「アガれない手で場を支配する、ブラフについて考える」の記事でブラフについて書いたが、今回はそれに関連して、現役十段と元十段が互いに牽制しあう、面白い一局があったので紹介する。
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打ち手は現十段・秋田のにんにくさん。トイメンは元十段(2回)のニャッピー夏目さん。現状ラス目。字牌が3種類トイツのなんだかすごい配牌。北をポンして、マンズピンズのホンイツ両天秤にするかと思いきや打8m→7p。どうせ時間がかかる手なので、どの色にも寄っていない、かつ中張牌連打という訳のわからない捨て牌で局面を長引かせつつ、ホンロートイトイ、あわよくば字一色や小四喜、という感じだろうか。捨て牌はなるべく派手にし、なるべく相手に圧力がかかる河を作っていく。
9pが重なり、まだ3シャンテン。トイメンはマンズの染め模様。それにしても、北をポンして以降、ここまで誰も字牌を切って来ていない。牽制効果は確実に出ている。
トイメンから9pが出てきた。当然ポンしてイーシャンテンへ。ドラの西を切って更に威圧する。
次巡、先ほど9pを切ってきた親のニャッピーさんに9mのポンが入る。そして打3m。テンパイかも知れないし、自分の現物の3mを切ってマンズが余ったように見せかける牽制球かも知れない。
ここで5mを持ってくる。
さあ、ここが分岐点だ。親の仕掛けはテンパイしているか?どうする?
ぐっ・・・。ブラフだとは思うが、自分がこれだけ字牌をガメている以上、チンイツテンパイの可能性だってある。5mを切ったところでこの手ではテンパイ率も相当低いため、撤退を選択。
親の仕掛けもまた、捨て牌で圧をかけていただけだった。西家に対し、東と中が絶対に切れない牌として浮いている。それならば少しでもテンパイに見えるような圧のかけ方をしよう、というわけだ。結局両者ともテンパイせず、中が切れるようになった下家の一人テンパイで流局となった。
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ブラフは、相手に「もしかしたらブラフかも」と思われても良い。高打点テンパイの可能性が少しでもある相手には、結局強い牌は押せないものだ。
また、天鳳という特殊な場においては、高段位者ほどブラフが効き易い、と個人的には思っている。十段の仕掛けやリーチを受けた側は、なんとなく「しっかりした」仕掛けやリーチのような気がしてしまい、手が萎縮してしまう経験、鳳南を打っている人なら誰しも経験があるんじゃないだろうか。
ニャッピーさんの3m切りも、冷静に考えるとここまで字牌が高い場で、字牌を全く切らずに現物の3m切って染めテンパイ・・・というのは、あまりにも出来すぎていてとてもブラフくさい。秋田のにんにくさんも「大体ブラフだろあれ・・・」と思ったはずだ。しかしそれでも5mを切らなかったのは、元十段のニャッピーさんの名前に圧を感じたか。それとも、事故の放銃を避けるための的確なオリだろうか。そこのところは私には判断がつかないが、ニャッピーさんの仕掛けがにんにくさんの手牌進行に影響を与えたことは間違いない。
いずれにしても、現十段と元十段が互いに激しく牽制し合って流局となる、見ていて面白い一局だった。
同じ半荘の別の局、にんにくさんのこの3フーロは、完全にブラフオンリーの仕掛けだ。「十段」の肩書きに、おびえてはいけない。
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