法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

若者支援NPO理事長のビフォー「休眠預金基金って公金だし、むしろ厳しくて当然」アフター「公金を今まで一度も貰ってない」

休眠預金基金から助成されていたNPO若者メンタルサポート協会の小杉沙織氏が、その助成が「公金」にあたるかどうかの説明を短期間で変えていた。


厳しいのは良いんですよ、もちろん。

休眠預金基金って公金だし、むしろ厳しくて当然のこと!

私が声を大にして言いたいのは、コラボとか平等に報告を細かく出す事を求めないのは何故?ってこと。

コロナ禍の負担軽減で1億円の報告書のリンク作成免除って、本当にどういうこと⁉️っていう


この人に対して言いたいこと

・そもそも公金を今まで一度も貰ってない事
・想いだけで活動を始め、職員も雇えないため杜撰の前に資金不足から運営も手弁当な団体である事
行政書士の件含め勝手な風評被害を無くすため自らそうしたトラブルも公表してる事
・仁藤さんと違い資金力も政党や権力者の後ろ盾もない、規模も声も小さい団体である事
・全団体の監査が厳しくなることはむしろ歓迎している事、但しWBPCも公平に厳しくすべき!

今回のcolaboの監査請求の問題でうちが比較されることがそもそもとして違うのは、上記の理由からであること

論点すり替えて私を叩くのは本当にお門違いで、私を叩くなら「私同様に領収書も全て提出し疑惑を完全に払拭してから」言ってください!

「言いたいこと」という説明だが、どちらも下記エントリへの釈明にも補足にもならない。「監査」という一般名詞の対象は行政や公金に限定されない。
NPO若者メンタルサポート協会の小杉沙織氏によると、自団体への監査も厳しくなったとのこと - 法華狼の日記
そもそもエントリでは「公金」という表現もつかっていない。後者のツイートは「公金」ではなく「税金」と書きたかったのだとしても反論にはならない。
NPO福岡すまいの会の服部広隆氏が指摘するように、休眠預金は税金ではない公金のなかでも税金に近い。その配分も指定団体がおこない、かぎりなく公的な性質をもつ。
論点:国民の資産“休眠預金”はどこへ向かうのか 3氏に聞く | 毎日新聞

NPOの有志で昨年8月に結成した「現場視点で休眠預金を考える会」(3月末で解散)は、特に休眠預金活用の基本方針の決定プロセスに国民的議論が欠落していたことを指摘した。そもそも、休眠預金は預金者の意思と関係なく使われるため税金に近い公金と言える。

なおかつエントリでは助成金補助金の性質が必ずしも同じではないことは留意している。

もちろん基金の性質によって良くも悪くもきびしさは異なるし、経費が認められるかどうかも一般的にあいまいな領域があり、若者メンタルサポート協会とColaboの事例を単純比較するべきではないだろう。

小杉氏のNPOが資金不足ということを否定してもいない。助成されるだけでは資金不足を必ずしも解消できないことを、自身の経験から想像できないことを悲しんだだけだ。

このような経験をもちながら他団体の「杜撰」を批判したり、助成金をえている他団体もまた運営に苦しんでいる可能性を想像できなかったりする小杉氏は悲しい。

最近に東京都が結論を出したColaboのように、多くの支援団体が補助金をえても手弁当で活動している。小杉氏のNPOが特異なわけではない。
Colaboが約1300万円の人件費をもちだしていたという情報を見て、人件費を按分していなかったミスの背景を想像する - 法華狼の日記

一般的に、支援団体は事業に必要な助成金をもらえるわけではない。NPOの研究などをおこなっている小嶋新氏が昨年に説明していたように、助成金だけでは不足するように制度設計されている。


ちなみに小杉氏が指摘とは関係ない方向へ話題を変えていく傾向は、現在は削除されている「猫さん@ilovecat222」というアカウントへの説明でも見られた。


①この猫の話はこれで終わりにするので長くなりますが最後にお話させて下さい。
夫はハウリングブルというインディーズレーベルの代表でメタルやパンクのバンドを長年支えてきた人間です。
そんな彼がミュージシャンで心を病んでしまう人が増えた15年程前に大学や色々な所で心理学を専攻し、最後に→


→⑦なお、2人で数年に1回NLP資格取得講座は開講しますが気分でしか開講してなく、この人が叩いてるセミナーは完全無料で、セミナー内で何か売りつけることもなく、今後夫が立ち上げるフェスの仲間や同志のコミュニティを作るためだけの無料オンラインセミナーですことを最後に付け加えておきます。

ツリーに記載されたスクリーンショットを見ると、「猫さん@ilovecat222」は「セミナービジネス」だけでなく「NLP資格ビジネス」「本人の努力と資質の問題にして、相談者を沼に嵌める自己啓発NPO」といった表現をしており、セミナー部分が無料というだけでは充分な反論ではない*1
一般的に自己啓発セミナーの一種であるNLP*2は資格取得で収益をあげるモデルになっている。小杉氏のツイートも、よく読むと資格取得が有料ということは否定していない。
「数年に1回」「気分でしか開講してなく」とされる資格講座は、少なくとも2020年に講習をおこなっている。
一番わかりやすく一番使えるNLP オンライン入門講座

日 時 2020年12月14日〜
講習内容 全40本の映像(40分)+60分のライブ講習会(10回)
主 催 株式会社Tell Me Agency
参加費用 ¥99,000(税込)

「若者メンタルサポート協会」のページでは「随時開催」とされ、より安価な「¥79,800」の「BASIC講座」と、より高価な「¥248,000」の「プロフェッショナル講座」がある。
若者メンタルサポート協会認定 カウンセラー養成講座
さらに2018年のツイートでは「どこもNLPは高い」と高価なことが一般的な講座であることを認めつつ、相対的な安さをアピールしている。


かからないですよー!
どこもNLPは高いので、なるべく他より安くしようということで、コースに分けてるだけで、各料金は足さないです。

基礎〜プラクティショナー(63時間)なら32万円で、基礎〜マスタープラクティショナー(105時間)まで学ばれる方は全部で60万円です。
誤解があったので念のため…

先ほどは2020年だったので、少なくとも2年に1回は開催されていることにもなる。それもまた「数年に1回」ではあり、小杉氏は嘘をついているわけではないが。
なお、「随時開催」の頻度を確認すると、小杉氏のブログで2021年に開催されていたことがわかった。
12【シンナーに溺れるキャバ嬢】 | 小杉沙織(岡田)オフィシャルブログPowered by Ameba

毎月4万通の相談が届く

NPO法人若者メンタルサポート協会認定

カウンセラー養成講座〜オンライン〜

2021年 10月 開講!

小杉氏の単著がサンマーク出版から出ていることも自己啓発系の背景をうかがわせる。そうした背景がしばしば無私の慈善活動にむすびつくことは否定しないが。

資金不足に苦しむNPOが後援や講演の背景を選ばないことも珍しくはないが、オンラインイベントにホメオパスと同列で登壇するのも、どのような人脈で小杉氏が活動しているのかをうかがわせる。
Beauty Rich summit mission yuki – Beauty Rich Summit


念のため、現時点で小杉氏の活動を頭から否定しているわけではないし、主観的な証言を疑っているわけでもない。
自己啓発セミナーを運営している人物が、生活や心身に困難をかかえる若年者と電話やSNSでつながることも、誰かを救う結果になりうるかもしれない。
しかし小杉氏は、自団体が怪しげな勧誘などしていない信頼できる証明として、相談内容を行政や市民へ全面的に公開できるだろうか。
もちろん普通はできないだろうし、するべきではない。そしてそれと同じことは他団体にも近い局面がある。小杉氏はまずそれを認識しなければならない。
支援活動が信用されるには、情報を公開するだけではなく、時には公開しない決断も必要になる。

*1:そもそも講座や講習とセミナーは類語であり、表現を置きかえても主旨が変わるとはかぎらない。

*2:その歴史背景は飯田一史氏のnote記事が簡単にまとまっている。 「潜在意識に訴える」手法の文化的背景 NLPの場合|飯田一史 ichiiida@gmail.com|note