてもいいのかなと。

菅谷:そういう方は多いのかもしれません。しかし、ワクチンは接種できるようになったらなるべく早く接種することが原則です。さらに、1回目、2回目の接種は従来株ワクチンで接種しなければなりませんが、私のクリニックのある東京都板橋区では従来株ワクチンの定期的な配送は終了しており、接種を継続している医療機関は少なくなっています

――それはワクチンが打てなくなるということを意味していますか?

菅谷:今よりもさらに接種しにくい環境になる可能性はあります。現在、3回目、4回目の追加接種はオミクロン対応株ワクチンで接種していますが、すでに医療機関での接種はオミクロン対応株ワクチンが中心になっています。

なお1回目、2回目の接種は、オミクロン対応株を接種できません。そういうルールになっています。今後については不透明なので、ルールが変わる可能性もありますが、本来は臨床試験のやり直しが必要でしょう。臨床試験なしでは安全性が担保できませんからね。もし臨床試験無しで接種することになると、それこそ「ぶっつけ本番」という形になってしまいます。

06

――つまり一度もコロナワクチン打っていない人は、社会の防疫体制に加わっていない=完全に乗り遅れてしまっていることを意味しますよね。要は複数回接種している大人は、新たな脅威がきても順応しやすい「からだ」になっているけど、1度も接種していない子どもはそういう「からだ」になっていないと。

菅谷:そういうことですね。だから打てるときに打っておくということは、そういう意味でも大事なんです。

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