「子2人とゴミ屋敷に住む」シングルマザーの孤独 ゴミに埋まった勉強机、コバエの飛ぶリビング

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片付けの最中、二見さんは壁に描かれた子どもたちの落書きを見つめていた。そこには運動会の持ち物が書かれている。算数の勉強をした形跡もあった。

落書き
勉強机のある部屋の壁には、一面に子どもたちの落書きがあった(写真:「イーブイ片付けチャンネル」より)

「どんな気持ちでこの壁に落書きしていたのかなと。住んでいる人の生活が見えてしまうと気持ちが入ってしまいますね。脱衣所も風呂場もゴミだらけなので、きっとわずかな隙間でシャワーを浴びていたんだと思います。あの食卓でご飯を食べている姿や、ゴミの中で宿題をしている姿も浮かびます。それをお子さんたちは普通のことだと思っているかもしれないんです」

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片付けによって孤独から抜け出した母親

二見さんは「この仕事が大変だと思ったことがない」という。片付け中の別のスタッフも、「やりがいしかない」と話していた。もちろん、「思ったより大変だった」という理由で辞めていくスタッフもいるというが、現在イーブイで働いている人たちは、好きでこの仕事を続けている。

空っぽの部屋で二見さんが話す。

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「皆さんが思っているほど、僕らは大変じゃないんです。だから依頼者さんは『大変な作業をさせている……』なんて思わなくていいですし、『いい人に巡り合えたな』くらいに思ってもらえたらと。

このご家庭と同じように悩まれているシングルマザーの方は多いと思うんですけど、最優先しないといけないのは絶対にお子さんです。『汚いから家を見られたくない』『ある程度片付けてからでないと……』と孤独に抱え込むのではなく、まずは僕らみたいな業者でもいいし、周りに相談してほしいですね」

今回の母親と子どもたちは綺麗になった部屋を引き払い、すでに新居で新生活を始めているという。母親は仕事にさらに邁進するようになったが、もう孤独ではない。「今でもたまに連絡をいただく」と二見さんは嬉しそうに話した。

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