太くないおさんの牌譜より。オーラス、2着目と11300差で迎えたトップ目親番。2着目には満貫ツモでまくられてしまうところだが、2着目から電光石火の3巡目リーチがかかった(リーチ宣言牌の2sを北家がポン)。ここで太くないおさんは面白い一打を放つ。
打4s。この打牌の意図がわかるだろうか。
ポイントは、2着目との点差が「11300点差」であること。満貫をツモられると逆転されるが、5200直撃の場合は逆転されない。つまり、南家のリーチが裏ドラ込みで「出アガリ5200」だった場合には、オリてツモられるよりも放銃した方が良いのだ。
全リーチのうち「出アガリ5200」のリーチの割合は、約16%(参照:現代麻雀理論、一発がない場合)。放銃してもそのうち16%は「放銃した方が得」になるわけだ。
5200以外のときは、放銃してもツモられても結果は変わらない。出アガリ5200未満の時はどうせまくられないし、出アガリ6400以上の時はどっちにしろまくられる。出アガリ6400あるのは全体の35%ほど。点棒状況や順目的な問題もあるため、このリーチの打点分布がどのようになるかはわからないが、少なくとも上記の数字から大きくかけ離れることはないだろう。
太くないおさんは、非常に押し引きがはっきりしている打ち手であり、「回し打ち」はほぼ見られない。オリの局面ではかなりシビアに放銃率の低い牌を選択する傾向にある。
だがこの局面に限っては、上記の理由で放銃のリスクが減っていることもあり、比較的安全(1sの片筋、2s切りリーチなのでカン4sがない、あとからもう一枚切れる)な4s切りで、前進することを選択。
南や9pの方が牌理上放銃率が低く、平場の太くないおさんは9pや南を切る事が多い印象だが、9pを切るとアガリ目がなくなり、ダブ南は刺さった場合には満貫になるケースが多いため、中庸の「4s」を選択した。
次順、南が重なって、ここも筋の7s切り。平場の太くないおさんならば4sを切っている局面だ。アガリに向かいつつ、放銃になってもそれはそれで良し、の構え。
積極的に差し込むわけではなく、あくまでも自分のアガリを見据えての前進。
結果は下家の満貫ツモアガリに終わった。
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この戦術が有効になるのは、
オーラス親で、かつ下との点差が
「10500点~12000点差」(満ツモ条件で、5200打ってもセーフ)
「16100点~18000点差」(ハネツモ条件で、満貫打ってもセーフ)
の時がメインだ(席順とか、「2000-3900」があるかどうかとかで100点、200点変わるけど)。例えば、10500点差の2着目からリーチが来た時は、10000点差の時よりも押し気味で良い。この「押し気味」というのが非常に曖昧で微妙なところだが・・・。
「16100~18000点差」という、満貫放銃セーフ、跳満ツモアウトの時は、この傾向が更に顕著になる。
上記のデータによれば、リーチの出上がり時の跳満率は約5%なのに対し、ツモられた時の跳満率は約15%と跳ね上がる。ベタオリした時のツモられ率が約40%で、ゼンツした場合は自分がアガる可能性が残ることを含めて考えると、オーラストップ目の親で2着目と「16100~18000点差」の時は、2着目のリーチにオリない方がトップ率が高まるんじゃないだろうか。
天鳳のオーラス3着目でラス目からリーチがかかった時、問答無用でオリを選択する前に、もう一度点差を確認してみることをオススメする。オーラス始まる時に確認できてれば一番いいけど。
ちなみに、リーチ棒を出すと満貫直撃アウトになるので、追いかけリーチだけは絶対にやめときましょう。あと収支戦の場合は素点と祝儀の損失もバカにならないので、自分がアガれなさそうなら素直にオリた方がいいかなと思います。
この記事を書きながら、片山まさゆきの漫画「スーパーヅガン」で、明智くんがツモスーリーチに差し込む場面を思い出した。なつかし杉内。
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横移動があるのでおとなしくベタ降りが正解だと思います。
コメントありがとうございます!「ツモ率40%」と書いていますが、残りの60%には横移動や流局も含まれます。
言いたいことは分かるけど、横移動と流曲が考慮されていない。
コメントありがとうございます!「ツモ率40%」と書いていますが、残りの60%には横移動や流局も含まれます。
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